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女王危篤──シャンバラの決断

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女王危篤──シャンバラの決断
女王危篤──シャンバラの決断 女王危篤──シャンバラの決断 女王危篤──シャンバラの決断

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セイニィ

「…………」
 十二星華セイニィ・アルギエバ(せいにぃ・あるぎえば)は、パッフェルの出ていった出入口と、メッセージを書いているティセラを見ていた。
 急に彼女に声をかける者がいる。
「セイニィー、久しぶりー」
 セイニィはあわてて振り返る。
「なによ! 別に、ちょっと見てただけでしょ!」
「へ?」
 セイニィに呼びかけた紫月 唯斗(しづき・ゆいと)は、きょとんとする。
「何って言われると、セイニィから女王へのメッセージをもらえないかなーって思って、頼みに来たんだが」
 唯斗は、メッセージについてセイニィに説明する。
 なお唯斗のパートナーたち、エクス・シュペルティア(えくす・しゅぺるてぃあ)紫月 睡蓮(しづき・すいれん)プラチナム・アイゼンシルト(ぷらちなむ・あいぜんしると)は、彼とは別行動で葦原島に向かっていた。しかし今回の件には、二人は間に合いそうもない。
 説明の最後で、唯斗は改めてセイニィに言う。
「みんなの言葉が、女王を元気づけるらしい。よろしく頼むよ」
 作ったような、ふてくされ顔で話を聞いていたセイニィは、これみよがしにため息をついた。
「しょうがないわね。そこまで頼まれるんだったら、書いてあげてもいいわよ」
 セイニィは唯斗から、手紙とペンを受け取り、考え考え、女王へのメッセージを書き始める。
 その様子に唯斗は、にっこり笑った。
「やっぱりセイニィは優しい女の子だな」
 セイニィがギッと彼をにらむ。ただ頬が少々赤らんでいるが。
「な、なに訳の分かんないコト言ってるのよ! ティセラもパッフェルも書いてるんだし、一緒に冒険した仲間のよしみで、しょーがなく書いてるだけよ。そもそも頼んできたのは、唯斗の方でしょ!」
 唯斗はひょいと肩をすくめる。
「そりゃなぁ、生きるか死ぬかって問題を知ったら放っておけないだろ?
 それにセイニィのことだから、少なからず責任感じてたりするのかなーと」
「そ、そんな訳ないでしょ! ……って、見ないでよ!」
 唯斗が書きかけの手紙を見るとはなしに見たとたん、グレートキャッツが空をかすめる。
「おおっと! 危ねーなー」
「書き終えたら渡すから、離れた所でおとなしく待ってなさい! いいわね。書いてる最中に見ないでよ。絶対にね」
「……それは『見ろ』というヒキか?」
「違うわよ!!」
 チラッと見えた限りでは、セイニィは女王を心配して真面目に手紙を書いているようだった。だからこそ見られたくないのだろう。
 唯斗は、まあ、おとなしく手紙の書きあがりを待つ事にした。