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リアクション
「異常なし。そちらはどうでありますか?」
「こっちも平気。…なんだけど、この服装はどうなの」
「祭りに溶け込んでいいじゃないか」
「いやまあ、そうなんだけど。ものすごい勢いで子供に絡まれまくってるじゃない」
「それだけ平和ということでありますな」
「そういうことじゃなくてね」
息の合ったやり取りを死ながら祭りに溶け込みながら警備をしているのは大熊 丈二(おおぐま・じょうじ)とヒルダ・ノーライフ(ひるだ・のーらいふ)の二人。
これといった暴動もやいざこざもないため、ほとんど子供と戯れるのが主な任務になりつつある。
「結構気合入れてきたんだけどね」
「まあいいじゃないか。ほら、子供は可愛いでありますよ」
「……何げにこの状況を楽しんでるわね。なんか損してる気がしてきたわ」
「いやいや、ちゃんと警備も怠ってないでありますよ?」
「その格好と状態で言われても説得力ってものがないのよ」
【たいむジャケット】と【楽士のポンチョ】を着込み、子供たちの笑顔で戯れ丈二。
そう言うヒルダもほぼほぼ変らない衣装だったりする。
「いざとなれば服に忍ばせているショットガン(ゴム弾)が火をふくでありますよ」
「それと一緒にマンガも忍ばせてるでしょ?」
「こ、これは万一体を撃たれた際に守ってくれるものでありまして……」
「マンガの読みすぎよ」
悪態をつきながらも警備だけは気を抜かない二人。
その後もこれといった異常はなかった。
あったとすればい、この二人が異常に子供にモテモテで警備どころではなくなったことだろうか。
「これだけ子供が自由なのならば、マンガ読んでてもいいでありますかね」
「いいわけないでしょ」
ツッコミのキレも異常だったかもしれない。
「あ、ありましたよにゃんこカフェ」
「ああ。だがこっちでよかったのか?」
にゃんこカフェを見つけたのは杜守 柚(ともり・ゆず)と高円寺 海(こうえんじ・かい)。
この後は音楽祭に行く予定だが、その前にねこカフェに来ていた。
「こっち、というと?」
「今日は特別にニルヴァーサル・スタジオの方でもねこカフェがある、とパンフに書いてあるが」
「そうなんですか。だけどこちらでもやってるんですよね?」
「通常通り営業中らしいな」
「なら大丈夫です。入りましょう」
柚と海がにゃんこカフェ(本店)に入る。こちらも支店と変らず右も左も前も後ろも猫だらけ。ねこカフェだから当然なのだが。
「猫だらけだな」
「にゃんこカフェですからね。さあ海くんももふもふしましょう」
「も、もふもふ?」
「はい、こうやって……こうです」
一匹の猫を抱えあげてありったけの愛情込めてもふもふする柚。
海がやるところは想像できないが。果たしてやるのか。
「いや、俺は遠慮しておく。慣れてないんだ」
「そう、ですか……」
もふもふしてる海を見たかった柚が落ち込んでしまう。
いいのか海! それでいいのか海!
「……こう、か?」
「……! はい、そしたら次はもっとこう顔を近づけて」
「ん……」
己の恥ずかしさを振り払ってぎこちなくもふもふする海。
そんな海の思いに満面の笑みで愛情もふもふする柚。
ひとしきりもふもふし終えた後、二人はそろそろ始まる音楽祭へ向った。