空京

校長室

【ろくりんピック】最終競技!

リアクション公開中!

【ろくりんピック】最終競技!
【ろくりんピック】最終競技! 【ろくりんピック】最終競技!

リアクション



障害物借り物競争4~とある世界一の障害物食べ物競争~


『さぁて! 3戦を終えて東1位が2回! 西1位が1回! 第4レースはどうなるでしょーかっ! 準備のできた選手達が入場してきます! しかし今回はこれ、あれ……障害物競走だよねっ? おいしそう、食べたいよー!』
「片方は止めた方がいいらしいぞ」
『えー……羽純くん、知ってるの?』
「休憩の時、スタッフから聞いた。観客でもアレの正体を知っているやつが何人いんのかねえ。それより実況実況」
『あ、では、出場選手を紹介しまっす! 第4レースは……』

 1コース (東)ザカコ・グーメル(ざかこ・ぐーめる)強盗 ヘル(ごうとう・へる)
 2コース (東)ルイ・フリード(るい・ふりーど)リア・リム(りあ・りむ)
 3コース (西)荒井 雅香(あらい・もとか)
 4コース (西)久世 沙幸(くぜ・さゆき)
 5コース (西)裏椿 理王(うらつばき・りおう)
 6コース (西)緋桜 遙遠(ひざくら・ようえん)
 7コース (西)水無月 零(みなずき・れい)
 8コース (西)神崎 優(かんざき・ゆう)

「東ー、ファイトー」
「イーシャンのみなさま、そ、その調子で頑張ってくださいませ! フレー、フレー、イーシャン!」
 崩城 ちび亜璃珠(くずしろ・ちびありす)泉 美緒が応援している。美緒には、まだ恥ずかしさが残っているようだ。崩城 亜璃珠(くずしろ・ありす)は、そんな彼女を目を細めて観察していた。主に、チア衣装を。
(なるほど、誰が考えたか知らないけど、この子にチア衣装……実にけしからん、素敵じゃない。でも、まだ足りないわ……)
「美緒」
「はあ……はあ……、何ですか? お姉様……」
「私が、女の武器の使い方を教えてあげるわ。こうするのよ……」
 そう言って、亜璃珠はサイコキネシスを使って自分のおっぱいを揺らして応援してみる。スカートの裾もひらひらとさせた。
「あ、あの……亜璃珠お姉様、それは……」
「あなたにもしてあげるわ。ほら、応援して」
「い、イーシャン、頑張ってくださいーーー! ……あっ! そ、そこは……!」
 胸にサイコキネシスをかけられて、美緒は顔を赤くした。何かを感じたようだ。
「お姉様、みなさまの視線が……」
「……大丈夫、恥ずかしがることはないわ。あなたのあられもない姿を皆に見てもらいましょう?」
「あっ……そんな、やめてください……」
「ほら、だんだん気持ちよくなってくる……」

 西側応援席では、桜塚 屍鬼乃(さくらづか・しきの)が相変わらずパソコンを開いて選手達のデータを整理している。興味無さそうに時たまトラックに目を遣るが、それも理王を見ているというよりは他の女子選手をチェックする為、という方がしっくりくる気がする。屍鬼乃の隣では、藍玉 美海(あいだま・みうみ)が観戦していた。選手として出場しないのは、手分けして効率良く借り物を探すためである。紫桜 遥遠(しざくら・ようえん)も同様だった。
《東シャンバラチームから2組、西シャンバラチームから6組。西の選手の方が相対的に多いですからね。こういう組み合わせも発生するというわけですか。負けている西としてはチャンスと言えます》
「雅香、まあ頑張れよ! 西は総合得点でも負けてっからなあ!」
 レースを終えたイワンが選手用テントから声を張り上げる。
「ふ~ん、西は今負けてるの?」
 雅香は口元に笑みを浮かべた。姉御! という感じのさっぱりとした笑いである。ちなみに、彼女は第4レースで1番の年長、34歳だ。
 34歳がブルマをはいている。
「フフッ、いいじゃない。最後に勝てばいいんだから。油断してる東を逆転するチャンスよ」
「とんでもない! 東はまだまだ油断なんてしてませんよ!」
 隣に立つルイが笑顔を向ける。
「そして、このまま勝つのだ!」
 リアも気合を込めて言った。ルイと出会ってから随分と経っている。サポートなら自信があった。
「西シャンバラチームも負けないんだもん。最終競技で逆転するんだもん」
 逆隣の沙幸も会話に参加してくる。雅香はそうそう! と続けた。
「逆転劇を演じられると思えば、今負けている事なんか全く苦にならないわ。逆に燃えてくるじゃない! ねえ!」
 横に並ぶ西チームの面々を鼓舞するように発破をかけると、優と零が頷き、遙遠も応える。
「ええ。勝負事はやはり勝たなくては……スキルを駆使して必ずや勝利しますよ!」
「おう! オレ達で西の勝利をもぎとろうぜ!」
 ガッツポーズをして理王も言う。そこで、ピストルが鳴った。一斉に選手達が走り出す。

「10」のカードを拾い、ルイはひっくり返す。書いてあったのは――

『馬鹿笑いしてるコリマの写真』

「また、難しいお題ですね……!」
「いや、でもこれは何か想像出来るのだ! 西側の応援席に行って聞き込みをしてみると、意外と見つかるかもしれないのだ」
「こんなお題を書くとは……天御柱の生徒でしょうか?」
 これは、茅野 菫(ちの・すみれ)相馬 小次郎(そうま・こじろう)がバイト時にこっそり忍び込ませたものの1つである。
 それは兎も角、ルイ達は『馬鹿笑いしてるコリマの写真』なるものを手に入れる為に、全力ダッシュを使って西側のスタンドに行った。応援席の間を歩きながら、スマイルを浮かべて紳士的に聞き込みをしていく。
「『馬鹿笑いしてるコリマ校長の写真』を持っている方いらっしゃいませんか。持っていらしたら是非ご提供をお願いします!」
「『馬鹿笑いしてるコリマ校長の写真』を借りたいのだ! 何かのイベントとかでそういう写真を撮った人がいたらよろしくなのだ!」
 リアはルイから少し距離を取って声を掛けていく。範囲が少しでも広い方が早く見つかると思うからだ。
(馬鹿笑い馬鹿笑いと、そこを強調しなくてもいいだろう……。ん? 何だって? そこが1番重要だからじゃないか、だと? まあそうかもしれんがな……)
 その様子を眺めながらコリマ・ユカギール(こりま・ゆかぎーる)がVIPルームで独り(?)ごちている時、観客席では、リアがこんな会話を聞き取っていた。
「おい、お前コリマ校長の写真をじーっと見てどうしたんだ?」
「ソートグラフィーをやってみる。丁度デジカメ持ってるし。これだけコリマ校長の顔を見まくってから想像すれば、それなりのが出来る筈だ」
「でも……あの2人はイーシャンだぞ? 俺達は西シャンバラ……」
「いいんだ! 僕はコリマ校長にこの写真を見せたいんだ! 僕のソートグラフィーの能力を認めてもらうチャンスだ! 馬鹿笑いするコリマ校長、馬鹿笑いするコリマ校長……」
「……ルイ、こっちなのだ」
 リアはルイを引っ張って彼等の所に連れてきた。4人でデジカメを囲み、真剣に見詰める。
 さて、『馬鹿笑いしてるコリマの写真』は出来るのか……!?

「こ、これは……!」
「12」のカードを拾ったザカコは、その借り物に驚いた。背景でぴしゃーん! とか稲妻が光りそうな驚きだ。
「なんだ? 何が書いてあるんだ?」
 横から覗き込み、そしてヘルも驚いた。『者』ではない。だが――まさかの物体だ。

『ジェイダスのふさふさ』

「ふさふさ……! って、あの、薔薇学の校長室の全容を隠しているという噂のふさふさか?」
「そのふさふさですね」
 募金すると貰える赤い羽根を超巨大にして、8枚くっつけたかのようなあのふさふさである。9枚目は無いだろう。……無いよね?
「こりゃあ、観客席をまわっても仕方ないな。VIPルームに行こうぜ」
「……そうしましょう」
 ザカコはヘルを伴ってバーストダッシュを使い、観客席に移動する。そこから、VIPルームへと向かった。

 そしてここにも、絶句する選手が2人。
「……………………」
 神崎優は、「2」のカードを前にして完全に思考停止に陥っていた。拾ってしまったのは――

『セイニィのパンツ』

 ひたすら絶句していたい気もしたが、そんな訳にもいかず。別枠で出場している零の方を見ると、彼女は顔を真っ赤にしてあたふたとしていた。
「どうした、零。何を……」
「こ、これ……」
 零が見せたのは、『パートナーの下着』というカードだった。
「…………」
「え、えっと……か、貸してくれる?」
「…………」
 迷っている暇は無い。お互い、目指しているのは優勝なわけで。こうしている間にも時間は刻々と進んでいるわけで。
「………………………………ちょっと、待ってろ」
 零はテントの中に入ると、下着を持ってきた。それにしても、この借り物は記憶が正しければ2回目だ。なんだろう、ここの運営はパンツとか下着とかが好きなのだろうか。
「あああ、ありがとう……」
 零はますます顔を赤くして受け取った。障害物に向かう。
「さて、こっちは……どうするかな。その前に、今日セイニィ来てるのか?」
 とりあえず、観客席まで行って探してみよう。コレが最後だから、自分の持てる力を発揮させて、全力で挑む!!

「パンツを当てた奴がいるみたいだな。近頃はやたらパンツパンツと騒がれているようだけど……真のロマンはパンストにあると信じている!」
 そんな訳で、理王は観客席に走っていった。スカートを穿いた観客に声を掛ける。
「すみません、借り物のチェックをしたいので失礼しますね」
「きゃっ!?」
 言うや否や、お姫様抱っこしてパンストを穿いているかチェックする。最近は生足勝負をしている女性も多く、東シャンバラのユニフォームじゃないけどスパッツ(レギンス)とかも流行っているので皆が皆パンストを着用しているという訳でもない。
「ありがとうございました」
 女性を降ろす。あくまでも紳士的な態度だ。しかし、そこにデータ収集――いや今日はパンスト収集か――以上の意味は無い。
(ハズレか……! 次!)
 あ、言い忘れたが彼は自分の趣味のためだけにパンストを求めているのではない。「6」の借り物は『パンスト(パンティーストッキング)』である。大丈夫。お姫様抱っこした瞬間にパンストを抜き取る技は会得してある。パンストだけではない。別のものでも、とりあえずお姫様抱っこすれば大抵のモノは抜き取れる。
 という訳で、理王は態度は紳士でも、実は大喜びでお姫様抱っこを敢行していた。次々と、次々と。
 そんな彼を視界の一部に入れながら、屍鬼乃は相変わらずパソコンに向かっていた。各学園の女子生徒の能力値と体格の比較とかをしている。
「……この学校の女子生徒の体力値は異常だな。男の娘が多いせいだろうか」
 呟きながら、改めて理王の方を見た。彼が抱っこしている相手の何割かは男の娘と思われるが、特に教える気も無く黙っていることにした。