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【2022クリスマス】聖なる時に

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【2022クリスマス】聖なる時に
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リアクション

 華やかな刺繍が施されたキュートで豪華なドレスを纏った女性が、蝶のように軽やかに、華のように艶やかにダンスを舞っていた。
 全ての曲を踊り終えると、相方の男性が軽く苦笑のような笑みを浮かべる。
「流石に全曲踊るというのは想定外だったぞ」
「疲れた? ルカはまだ平気よ」
 ルカルカ・ルー(るかるか・るー)が、ダンスのお相手、パートナーのダリル・ガイザック(だりる・がいざっく)に微笑んだ。
「体力は訓練と任務で培ったとして、作法や振る舞いは何時何処で習ったのだ?」
 ルカルカは特殊部隊で、訓練と任務に明け暮れていたはずだ。
 教導団でも、社交ダンスや、一般的なマナーは習うが、ここでのルカルカの立ち振る舞いは上流階級の立ち振る舞い、礼儀作法のように見えた。
 一体どこで? とダリルは疑問に感じたが。
「それはねぇ……ひ・み・つ」
 あはっと笑うルカルカに、ダリルは今度こそ苦笑する。
「また秘密か……。よくよく秘密が多い娘だな」
「ふふ。いつも公務で訪れている宮殿だけれど、こうして楽しむ為に居るといつもと違う華やいだ気持ちになるわよね」
「まあ、そうだな。その格好もだが」
「これね、友達からもらったドレスなの。イヤリングは彼から」
 ルカルカは嬉しそうに言う。
 淡蒼色のイヤリングは、目立つデザインではないがルカルカの美しさを引き立てている。
「お待たせいたしました」
 ダリルが手上げて呼んだボーイが、シャンパンをもって2人に近づいてきた。
 ルカルカとダリルは、グラスを受け取って。
「メリークリスマス、ダリル」
「ああ、メリークリスマス」
 微笑み合い、シャンパンを戴く。
「……」
 ダリルがシャンパンを飲む姿を見ながら、先ほどまでのダンスをしていた姿を思い浮かべ、ルカルカはちょっと彼に見惚れてしまう。
(やっぱりダリルってばカッコいいわ。顔もスタイルも、立ち振る舞いも素敵。頭もいいし……。コンサートの曲や、逸話なんかも色々知ってたし。今日も知識面、頼りっきりだったなぁ)
「なんだ?」
「!? こ、このシャンパン美味しいね。ダリルも好き?」
 ルカルカはにぱっと笑ってごまかす。
 見惚れていたことが知られたら、あの毒舌で何を言われるかわかったものじゃない。
「ああ、地球のスパークリングワインも悪くはないな。――さて、挨拶に回るぞ」
 自然な振る舞いで、ダリルはボーイを呼んで、空になったグラスを渡す。
「え? でもお腹が……」
「随分と目立ってしまったからな、挨拶せずに帰るわけにもいかんだろ」
「うーん」
 ルカルカは、グラス両手で包み込み。
 視線はテーブルの上の、軽食に向けていた。
 軽食とはいえ、高級な美味しそうな料理が色々と並んでいるのだ。
「た、食べたい……」
「踊りまくったせいで、時間がない」
 ダリルに言われると、観念したように大きく息をついて周りに目を向けた。
「そうね……。それにしても、改めて見ると有名人多いわー」
「ま、お前もある意味そうだがな」
「ある意味ってなによ」
「いや、普通に、ロイヤルガードだから、だが?」
 ダリルは目を悪戯気に煌めかせた。
 ルカルカはちょっと膨れながらも、彼についていき。
 知り合い達に挨拶をして回る。

 御神楽夫婦や、各学園の要人達。
 警備をしていた神楽崎優子や、顔を合せた事のある龍騎士にも。
 軍服の時とは違う作法、立ち振る舞いで、ルカルカとダリルは挨拶を交わしたのだった。

 〜帰宅して〜