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新米冒険者のちょっと多忙な日々

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■幕間:襲撃、そして……

 事前にセレンフィリティたちと話していた襲撃があるかもしれない場所に通りかかった時であった。周囲から幾人もの人の気配が感じられる。
「……ちょっとそこの荷物を置いて行ってもらおうか」
 姿を現したのは物騒な武器を手にしている男たちだった。
 おそらく野盗の類なのだろう。
「やっぱり来たわね。まったく馬鹿が多くて困るわ」
「でも油断はできませんよ。数が多いですから」
 御凪 真人(みなぎ・まこと)が軽口を言うセレンフィリティに言った。
 彼女は分かってるわよ、と口をすぼめる。
 間を置かずに戦線は開かれた。
「こ、この人たち強いよ!?」
「少し前までただの学生だった私たちと比べればそうでしょうよ!」
 優里が短刀で野盗の一撃をはじく、そこへ風里が手にした槍による刺突を行う。
「おぉっと!?」
 男がのけぞり後退した。
 辺りを見れば他の野盗たちも皆の活躍で徐々に後退していく。
「確かに機晶技術を用いた義肢はお金になるでしょうが、それが無いと困る人が居ます。それを自分達の利益の為に奪おうなどと、相応の報いを受けるべきですね」
 彼は炎の鳥を生み出すと野盗たち目掛けて解き放った。
 熱が周囲に広がっていく。
 緋に追い立てられるように野盗たちが逃げ惑う。
 これなら早く終わるか、とそう感じた時だ。
「――真人!」
 セルファ・オルドリン(せるふぁ・おるどりん)が叫んだ。
 セルファが感じたであろう異様な気配を御凪も感じ取る。
「これは……毒!? 皆さん気をつけて――」
 皆の様子を見て御凪は声を殺した。
 そこには毒にやられて倒れる仲間たちの姿があった。
 エヴァルトたち熟練の冒険者たちも体調がすぐれない様子が窺える。
「死にたくなければ荷物を置いていくんだな」
 野盗の頭目らしき男が姿を現す。
 その両隣に東雲姉弟の見知った人物の姿があった。
「もしかして優里お兄ちゃんに風里お姉ちゃん? ……まさかこんな所で会えるなんて嬉しいの♪ 一緒に遊ぼうなの♪」
「ククッ……まさかこんな所でてめぇ等に会うとはなぁ……糞餓鬼共」
 斎藤 ハツネ(さいとう・はつね)大石 鍬次郎(おおいし・くわじろう)だ。