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リアクション
ドワーフ廃坑道に潜む光と闇 3
「殺されたドラゴンの分も、私たちが守らないと……!」
三笠 のぞみ(みかさ・のぞみ)が迷路のような坑道を懸命に捜索し続けている。傍らにはルーチェ・ヴェリタ(るーちぇ・う゛ぇりた)の姿が。
のぞみの瞳には強い意志と、深い悲しみがあった。ドラゴンたちが無差別に殺されてしまったことを悲しんでいたのだ。
そんな悲しみを慰めたい一心でのぞみの片腕にぎゅっと抱きつくルーチェ。
「……ありがとう、ルーチェ」
「ルーチェには、これくらいしかできませんから」
ルーチェから勇気をもらいつつのぞみは坑道内を進んでいく。と前方から教徒たちが走ってくるのを視認。
手には物騒な武器が握られ、のぞみを八つ裂きにせんとする意志が込められている。
「……皆、あたしと、もう一度戦って!」
束になって走り寄ってくる教徒たちを前に一歩も引かず、レギオン・オブ・ドラゴンを使用。
数多のドラゴンの魂を呼び寄せ、前方から来る教徒たちへ的を絞り怒涛の攻撃をしかけていくのぞみ。
その魂の中には、無念の内に死んでいったドラゴンたちの魂も込められているのかもしれない。
そんなのぞみとドラゴンたちの攻撃は瞬く間に教徒たちを飲み込んだ。
「これで少しは……これ、何かしら?」
倒した教徒たちより一歩引いた地点に見慣れない衣服の切れ端が残っていた。少なくとも倒れている教徒たちのものではない。
疑問に思いながらも、立ち止まっている場合ではないと考え、のぞみは先へと急いだ。
「……ちっ、脇の骨が何本かいったか」
闇で何かがそう呟く。
「このくそ! 融通の利かない連中だ! 探すまでは一緒でいいだろうに!」
愚痴を零しながらグランツ教徒から逃げるのはアキラ・セイルーン(あきら・せいるーん)。
パートナーであるルシェイメア・フローズン(るしぇいめあ・ふろーずん)はジャイアントピヨと外で待機、情報収集を行っている。
セイルーンの目的は、
『あの少女が出てきてからと言うもの気配が気になって仕方がなく、ゆっくりもできないから一発ぶちかましてその後で救出でもしよう』というものだ。
しかし運悪く多数のグランツ教徒たちに見つかってしまい、こうして追われていた。
「やっぱり一発ハリセンで叩かないと納得いかん! 絶対ふりきって見つけてやるからな!」
そう言いながら坑道内を蛇行して、教徒たちを撒いて行くセイルーン。これにより固まっていた教徒たちは散り散りになっていく。そして迷っていくのだった。
徐々にドタバタし始めた坑道内。まだまだ捜索は続いていく。
(どちらにいらっしゃるの? あなたにお会いしたい、お助けしたいですわ)
心の中でそう祈りを捧げながら少女を探す藤崎 凛(ふじさき・りん)。
凛は少女の心を解きほぐすためのハーブティーを持参してきていた。それだけ助けたい、という思いの表れかもしれない。
「気をつけて。この辺は地面がごつごつとしている」
パートナーのシェリル・アルメスト(しぇりる・あるめすと)が凛へと手を差し伸べる。
その手を握りながら前へ前へと進んでいく。と、誰かの姿が見えた。
小柄な体躯、しかし少女と呼ぶには横幅がありすぎるように見受けられる。
「もしかして……すまない。そこの君はドワーフだろうか? そうであるのならば聞きたいことがあるのだが」
シェリルが尋ねるがその人物?は何も答えない。
「返事、してくれませんね……」
「敵かもしれない、注意し―――」
刹那、シェリルの背中に激痛が走る。鋭く、炎に焼かれたような感覚。
「ぐっ!?」
「シェリル!?」
凛がシェリルの背中を見れば、刀による攻撃と見受けられる大きな傷と、大量に血が流れている。
しかし敵の姿はどこにもない。
「っ!」
ダメ元でサンダークラップを仕掛けるが誰に当たることもない。
静寂が、辺りを包み込む。
「け、怪我を……っ!」
凛がシェリルを癒そうとしたその時、またも何かが動きだし、今度は凛へと襲い掛かる。
「おらぁ!!」
そこへセフィー・グローリィア(せふぃー・ぐろーりぃあ)が乱入し、見えない敵の攻撃を辛うじて防ぐ。
すかさず葛城 沙狗夜(かつらぎ・さくや)が連携し、正体不明の敵へと追撃を仕掛ける。
だが沙狗夜の攻撃は空を切るだけに終わる。
「……隠れ身、以上か」
三人が見たモノ、それは何もない。強いて言えば、不自然な透明が見える、だろうか。
だが確かにその不自然な透明なモノは動いている。そして敵だということだけはわかる。
と、透明な敵が横っ飛び、曲がり角の向こうへと消えていく。
「逃がすか!」
セフィーが追いかけて捕まえようとするが、早計だった。
敵は逃げたフリをして待ち構え、どこかに隠し持っていたのか、鎖をセフィーに巻きつけ拘束しようとする。
「あめぇ!」
拘束されきる前に自分の防具を脱ぎ捨てて脱出。そのまま自分の体裁も気にせず透明な敵へと飛び掛る。
しかし透明な敵もその追撃をかわしきり、逃走した。
「くそ、逃げられたか……」
「情報は手に入った。他の者に通達」
「……ああ」
「あ、あの……助けてくださって、ありがとうございます」
話しているセフィーたちの元へ凛とシェリルが近寄ってきて、感謝の言葉を告げる。
どうやらシェリルは凛の魔法により一命を取り留めたようだ。
「不覚だった……助かったよ」
「ああ、とりあえず連絡を入れとこう。そんで一緒に行動しよう、束になれば対処しやすいだろうしさ」
セフィーの提案に凛たちも同意し一緒に行動することにした。
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