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リアクション
■ヘクトルと第七龍騎士団3
思うように身動きの取れなくなっていたヘクトルの元へ、
緋桜 ケイ(ひおう・けい)と
悠久ノ カナタ(とわの・かなた)のアルマイン・マギウスと、
ソア・ウェンボリス(そあ・うぇんぼりす)と
雪国 ベア(ゆきぐに・べあ)のメカ雪国ベアが接近する。
「もし……また俺たちが第七龍騎士団を退けることができたなら……
帝国でどんな責任を取らされるんだ?」
ケイは、静かにヘクトルに問う。
「そのようなことはない。もはや、キマクは落ちる。無駄なあがきはやめろ!」
ヘクトルは迷いを断つように言う。
「もし、重い懲罰もありえるのなら、シャンバラに留まることはできないのか」
ケイはさらに続ける。
「ヘクトルさんが祖国のことを大切に想っていることはわかります。
でも、ヘクトルさん自身は、こんな戦争は望んでいないんじゃないですか!?」
ソアも、ともにヘクトルを止めようとする。
「戦場で馴れ合うつもりはないと言ったはずだ!」
しかし、ヘクトルは止まることはない。
キャノンが破壊されているため、射撃こそできなかったが。
「じゃあ、力づくでいくしかねえようだな!」
ベアは言い、
メカ雪国ベアがヤークトヴァラヌスの足に絡みつく。
「……其の場凌ぎにしかならぬが、ヘクトルとシャヒーナの身の安全も保障されよう」
カナタは、アイシャや理子、セレスティアーナであれば、
裏切ったヘクトル達を受け入れてくれると考えていた。
「どけ!
どかぬのならば!」
ヘクトルは、メカ雪国ベアをクローで殴りつける。
「きゃあああああっ」
「ご主人ッ!」
メカ雪国ベアの素体は離偉漸屠である。
いくら、ソアとベアのパイロットとしての技量が高くとも、
ヤークトヴァラヌスを力づくで止めるには限界があった。
「ソア! ベア!」
ケイが叫ぶ。
メカ雪国ベアは、火花をあげながら、泥水に横転する。
そこへ、雨にまぎれて、
牛皮消 アルコリア(いけま・あるこりあ)と
纏われた魔鎧のラズン・カプリッチオ(らずん・かぷりっちお)が接近してきた。
大魔弾『コキュートス』と大魔弾『タルタロス』を、
アルコリアは全弾発射する。
「開け冥界の門……我が左手より来たれ嘆きの川、コキュートス!
我が右手より来たれ神威の暴風、タルタロス!」
ヘクトル自身も、メカ雪国ベアを撃破してしまったことに動揺しており、アルコリアに気づくのが遅れた。
「くっ……!」
ヤークトヴァラヌスは、アルコリアの全力攻撃を受けてしまう。
「ねぇ、ソレに味方するならさ、
『キマクの蛮族などいくら死のうが構わない』って公言してからにしなよ!」
ラズンは、きゅふふふ、と笑いながら、ケイとカナタに言う。
「両方は取れないんでしょ? 犠牲にするものを思わなきゃ、ね」
「……でも、それでも俺は、ヘクトルも見捨てられない。
シャンバラも友だちも、両方大事なんだ!」
ケイは、ヘクトルにとどめを刺そうとするアルコリアの前に立ちふさがる。
「私はためらいませんよ、ロイヤルガードさん」
アルコリアはケイに冷たい視線を向ける。
アルマイン・マギウスも、
ヤークトヴァラヌスとともに破壊するつもりだった。
その時。
大勢の人々が叫ぶ声がして、大荒野の民が戦っているのが見える。
加勢かと思った学生達だが、実際には、
大荒野の民がシャンバラ側を攻撃しているのだった。
【S級四天王】国頭 武尊(くにがみ・たける)と
猫井 又吉(ねこい・またきち)が、
大荒野の各部族の族長やキマクの有力者に呼びかけて、
武装蜂起への協力を要請していたのだった。
日頃から大荒野の民を「蛮族」と蔑む連中をキマクから追い出し、
エリュシオン軍を迎え入れるのが目的だった。
「シャンバラの連中は大荒野の民を蛮族と蔑むが、
帝国の連中はシャンバラの民全てを蛮族と呼ぶ。
同じ蛮族扱いを受けるなら、帝国の連中の方がまだマシだ。
彼等はオレ達を等しく蛮族扱いするからな!!
新女王には少しは期待してたんだが、結局、期待外れだったぜ」
S級四天王の武尊の呼びかけに、従う者達も一定数いたのだった。
「ヘクトル隊長!」
【威崑四天王】達はヴァラヌス達によって蹴散らされる。
「あべしっ!?」
愚零吐・ゲブー・喪悲漢の機体はひしゃげ、
ゲブー・オブイン(げぶー・おぶいん)は気絶する。
「チッ、撤退だ撤退!」
ナガン ウェルロッド(ながん・うぇるろっど)が、引き際を見定めて号令を出す。
アルコリアも、ヴァラヌスの一斉砲火を浴びようとする。
「すでに弾切れですし、しかたありません」
アルコリアは、冷静に状況を判断して離脱する。
「キマクは落ちたぜ!
大荒野の民はおまえらを歓迎するぜ!」
又吉は守備隊の無線で第七龍騎士団に呼びかけてキマクに迎え入れる。
こうして、キマクは陥落する。
第七龍騎士団と武装蜂起したキマクの一部の民により、狼煙が上げられる。
「そんな……」
沢渡 真言(さわたり・まこと)は、救出した子どもを抱いたままで、その様子を見て呆然としていた。
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