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リアクション
「だから私は公務の途中だと」
「平気平気、あんだけいるんやから一人くらいいなくてもばれんて」
「そういう問題ではなくだな」
「無限の祭りへさーいくどー!」
「話を聞け! ばかもの!」
ベシッ!
お後がよろしいようで。
「ちゃんちゃん」
「お前は一体何と会話しているんだ」
「日常の裏に潜む漠然とした不安感が素粒子レベルで物質化した何かと」
「そんな物騒なものがあってたまるか!」
ベシッ!
……お後がよろしいようで。
「ちゃんちゃん」
「ちゃんちゃんではない!」
ベシッ!
お後がよろしいようで! これ以上の天丼は認めません!
と、言うわけで漫才ノリで祭りを回るのは瀬山 裕輝(せやま・ひろき)、メルヴィア・聆珈(めるう゛ぃあ・れいか)のお二人だ。
「まったく、いきなり連れ出したと思えば急に漫才とは」
「あらら、もう抵抗しないん?」
「抵抗しても意味がなさそうだからな。しばしの間ならつきあおう」
「これはこれは、棚からぼたもちや! そんならお礼としてそこらの店から一つだけプレゼント差し上げちゃうで」
「いらん」
「そー言わずに、メルヴィンはどれがええのん? このお人形さんとかか?」
「メルヴィアだ。……公務中に人形など持ち歩けなどしない」
「んーなら、このブレスレットとか。腕ならバレんちゃうん?」
「そうだな。構わないだろう」
「ならこれで、いいんかね?」
「人の贈り物を拒むほど心が廃れているつもりはない」
「ならこれで」
ささっとブレスレット購入後、メルヴィアにプレゼント。
とりあえず祭り中、メルヴィアの腕には不真面目人間裕輝のなけなしの誠意がこもったブレスレットがキラリと輝いていた。
「んでこのブレスレットをつけたメルヴィンは見事に変態し」
「変態なのはお前だ、ばかもの!」
ついでにツッコミとボケのキレも輝いていた。
いろいろ輝いている二人を置いて次にやってきたのは【イコン格納庫】と【九条重工イコン武装製造工場】の合同で行われるカスタムイコン展示式。
世界中のイコン愛好家が集まり、展示されているイコンに舌鼓をうっている。
その他、工場で生産されているパーツの発注や購入も同時に行われている。
そんなメカメカしい場所に夏來 香菜(なつき・かな)とローグ・キャスト(ろーぐ・きゃすと)がいた。
「やはり、イコンは大きいわね」
「改めてみると、確かにな」
「……私の胸もこれくらい大きくなればいいのに」
「? 何か言ったか?」
「な、何でもないわ!」
大抵のことは聞こえるけどここぞという言葉は聞き逃しちゃうだー体質のローグに、香菜が呟いた小声は一生伝わることはないだろう。
「イ、イコンだけじゃなくて他の施設も随分と大きなところばかりよね!」
「ん、そうだな。半分以上の施設が巨大級だし、そう思うのも無理はないだろう」
『どれだけ大きくとも、興味がなければあまり意味はないけれどね』
「いきなり声が!?」
「ああ、悪い。こいつだこいつ」
『どうも、武器形態で失礼するね。エルナーガ・スネークアヴァターラ(えるなーが・すねーくあう゛ぁたーら)だよ』
「ギフ、トでしたか?」
「その通り。さすが委員長、物知りだな」
「委員長ではないのですが…」
そう、彼女の称号は【委員長】ではなく、【委員長肌】なのである。
ここは後でテストに出すからしっかり覚えておくように。
「さて。イコン展示式だけじゃ退屈だろう。いろいろ見に行くとするか」
「いいの? あなたが企画者でしょう?」
「企画者がいなくなって頓挫するような連中だったらここまでできなかったさ」
「……随分と信頼してるのね」
「仲間だからな。それに俺もいろいろ見ておきたいし。我が故郷の楽しんでる様をさ」
「それなら仕方ないわ。ついでにこの勢いに乗じてよからぬことをたくらむ者がいれば成敗しましょう!」
びしっとガッツポーズを取った香菜を見て軽く笑うローグ。そして早速、香菜が要注意者を発見したようだ。
「こらそこ! 道端に座りこまない!」
猪のように向っていく香菜。
「やれやれ、うちのフルーネと負けず劣らずの突進力だこと」
肩をすくめながらもフォローに入るため、香菜の後を追うローグ。
策士と委員長『肌』の二人はどう祭りを楽しむのか、楽しみである。
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