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リアクション
ドワーフ廃坑道に潜む光と闇 5
「本当にこっちなんですか」
「ああ! 俺の野生の勘がそう告げてるぜ!」
セス・テヴァン(せす・てう゛ぁん)の問いかけにヤジロ アイリ(やじろ・あいり)が自信を持って返答する。野生の勘を頼りにして彼女を探しているようだ。
それだけではなく、他の契約者たちとは別の場所を探し、光の少女から感じる僅かな気配を敏感に感じ取り少女を追いかけていた。
「……懐かしい感じがする。入り口にいた時よりずっと強い、気がする」
「それもまた勘……いえ、前言撤回しましょう。私にも今ならわかる気がします」
懐かしい感じがする方へと向っていく二人。
右に、左に、左に、左に右、そこから真っ直ぐ進んでいくと、少し開けた場所が現れる。
その端の方に、人影があった。
「あの方、でしょうか?」
「そうみたいだな! おーい! 助けに来たぜー! 安心しなー!」
と大声でそう伝える。だがその人影はまだびくついているのか、中々近づいてはこない。
「あー! いたいたー!」
そこへ和希たちも合流する。すぐさま人影の元へと駆け寄る。
……遂に見つけた。その人影は、光の少女に間違いない。
ヤジロたちは敵の襲撃に備えて光の少女を見張りつつ、他の契約者に連絡を取る。
「よし、これで大丈夫! んじゃま、皆と合流したらちゃちゃっと連れて行くから安心してな!」
「……気にいらないわね、その言い方」
声が聞こえると同時に、グラルダ・アマティー(ぐらるだ・あまてぃー)とシィシャ・グリムへイル(しぃしゃ・ぐりむへいる)が契約者たちに攻撃を仕掛ける。
突然の出来事ではあったが、護衛についていた和希はその攻撃を受け止める。
しかしグラルダは追撃を行わず、和希の横をするりと抜けて強引に光の少女を奪おうとする。
「タンマタンマ!」
だが少女の側に控えていた椿とヤジロたちにそれも止められ、奪うことに失敗すると、苦虫を噛み潰したような顔をするグラルダ。
「この数相手じゃ押し返すのは不可能ですね」
「……それでも、少女が無理やり連れて行かれるというのならひと暴れくらいしてやるわ」
グラルダの目は本気だった。それだけの覚悟を持って、少女を奪いに来ていた。
しかし、椿がグラルダを説得する。
「待て待て、俺たちだって何も無理やり連れて行く気はないって。ちゃんと話しを聞いた上で―――」
「保護するんでしょう? 結局、うやむやにして保護すべきだから保護するんだとか言って」
「そんなことはない! だからこそ何が目的なのか、ゆっくり聞かないとだめだろ?」
グラルダの鬼気迫る問いかけに椿も真正面から答えていく。
その答えを聞いたグラルダは、攻撃をやめ光の少女の方へと目をやる。
「なら、話を聞いてやる姿勢を整えるべきよ。怖がっていたら言いたいことも言えないはずだから」
「……」
確かに、光の少女は怯えていた。いきなり現れた契約者やその部下たちに。
それを受けた和希や椿、ヤジロたちも気持ちを改めて、会話をしようとする心を持ち直す。
「……あたしはこいつの側にいる。少しでも強要するような素振りがあれば、奪って逃げるわ」
堂々とそう宣言するグラルダ。シィシャもそれに従うのだろう。
「……ありがとう」
ここまで無言だった光の少女が、まずはグラルダに、そして警護しようとしてくれている和希や椿、ヤジロにお礼を言う。
それから程なくして契約者たちが続々とこの地点へと集まってくる。
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