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リアクション
ところ戻って映画撮影。
「それではこれより、映画撮影を始める。最高のものにしようじゃないか!」
いよいよ準備も整い映画撮影がはじまった。
「サオリ、フィルムチェックその他ハプニング映像がないよう編集頼むぞ」
「了解ですぅ!」
今回のフィルムのチェックと編集を任されているサオリ・ナガオ(さおり・ながお)も気合を入れてこの撮影に望んでいた。
「残フィルム数はばっちりですし、編集ソフトも随時いけますね。
参加者のみなさん、万が一ハプニング映像があっても私がしっかり編集しますか心置きなくアクションしちゃってください!」
「よーしそれでは早速いくぞ! よーい、アクション!」
撮影が始まった。メインキャストに抜擢された五人。
「ようやく追い詰めたわよ!」
「弱き私でも、あなたを追い詰めることはできるのです!」
「さあ、終わりだ!」
「……」
「クックック、よくぞこの大魔道士モル・ラーを」
「カットカット! ゴットリープ! モル・ラーではない! ルモ・ラーだ! それに笑い方も作りものっぽいぞ」
「いや、ぶっちゃけどっちでもいいんじゃ……」
「いいのか? バラしてしまうぞ?」
「フゥハッハッハァー!! ビキニアーマーの戦士たちよ、驚いたぞ。よもやこの大魔道士ルモ・ラーを追い詰めるとはなァ!」
ハインリヒに言われ、苦渋の選択でこの撮影に入った『大魔道士ルモ・ラー』を演じるゴットリープ・フリンガー(ごっとりーぷ・ふりんがー)。
どうやらハインリヒに何か秘密を握られているようで
「おーその調子だ! サオリ、今のところだけ使おう。他は全カットで」
「了解ですぅ。ここをカットして、ここを残して。って、全体的にみなさん際どいです! これは編集が忙しそうですね……」
これからくる編集地獄にもめげないサオリ。
「さあ続き行くぞ! よーい、アクション!」
「もうあなたは逃げられないわ! おとなしくやられること、それがあなたにできることよ!」
「ほう。威勢がいいな! だが、これを見てもそんなことが言えるか? 出でよ!」
「……! イ、イングリット!」
「……」
舞香の前に現れたのはイングリット。だが彼女は敵として登場したのだ。
「フーハハハハ! 貴様らの同胞の何人かは洗脳させてもらったぞ!」
「ハッハー! お嬢さん方、これ以上は痛い目に遭うぜ?」
「わ、私は騎士アルテミス! あなた方が悪のビキニアーマー戦士だと聞き、成敗しにきました! (ど、どどどうしてキロスさんがー!)」
突然現れたキロス・コンモドゥス(きろす・こんもどぅす)に困惑しながらも必死に演技を続けるアルミテスト。+でハデス。
サオリが「今のどもりの部分は音声だけカットですぅ」と小声で呟きながらも撮影は進行していく。
「わたしは世界を守る戦士。そう、守るために、あなた方を倒さねばならない……!」
更に現れる三人目の悪のビキニアーマー戦士、優子。
「イングリット! あたしの声が聞こえないの、イングリット!」
「……」
「無駄だぜお嬢さん。こいつはもう洗脳済みだからな。さあ、ここからがショータイムだ!」
「その通りだ、闇の超大神官キロスよ。さあ、五人の戦士たち、心して掛かってくるがいい!」
「……カーット! いくばか演技にむらはあったが、よしとしよう。さて次のシーンだが、スペシャルゲストをお呼びしている」
「ご、ごきげんよう。泉 美緒(いずみ・みお)です」
「今回は美緒さんの類稀なるビキニアーマー力を存分に発揮してもらうべく、5人の戦士たちの窮地の助っ人として登場してもらうことにした」
「不束者ですが、よろしくお願いいたします」
「それじゃいくぞ? よーい、アクション!」
「おいおい、こんなものかよ? それじゃ世界なんて救えやしないぜ?」
「我が僕である発明品とヒロインにうにょうにょ絡みつく触手、名づけて『ウニョラー』の餌食となるがいい!」
何故か既にアルテミストが触手の餌食となっているが、
大人の事情(放送コード的な意味で)によりそこはカット予定なのであえてそのまま進行しよう。
襲い来る触手に万事休すの戦士たち! そこへ現れる超特大ビキニアーマー戦士!
「おやめなさい! ここから先はなりません! ここからは私、泉 美緒がお相手いたします!」
その通り! 触手×ビキニアーマー少女たちの未来となると、主に放送コードとの戦いが始まるのであるのでそれは避けたい! 頑張れ美緒さん!
っごほん。
颯爽と現れた白銀のビキニアーマーを纏う美緒が迫り来る触手を切り倒し、キロスへと駆け込む。
「ほう! 威勢がいいねぇ!」
「行きます!」
キロスと美緒の剣先が交わる。
ガキンッ!
激しい音を奏でながらも二人の攻防は止まらない。
「威勢だけじゃない、腕前もあるとは……こりゃ俺も本気で行かせてもらうかね!」
「私は負けません! この剣が折れぬ限り戦い続けます!」
その戦いの様を見た五人の少女たちも勇気と気力を取り戻し、各個撃破に向う。
その光景は壮絶だった。だが一番ヒヤヒヤしていたのは、
「そ、それ以上はダメですぅ! 見えちゃいますから! 見えちゃいますから!」
サオリだった。
「……カーット! 素晴らしい戦いだった! さあ撮影はまだまだ続くからな!」
そんなサオリの心中もしらず、監督であるハインリヒは満足そうだった。
ちなみにヒロインにうにょうにょ絡みつく触手名づけて『ウニョラー』の正体はゴットリープだったりする。
(あうう・・・こんな役で出演していたと知れたら、普通の女の子には絶対引かれるに決まってるよ〜)
とか思っていたようだが『ウニョラー』を演じる際には顔は出ないため、まあいっかと楽観ししていた。
しかしハインリヒは素晴らしい監督なのだ。どんなちょい役でも演じた者の名前をエンドロールに表示するようサオリに言っていた。
つまり、
ウニョラー ゴットリープ・フリンガー
となることは言うまでもないのだが、彼がそれを知り絶望するのはもう少し先の話である。
「はーい! 準備期間ぶりですね! 今回は開催期間の様子をレポートしますよ! レポーターは私、セレンフィリティ・シャーレット(せれんふぃりてぃ・しゃーれっと)と!」
「セレアナ・ミアキス(せれあな・みあきす)でお送りするわ。衣装については触れないで頂けるとありがたいわね」
いつも通りの過激ビューティー衣装に身を包んだ二人が元気と冷静の間でレポートに励むようだ。
「それじゃいきなりだけど、ここで映画のオーディションをやってるらしいから、私たちも参加してみましょう!」
喜び勇んで笑うセレン。そんなセレンに残念な知らせをするセレアナ。
「オーディションなら今さっき終わって、もう撮影してるらしいけど」
「……またまた、冗談でしょ?」
「そこらへん、見てごらんなさいよ」
セレアナに言われた辺りを見るセレン。
「次はここで登場していただきたく」
「そ、それはいいのですが……みなさんからの視線が突き刺さるようです……」
「フーハハハッ! なかなかいい役立ったぞキロス!」
「まっ、俺が本気出せばもっとすげぇけどなぁ? にしてもアルテミスはなんでそんな顔真っ赤なんだ?」
「(キロスさんにミラレタキロスさんにミラレタキロスさんにミラレター!)」
「まさかイングリットが生き別れた双子の姉妹だったなんて……」
「それは役の話ですわ」
先ほどの撮影を終えた面々が笑いながら(一部赤面、呆れながら)撮影の手応えを感じていた。
「どう? 理解したかしら?」
「……大丈夫よ。きっと撮影にはまだ間に合うわ! スタッフさん! 交渉よろしく!」
「はい?」という顔を隠そうともしないスタッフ。だが祭りならではの無茶振りがなんと通ってしまう。
「そんなわけで映画撮影はまた後でリポートしますので、私たちは次へと向いましょう!」
「行き会ったりばったりのこの番組だけど見てくれたら嬉しいわ」
さあ次の場所だー! と叫びながらレポートを続行する二人。次はどこで楽しむのやら。
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