First |
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
9 |
10 |
11 |
Next Last
リアクション
「ようこそ中継基地へ! 歓迎しましょう、盛大にです!」
『中継基地』の看板娘、{SNL9998657#ミルキー・ヘミングウェイ}が全ての人々を歓迎するように両腕を広げる。
その両の腕の間に太陽も焦がすほどの微笑を携えて。
〜完〜
……うおっほん。では、仕切りなおして。
現在『中継基地』はお祭り『大開拓祭』の開催に伴い、来場客でごった返している。
その喧騒はイレイザー・スポーン襲来に負けずとも劣らない、それでいて嬉しい喧騒である。
「はい。ご来場ありがとうございます。はい? ……なるほど見所ですか」
来場客にそう尋ねられたミルキーは少し考えて、すぐに朝の必見スポットを教える。
「それならば……この【ビキニアーマー工房】で映画を撮るようで、現在そのオーディションの真っ最中だそうです。是非見に行かれてはいかがでしょう?」
そう言われた来場客はありがとうと言いながら【ビキニアーマー工房】へと向っていった。
それにしても【ビキニアーマー工房】なる工房が一体どのような映画を撮るのだろうか。
実際に見てみることに越したことはないだろう。
「大人しく意のままになればよいものを。このギガスを拒みおった罰だ。だが、まだ死んではおらん! 助けてほしくば、今、ここで! 平伏して降伏するがいい!」
「フーハハハハ! その通り! ギガス様に、そしてこの俺に逆らうなどと百年早いぞ、ビキニアーマーの戦士たちよ!」
いきなりノリノリで撮影、ではなくオーディションの寸劇でアクセル全開で演技するは藤原 時平(ふじわらの・ときひら)とドクター・ハデス(どくたー・はです)。
それに対し、ビキニアーマーという最強の鎧を着込みそれぞれ演技すら超えた感情を持ち対峙する戦士たち。
いきなりのクライマックスばりのシーンだがあくまでオーディションである。
少し巻き戻してみよう。
〜オーディション直前〜
「みなさまがた。私が考えた映画撮影の風景を見に来てくれたこと、感謝したい」
深々とお辞儀をしたのはこの映画の監督兼プロデューサー、そして演出家でもあるハインリヒ・ヴェーゼル(はいんりひ・う゛ぇーぜる)。
頭を上げ、改めて場を見渡す。オーディション風景を一目見ようと多くの人が集まっていた。
「こんなに嬉しいことはない。こちらもよきものにできるよう全力を尽くす。応募してくれた契約者たちも全力を尽くして欲しい」
「フーハハハハ! 造作もない! 皆の衆、よく見ていろ! これは俺が世界征服をしたときの立ち回りの演習だ! 混沌と戦慄をお送りしよう!」
「お、落ち着いてください!」
立ち上がり叫ぶハデスを止めるは苦労人従者、アルテミス・カリスト(あるてみす・かりすと)。
「うむ、いい気概だ。それでは本格的なオーディションを始める前に、審査員から説明をしてもらおう。頼む」
「ああ。……今回、審査員を担当するクレーメック・ジーベック(くれーめっく・じーべっく)だ。よろしく頼む」
クレーメックも深く一礼した後、すぐに説明が始まる。
「今回の映画は『ビキニアーマー・ヒロイン・オールスターズDX』という映画だ。
コンセンプトは『数多ある世界で戦うビキニアーマーの少女たちが一同に会し、強大な敵を打ち倒し、世界を救う』というものだ」
淡々と、のよう見えて実はハインリヒと同じほどに熱い魂を燃やしている。
「本来なら公開オーディションの予定はなかったがせっかくの祭りということで、少々変更させてもらった。
それゆえ、今回のオーディションはオデ参加者全員を交えて一気にやる」
ギャラリーから「ええー」というどよめきがでる。
「一人一人やることで丹念に見ることができる利点もある。が、毎度同じ演技を見せられてもつまらない。
それならば同時にオーディションを行うことでそれを防げるというメリットにかけ、この公開オーディションを行う。
以上だ。各自衣装に着替えたらすぐに開始するからなるべく急いでくれ」
そう言ってクレーメックは審査員席に座り、じっとビキニアーマーを着込んだ少女たちを吟味し始めた。
オーディションはすでに、始まっていたのだ。
First |
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
9 |
10 |
11 |
Next Last