空京

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終焉の絆

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終焉の絆
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光の少女との邂逅 1

「おお、これはこれは! アイシャ様にそっくりですな!」
「本当に、そっくりさんだ……」
 一番最初に合流したのは坂下 鹿次郎(さかのした・しかじろう)騎沙良 詩穂(きさら・しほ)。少女から懐かしい気配を感じつつ、アイシャそっくりな光の少女をまじまじと見つめる。
 逆にまじまじと見られた光の少女はすごく居心地が悪そうにして、グラルダと椿の後ろへと隠れてしまう。
「ああごめんなさい! すごく似てたから、つい……失礼しました」
「ご無礼をお詫びいたしますわ。ですがわたくしたちは決して、貴方様に危害を加えるわけではございませんわ」
 慌てて謝る詩穂と、自分たちが危害を加えに来たわけではないと優しく微笑むセルフィーナ・クロスフィールド(せるふぃーな・くろすふぃーるど)
 と、今度は鹿次郎が一歩踏み込み、光の少女にズバンと一言。
「拙者の要求は一つだけでござる! 君に巫女装束を着ていただきたい!」

シーン。

「……はぁ、いきなりの発言で少女以外も若干後ずさってるわよ」
 鹿次郎の要求を聞いた姉ヶ崎 雪(あねがさき・ゆき)が呆れながらにツッコミを入れる。
「はっ! 自分の思いが先行しすぎたでござるよ……でも護るか殺すか引き渡すかの前に、巫女装束を着せることが何よりも先決」
「んなわけないでしょ……もう、放置しようと思ったらこれだもの。あんまり気にしないで頂戴ね」
 しかし、突拍子のない鹿次郎の宣言はその場に漂っていた微妙な緊張感を和らげ、少女の表情も若干柔和になった、気がした。
 そこへ今度はヴァーナー・ヴォネガット(う゛ぁーなー・う゛ぉねがっと)がやってきた。
 一目散に少女の元へと駆け寄って、元気よく自己紹介を始める。
「ボクはヴァーナー・ヴォネガットです! あなたのお名前は何と言いますか?」
 ヴァーナーの発言に詩穂と鹿次郎も便乗する。
「あ、自己紹介が遅れたね。騎沙良詩穂って言います。私も貴方のお名前、教えて欲しいな」
「これは失礼、拙者は坂下鹿次郎と申す。してお名前は何と申すでござるか?」
 三人から寄せられた問いに、少女は少し、目を伏せた。
『名前……』
 呟かれた声は、何か奇妙なものだった。定まらない、と表現すべきか、重なっている、というべきか……。
 ともかく、しばらくの間をおいてから、彼女は視線を上げた。
カケラ……私は、カケラです』
 光の少女は『カケラ』と名乗った。それを聞いた鹿次郎は再度巫女装束を勧めようとする。
「それではカケラ殿、出会いの記念としてこの巫女装束を」
「そ、それよりね! 私、カケラちゃんに会って欲しい人がいるんだ。
 私にとってその人は、すっごい大切な人で、もしかしたらカケラちゃんと出会えば元気になるかもって思うんだ」
 鹿次郎の熱い巫女装束を推しを上手くセーブした詩穂は、同時に自分の思いをカケラに伝える。
 その間、セルフィーナが魂のフラワシを発現させて、カケラに「触れてみてもらえませんでしょうか」と尋ねると、カケラはゆっくりと頷き、フラワシに手を伸ばした。
 しかしフラワシは何の反応も見せなかった。
「勿論、私たちはカケラちゃんのことを全力で守るよ! 空京に行くなり、他の学校の所でもきっと安全だからね!」
「……カケラは何をしたいって思いますか?」
「そうね、それが重要なことですわ。先ほどから隣に控えている方の機嫌も悪そうですし、先にそれを聞くべきですわね」
 セツカ・グラフトン(せつか・ぐらふとん)がそう言う。
 確かにカケラの隣にいるグラルダの顔は、険しい表情だった。今にもカケラを奪って逃亡しそうな程に。
 何がしたいのか、そう問われたカケラが答えを伝えようとする。
 が、そこへやってきた白津 竜造(しらつ・りゅうぞう)と、まさかのアルティメットクイーンの到来により、カケラが喋ることは中断させられてしまう。