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【2022クリスマス】聖なる時に

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第10章 夜が訪れて

 ダンスパーティが終わる前に、アレナ・ミセファヌス(あれな・みせふぁぬす)は、空京にあるロイヤルガード宿舎の自室に戻ってきていた。
 パートナーの神楽崎 優子(かぐらざき・ゆうこ)が、友人を連れて泊りに来るかもしれないと言っていたので、掃除をしたり、干していた布団を取り込んだり、日が暮れる前にやっておきたいことが沢山あるのだ。
「大掃除みたいですね。窓も拭いておこっか♪」
 ロイヤルガード隊員である秋月 葵(あきづき・あおい)が、お掃除を手伝いに来てくれた。
「でも優子さん、あまりお友達連れてこないかも、です」
 宮殿で会った優子の話では、今晩は今のところ友人と会う予定はないとのことだった。
「そうなんですか、それは良かったですね♪」
「はい、でもいっぱいの方が、優子さん楽しいと思うので……」
 アレナは複雑そうな表情をしている。
(これはチャンスだよ♪)
 葵は、そんなアレナの様子を見ながら思う。
(恋する?少女を応援するのも魔法少女の務めだもん……よーし! 頑張るぞー!)
 内心気合を入れながら、葵は窓をきゅっきゅっと磨く。
「パーティの打上げとかあるなら、そっちで楽しんできてもらった方がいいかもですね……。朝までコースっていうので」
 桃色と、黄色の花を活けながらアレナが呟きのような声で言った。
「皆と騒ぐのも楽しいとは思いますけれど、クリスマスの深夜はアレナ先輩と静かに過ごしたいんじゃないかな♪」
 葵の言葉に、アレナは淡い笑みを見せた。
(うーん、二人とも似た者同士なんだよね……互いにどこか相手に遠慮してる所があるし、一歩踏み込まないと…永遠に進展しない気がするよ)
 葵は内心ため息をつきながら、部屋をきれいにしていくアレナを見ていた。
「よし、窓ふき終了です♪ アレナ先輩、夜まで予定入ってるんですよね?」
「あ、はい」
「それじゃ、あたしは一旦帰りますね♪」

 葵は、手を洗ってまた後で顔を出すとアレナに約束をすると、一旦自分も恋人のところへ戻っていった。
(クリスマスだし、告白するチャンスだと思うの♪ ……恋とは違う愛だったとしてもね)
 見送ってくれるアレナを見ながら、葵は微笑んで、元気いっぱい手を振った。