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マレーナさんと僕(1回目/全3回)

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マレーナさんと僕(1回目/全3回)

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 ■
 
 ……かくして襲撃騒ぎは幕を閉じたのであった。
 
 いや、いまひとつ。
 悠司によって告発された皐月とエッツェル、そしてキヨシの3名は、「のぞき」の首謀者として、女性陣からボコボコにされた上で、廊下にさらされた。
「たえるんだ! 決然とするんだ! それが『漢』てもんだ! キヨシ」
 皐月の言がむなしく空に響く。
 ともあれ、キヨシは皐月と友情だけは確保出来たようだ。
 
 が。
 
「何? こいつ、サイッテェーッ!」
 和希達が管理人室に入って行く。
「これでよし!」
 両手両足を縛られたキヨシは、ぽんっと額に貼り紙を張られた。
 そのまま、鼻歌まじりにナガンは管理人室に入って行った。
「『この男、のぞきにつき、晒す!』だってさ!」
 キヨシの茶碗にもった夜食を、鼻先に突きつけたのは、トライブ。
「サイッテェ、だな、あんた!」
 その傍を歩が過ぎ去って行く。
 一瞥もしない。
 キイッと明けて、管理人室の中が丸見えになった。
 マレーナが冷ややかな目で自分を眺めている……。
(うっ、そ、そんなぁ!)
 キヨシは泣きたくなった。
 たった一度の「愛の伝道」が、このような哀れな末路になろうとは!!
「くそ! もう『愛の伝道』なんて信じないぞ!」
「いや、『愛』があれば許されるのですよ。大丈夫!」
 ははは、と悪びれずに笑う。
 エッツェルは全く懲りないのであった。
(もう、やだ! こいつっ!!)

 彼等の目の前を、夜間巡回がてら、浴場の修理に向かうガイウスの姿がある。
(青年よ。
 彼女は何とも思ってはせんよ。
 悲しみの中にあるご婦人なのだ。
 だからこそ、日頃の世話に感謝し、微力になれればと。
 そうは思うのだが……)
 室内の和希と、次いでマレーナに目を向ける。

 ■
 
 その頃。
 管理人室ではチョットした騒動が起こっていた。
 下宿生全員が集まり、「女風呂のぞき&襲撃事件」勝利の祝勝会が開かれていた。
 
「おっぱい、おっぱい、世の女のおっぱいは、みぃ〜んな俺様のもんだぜぇ!」
 ゲブーは食気がおさまって満足したのか、手当たり次第に女性陣にセクハラをはじめた。
 いや、食気の方は……。
 
「おい、おっぱい管理人メシはまだか!メシは!
 メシを食わずに、クウダイに勝てると思ってやがるのか!」
 
 ……何か勘違いをしているようだ。
 マレーナに指図し、空いた方の手で欲望の触手を動かす。
 中でも気に入ったのは、歩。
 清純で、他と違うところが、気に入ったらしい。
「いや!
 やめて下さい!」
「へっへっへ……こっちきなぁ!
 おっぱいをもませろやぁ!!」
 ゲブーが追いかけ回す。わきわきと手を蠢かしつつ。
 その間に入って、マレーナは何を思ったのか?
 ゲブーの足を引っ掛けてすっ転ばす。
 歩に対しては、毅然とした態度で。
「歩さん。
 あなたに何の罪もありませんが、これは『女の意地』ですわ!」
「ま、マレーナさん?」