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リアクション
第2章 ぶっ殺しの歌
「ぶわっはっはっは! うまそうな獲物がだいぶ手に入ったところで、さて、どうしてくれようか?」
荒くれ者たちは、小高い丘の上に立てたいくつもの十字架の上の少女たちと、風に吹かれてまくれあがるそのスカートの裾の中身を目にして、意地汚い笑みを浮かべていた。
そのとき。
「ちょっと、待ったー!!」
別の荒くれ者たちの集団が、近くの薮の中から姿をみせたのである。
「んだ、お前らぁ? 邪魔すんじゃねぇ!!」
少女たちをはりつけにした方の荒くれ者たちは、顔を真っ赤にして怒り出した。
「いいブツをとらえたようだな。オレたちに寄越せ!! お前らのような下衆なチンピラにはもったいねえんだよ!!!」
乱入してきた荒くれ者たちは、凶悪な笑みを浮かべて迫る。
「だコラァ? ナメやがって。やんのかよ? ぶっ殺すぞオラァ!! こんの、ハイエナのウンコ野郎どもが!!」
下衆なチンピラ呼ばわりされた荒くれ者たちは、完全にキレてしまった。
「ハイエナのウンコ野郎だとぉ? おどりゃ、死にたいかー!!」
最初は余裕な笑みをみせていた襲撃者たちも、顔を真っ赤にして怒りだした。
「あん? ふざけたこといってんじゃねえよ。てめえこそ、死ねや!!」
「面白ぇ。てめぇらのその口に拳を叩きこんで、内蔵をひきずり出してやらぁ!! 地獄で後悔しろよ!!」
もはや、十字架の上の「獲物」のことなどは忘れてしまった様子で、二大勢力は互いを睨みあい、一触即発の状態となった。
「あーもーうっとおしいなー!! てめぇらは、なに、低レベルの争いしてやがるんだよ!!」
ラルク・アントゥルース(らるく・あんとぅるーす)のどすさまじい怒号を耳にして、それまでガンをつけあっていた荒くれ者たちは、はっと我に返ったように、現れた一人の戦士に顔を振り向けた。
「な、なんだてめえは? 一人か?」
歯をむき出してそううなってみせた荒くれ者たちだったが、ラルクの両肩に小山のように盛り上がった筋肉を目にして、早くもびびり気味になった。
どこまでも強大な、あまりにも強大な力。
それこそが、荒野に生まれ育った野獣たちが恐れる唯一のものだったのである。
「おう、俺は一人だ。悪いかよ?」
ラルクはそういって、丸太のように太い片腕を折り曲げ、みっちりとした力こぶを誇示するかのようにみせつけて、殺気のこもった目で荒くれ者たちをにらみつける。
いつの間にか、荒くれ者たちは、ラルクを取り囲むようにしていた。
荒くれ者たちの闘争本能が、どうすればラルクを殺れるか、血に飢えた妄想の中で「こいつは一人だからみんなでボコレば大丈夫だ」という結論を導きだし、彼らの身体をひとりでに動かしていた。
「こいつはまた、修行相手がずいぶん多くいるんだな。武者震いが止まらねえぜ! ケンカだからいっさい手加減しなくていいしな。殺しちゃってもいいってことだ」
ラルクは低い声でそういいながら、いつでも動き出せる態勢に入る。
「へっ、バカが。かっこつけてんじゃねえよ。ただ筋肉がついてりゃケンカに勝てると……」
「あぁ? うるせえんだよ。黙れ!!」
長ったらしい口上を述べようとした荒くれ者を、ラルクは一喝した。
「な!?」
あまりの気勢に目を丸くした荒くれ者の顔面に、ラルクの正拳突きが襲いかかってきた。
「ぐちゃぐちゃいってねえでさっさとかかってこいよ、このチキンがぁ!!」
「お、おわぁ!!」
ドゴーン
拳をモロにくらった荒くれ者の身体が、風に吹かれた木の葉のように勢いよく吹っ飛んだ。
「ぎゃ、ぎゃああ!!」
吹っ飛んだ荒くれ者の身体が他の荒くれ者たちの身体にぶち当たって突き動かし、巻き込まれて倒れた者たちの悲鳴が次々にあがる。
「あ、あがあああ」
ラルクに殴られた荒くれ者の身体は、30メートルほど吹っ飛んだ挙げ句、そこにあった大きな岩に激突した。
ずどーん
めりめりめり
恐ろしいことに、その荒くれ者の身体は、あまりの勢いに、岩の中にめりこんでしまったのである。
失神した荒くれ者の流す血潮が、岩を赤く染めた。
「な……」
さすがの荒くれ者たちも、ラルクのすさまじい拳撃の威力を目にして、しばしの間かたまってしまった。
「何だ? もうブルッちまったのか? ケンカやるんだろ。違うのかよ? 早くかかってこいよ。おら!!」
いいながら、ラルクは自分から駆け出していた。
とりあえず、一番体格の大きな相手に向かっていく。
「おりゃああああ!!!」
「ぐわああああ!!!」
その相手は、ラルクと少しの間組み合ったかと思ったら、次の瞬間には天高く投げ飛ばされていた。
「ち、ちきしょう!! ナメやがって!! だりゃー!!」
ここにきて、荒くれ者たちはやっと覚悟を決めて、ラルクにいっせいに襲いかかっていった。
「何だ、ごちゃごちゃきたか。邪魔だー!!」
ラルクの拳と足が疾風のように宙を舞い、襲いくる敵を勢いよく蹴り飛ばしてゆく。
と、そのとき。
がしぃっ
「うん!?」
思わぬ衝撃に、ラルクは目を見開いた。
とある戦士が、ラルクの放った拳をしっかりと受け止めてみせたのである!
「なかなかやるじゃねえか。パラ実あがりがよぉ」
夢野久(ゆめの・ひさし)が、ラルクの拳を封じた掌をギリギリと震わせながら、低い声で囁く。
「へっ、やっと骨のある奴が出やがったか。面白ぇ」
ラルクはニッと笑うと、もう片方の拳を、夢野に向かって突き出した。
「だりゃあ!!」
「甘いんだよ!!」
夢野は、ずっと受け止めていた方のラルクの拳を突き飛ばして、身体をひねると、いま突き出されてきた拳も受け止めて弾き飛ばし、間髪入れずに自分の拳を、ラルクの顔面に叩き込んだ。
「お? ぐわああ!! お、面白ぇ。本当に面白いぜぇ!」
とっさに防御態勢をとったものの、夢野の拳をくらってしまったラルクは、額から血を流しながら、興奮した口調で叫ぶ。
「ぶっちゃけ、俺は女なんかどうでもいいんだよ。ただ、暴れまわって、思いきり殴りあいしたいだけだぜ」
夢野は、ラルクを睨んでいった。
「おう、奇遇だなぁ」
そういって、ラルクは鋭い角度で跳躍した。
「俺も、お前と同じだよ!! ただ闘いたいぜ!!」
ラルクが夢野のやや上の空間から、絶妙なタイミングでまわし蹴りを繰り出す。
「ぐ。ちいぃっ」
すさまじい蹴りの一撃を、両肘を立てて防いだ夢野の唇が、ラルクのつま先に若干かすられて、びりりと血を吹いて裂けた。
「殺していいか?」
「愚かなことをいうな。やるか、やられるか。それだけだ」
着地したラルクの問いに、夢野が渋い声で答える。
2人は少し距離を開けて、しばしの間睨みあった。
単なるガンつけではない。
お互いの隙をうかがっているのだ。
周囲の荒くれ者たちは、固唾をのんで、2人の闘いの行く末をみとどけようとした。
だが。
「バーカ。なに、ギャラリーきめこんでんだよ。ケンカだよ、ケンカ! 手を止めずに闘うんだよ!」
白津竜造(しらつ・りゅうぞう)が、そんな荒くれ者たちに、情け容赦なく襲いかかっていったのだ。
「ぎゃああ!!」
「おわああ!!」
白津によってなぎ倒された荒くれ者たちの悲鳴が、虚空に響きわたる。
「悔しかったら闘うんだよ。てめえら、何のために生きてるんだよ!!」
白津は悪魔のような叫びをあげながら、しゃにむに走った。
白津もまた、「女などはどうでもいい。闘いのために生きる」というタイプであったのだ。
「お待ちなさい! 典型的な方ですわね。こんなに面白そうな喧嘩、是非とも参加させて欲しいですわ。あなたを倒して、パラ実進出の第一歩にしましょう。私と勝負ですわ」
セシル・フォークナー(せしる・ふぉーくなー)が、両手のトンファーを構えて白津に殴りかかっていく。
「上等だ!! だてにケンカ三昧やってねえんでな!! てめえごときは3秒でKOだ!!!」
白津はセシルに怒鳴った。
「3秒もかかるんですか? 私はあなたを0.5秒でノックアウトできますわ」
セシルは笑って、いった。
「なにー!? って、それいってる間に0.5秒たってるじゃねえか!!」
一瞬驚いてから、すぐに白津は気づいて、青筋をたてて起こった。
「隙ありですわ!!」
どごおっ
そんな白津に、セシルは情け容赦のない打撃をお見舞いする。
「いってー!!」
白津は頭を抱えこんだ。
「あら? これだけで死ぬはずですのに、さすが丈夫ですわね」
セシルは、目を丸くしていった。
パラ実生の体力は、セシルの予想を超えていた。
でも、負けない。
セシルは、拳を握りしめた。
何も考えない。
ただひたすら全力で殴る。
殴って、殴って、相手を倒すまで殴る。
それができないようでは、とてもパラ実をシメることなどできないのだ。
「くっそー!!」
「やってやる!!」
白津たちに刺激されて、荒くれ者たちは互いに殴りあい、殺しあいを始めた。
もはや、誰が敵で誰が味方なのか、わからなくなった。
ただ、闘争本能の赴くままに、目の前の相手に襲いかかっていった。
まさにカオスのケンカである。
そもそも何でこのケンカが始まったかは、男たちにとって永遠の謎であった。
「おい、そこの2人。全力でやりあえよ。勝った方を俺が殺してやるからな!!」
白津が、死闘を繰り広げるラルクと夢野に声をかけた。
「おう。おまえと修行するのは楽しそうだぜ! まったく、今日は酔狂な奴らが集まったもんだ!!」
ラルクは、白津にこたえて、ニッと笑ってみせた。
「今日はみんな、勢いがあるな。白津、お前との決着を今日つけられるなら、それも粋なことだぜ」
夢野もまた、白津にこたえて、血の混じった唾をペッと吐き出した。
闘いは、いよいよ苛烈になっていった。
「おお? あれは、お祭りでしょうか?」
激しいケンカが巻き起こっている丘の近くを通りかかったルイ・フリード(るい・ふりーど)は、ふと足を止めて、目をこらし、混乱の様子をまじまじとみつめた。
「何をしている。ルイ、早くイルミンスールに帰ろうではないか」
リア・リム(りあ・りむ)は、とりつかれたような様子で直立しているルイの袖を引っ張るような仕草をしてみせた。
「了解です。しかし、あれをみて下さい。みなさんが、自分の力を試そうと、全力で闘っています」
ルイは、丘の上に目をこらしたまま、いった。
「それがどうしたのだ? あれはシャンバラ大荒野に巣食う荒くれ者たちのケンカだ。犬も食わないという代物で……」
「青春です! あれは、まぎれもなく青春です!!」
リアの言葉を遮って、ルイは興奮した口調で叫んだ。
「はあ? あれは青春などではない。ただ本能の赴くままに……」
呆れたリアが、諭すような口調でルイに語りかけるが、ルイは聞いているのかいないのか、
「そう、本能です。私は、本能の赴くままに、あれに参加します」
「何だって。おい、待たないか」
丘の上に向かって駆け出したルイを、リアは慌てて追った。
「止めても無駄ですよ。それとも、リア、あなたも来ますか?」
「行きたくはないが、私が援護しなければ、ルイ、お前が大変な目にあってしまう。ああもう、人を面倒に巻き込むものでは……」
リアの言葉を最後まで聞かず、ルイは、丘の上の大ゲンカに自ら飛び込んでいった。
「ハーイ、みなさんこんにちはー!!」
ルイは、満面に笑顔を浮かべて、筋骨隆々とした両腕を広げて、荒くれ者たちの殴り合いにわりこんでいく。
「うん、何だてめぇは? 関係ねえ奴はくるな。ぶっ殺されてえのか?」
荒くれ者の一人が、ルイを睨んで、吠えた。
「みて下さい! みなさん若いですが、私はまだまだ現役です! 鍛え抜かれたこのマッスルボディが、そして、闘魂がありまーす!!」
ルイは爽やかな笑顔を浮かべ、拳を大きく振り上げた。
「な!? や、やんのかよ!!」
荒くれ者はルイの勢いにおされながらも、必死でガンをつけ、自らもルイに拳をうちこもうとする。
「ハーイ、やります!! レッツ乱入!! ファイト、ファイト、ふぁいとぉおおおおおおお!!! ハハハハハハハハ!! 爽快!!」
ルイは笑いながら、腕を振りまわして、すさまじい拳の一撃を荒くれ者の顎に決めた。
「お、おわあああああ!!」
嵐のような一撃を受けて、荒くれ者はそりかえって、鼻血を吹きながら倒れた。
「レッツ、ステップ、ダンシング!! ヘイヘイヘイ。次は誰ですか? なりふり構わず殺して闘う、男の世界でダッシュダッシュダーッシュ!!」
そこに。
「ヒャハー! おぱーい!!!」
ゲブー・オブイン(げぶー・おぶいん)がピンクモヒカンをゆさゆさ揺らしながら、猪突猛進のノリで突っ込んできた。
「あらたな挑戦者ですね? 青春しましょう。拳でわかりあいましょう。やんのかよ? やりましょう!!」
ルイは、ゲブーにもリズミカルなパンチを叩きこむ。
どごっ、どごっ
「あ、あがあ!!」
顔に、顎に、胸にルイのパンチをくらったゲブーの身体がガクガクとけいれんし、血を吹きあげる。
「てめえも、俺様のおっぱい追究を邪魔するつもりか? みろ! あの十字架の上の、風に吹かれるおっぱいを!! 誰かにあたためてもらうのを、いまかといまかと待っているんだよ!!」
ゲブーは、十字架の上にはりつけにされている少女たちを指して、いった。
誰もが忘れている「ケンカのきっかけ」を、ゲブーはしっかり意識していたのである。
ゲブーは、暴れまわるだけでいいなどとは、決して思っていなかったのだ。
何といっても、女。
というか、おっぱいである。
「アハハハハハ! 愉快な方ですね。私のおっぱいはどうですか? これでも筋肉ついてて、わりと大きめですよ?」
ルイは笑って、上着を脱ぎ捨て、筋肉が発達しているために普通の男性よりはふくらんでみえる胸を示して、いった。
「かーっ、何だ、その、ゴツゴツした乳は! 申し訳程度に存在する乳首は! 許さねえ、許さねえぞ、コラ!! 俺様の邪魔をした罰を受けてみろい!!」
ゲブーはルイの冗談に顔をしかめて怒り出すと、相手のマッスルボディに向かってダッシュした。
「本気ですね? いいですよ。受け止めましょう。これぞ青春!!」
ルイは、両肘をたてて、ゲブーの拳を受け止める態勢に入った。
「死ねコラ、ボケがぁああ!!」
顔を真っ赤にしたゲブーの野蛮な拳が、ルイの顔面に叩き込まれた。
ルイは受け止めるが、ものすごい力だったので、足がよろけた。
「俺様はおっぱいのためなら本気になるんだ! くらいやがれー!!」
ゲブーはさらに拳を放つ。
鋭い角度で放たれた一撃が、ルイの防御の隙間をついて、その頬にダメージを与えることに成功した。
どごおっ
「ぶふっ! いいですね、この痛み。この血潮!! 熱く燃えたぎる若人たちの青春大バトル!! 私も負けていられません。まだまだ現役ですよぉ?」
ルイは殴られてはれあがった頬をさすって、血がにじんでいるのを確かめると、指についた血をなめてニヤッとし、すぐに身体をひねって、矢継ぎ早の攻撃をゲブーに繰り出した。
どごどごどごどご
「お、おわ! 連続攻撃かよ!! やるじゃねえかよ、おわ、おわ!!」
次から次へと放たれる拳の乱打にゲブーはおされ気味になるが、それでも負けじと反撃する。
「よし、ゲブーと一緒にこいつをシメちまおうぜ!」
「おー!!」
荒くれ者たちは、ゲブーとともにルイを攻撃しようと、いっせいに包囲して襲いかかろうとした。
そのとき。
「ルイ、伏せろ!!」
だだだだだだ
リアの叫び声とともに、大量のミサイルがゲブーと荒くれ者たちに撃ち込まれた。
ちゅどーん
どどーん
「お、おわあああ」
ミサイルは地面に激突して大爆発を巻き起こし、荒くれ者たちは悲鳴をあげて逃げ惑う。
「リア、あなたも青春してますか?」
「バカをいうな。死闘の世界に青春などない。お前が低次元のケンカに首を突っ込むから、僕はこうして援護して、しなくてもいい闘いにわざわざ関わらなくてはならないのだ」
ルイの問いに、ミサイルを放ったリアは膨れ面になって答えた。
「青春は爆発です! もっと撃って下さい」
ルイは、ニカッと笑っていった。
「いわれなくてもやるつもりだ。こうなった以上、全員を焼き払って早々に離脱せねばな!!」
リアは、2門のレーザーガトリングを次々にぶっ放して、クロスファイアで荒くれ者たちを掃討しにかかった。
だが。
「ちっちっちっ、何だよ、それは。ちっともききやしねえんだよ!!」
どんなに爆発に巻き込まれても、ゲブーはまったくこたえた様子もみせず、真っ黒な身体をゆさゆさ揺らして、ルイに襲いかかってくる。
みれば、ゲブーの頭のピンクモヒカンだけは黒こげにもならず、ふさふさと存在感を誇示している。
「しぶといチンピラだな。その趣味の悪いモヒカンともども灰にしてやろう」
リアは、ゲブーに集中攻撃の構えをみせる。
そのとき。
「て、てめえ!!!! いま、何といった? おっぱいの邪魔をするだけでなく、俺様のモヒカンをバカにするとは!!! 断じて許せねええ!!」
ゲブーの目に怒りの炎が燃えあがり、くるりと振り向くと、リアに向かって突進した。
「な!!! くるな!!」
驚いたリアは、弾幕をゲブーの全身にお見舞いする。
「オラ!! 全然たりねえんだよ!!」
ゲブーは、何発くらっても平気な顔だ。
ピンクモヒカンも、決して汚れることがない。
「狂ってる! うわー!!」
ゲブーの拳が放たれたとき、さすがのリアも悲鳴をあげた。
「素晴らしい!! 怒りと爆発の青春サマータイムですね!!」
ルイは、ゲブーにタックルをくらわせて、リアから引き離させると、楽しそうに微笑んだ。
「ちいっ、クソがあああああ!! 負けねえぞオラアアアア!!」
ゲブーは吠えながら、ルイに殴りかかる。
「ファイト!!!」
何発くらっても、ルイは微笑みながらやり返す。
「勘弁してくれ。何で僕までスリルを味わわなければならない?」
ゲブーに殴られずにすんだリアはため息をついて、座り込んでしまった。
そんなリアになどお構いなしに、ゲブーとルイは死闘にはまりこんでいくのである。
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