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リアクション
第11章 狂気
ブラックルームで実験台にされている被験者たちは、まだ潜伏期間で、発症していなかった。
だが、この“完全なる闇”の中、音が響かない無響室という最悪の状況でいつまでも発症を恐れながらじっとしている時間は、彼らの脳みそをほとんどトコロテンにしていた。
威勢の良かった武尊や亮司も、すっかり静かになってしまった。
そんなとき、ギーッ。再び扉が開いた。
――どうせンカポカだ。またウイルスがまかれるんだ。
そう思うと、みんなはもう絶望で「んぱー」しか言うことができなかった。
眩し過ぎて、光をまともに見ることもできないし、もう逃げる元気も勇気もないのだ。
しかし、不思議なことにこのンカポカはウイルスをまこうともしないし、何もしない。何故だろうか……
少しずつ、少しずつだが、目が慣れてきて、鈴木周ががんばって目をこらして見た。
真っ白な神々しい光に包まれて、誰かが立っている。
「ア……ん……んぱ……ア……ア……アリア様だぁぁぁぁああああああああ!」
アリアは、あまりにも悲しく恐ろしい光景を前にして、何も言えずに立ち尽くしていた。
ンカポカじゃないとわかり、みんなに勇気と元気が湧いてくる。
がんばってアリアを見る。
光を背負って現れ、自分たちを救ってくれるアリアが心の底から神なのだと思えた。
――ああ! これが、これこそが神なのだ!
周だけでなく、レキも、クロセルも、壮太も、ラルクも、亮司も、武尊も、みんなひれ伏した。
「アリア様! アリア様! アリア様ぁぁぁぁあああああああ!」
こうして、アリア教の信者がまた増えた。
そして、走り回って血の巡りがいいアリアがウイルスで汚染された空気を吸ったため……あっという間に感染。そして、短い潜伏期間を経て発症した。
突然、瞳孔がガバッと開いたかと思うと、武器代わりに持っていたワインボトルを突き出して、じょぼじょぼじょぼ……
「我を愛せよ」
次から次へと、垂らされるワインの下に口を持って行く信者たち。
アリアは、ワインをじょぼじょぼじょぼ……
「我を愛せよ。我を愛せよ。我を愛せよ。我を愛せよ」
信者たちは、顔中ワインまみれになりながら、アリア様の体をまさぐっていた。
「アリアさま〜!」
もちろん信者たちにいやらしい気持ちは全くない。ただもう神に近づきたい、神を愛したい、愛されたい、その一心でアリア様の体を両の手で撫で回した。
そして、アリアは自身の奇行症がおさまって、目を覚ました。
「えっ。ちょ……そこのあなた……どこを……え。あなたも……あ……ああん。だめ……やめて……だめっ……あ……あああああん!!!」
アリア教徒の暴走は止まらない。
いよいよ、潜伏期間を過ぎ、“突発性奇行症”の発症がはじまった。
レキは突然、瞳孔がばかっと開くと亮司の手を引っ張って、
「遊ぼうよ。遊ぼうよ。遊ぼうよ。遊ぼうよ。遊ぼうよ。遊ぼうよ。遊ぼうよ。遊ぼうよ。遊ぼうよ……」
レキは亮司の手を引っ張りすぎて、自分の大切などこかに当たっている!
発症したまま目がとろーん。
と思ったら、亮司は突然、立ち上がって両手を前に。バイクのハンドルを握った格好で、レキを置き去りにどこまでも走り出す。
「ぶおん。ぶおおん。ぶおーーーーーーーーーん」
ドカーン!
誰かにぶつかった!
それは、突然全裸になって走り出したラルク。何かにぶつかっては走っている。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
ドゴン。
また壁にぶつかっている。
こっちの壁では、どこから持ってきたのか藁人形を打ち付けている者がいる。
「堕ちろ。堕ちろ。堕ちろ。堕ちろ。堕ちろ。堕ちろ。堕ちろ。堕ちろ。堕ちろ。堕ちろ。堕ちろ。堕ちろ。堕ちろ」
よっぽど黒い面が抑圧されていたのだろう。これは、……クロセルだ。
誰を呪っているのかは永遠の謎だ。
周は、きっと幼い頃のスカートめくりが忘れられないから、のぞき部にいるのだろう。
いつの間にかスカートを履いていて、両手で前を押えて尻をちょんっと突き出し、
「きゃあ、えっち!」
あっち向いては、
「きゃあ、えっち!」
こっち向いては、
「きゃあ、えっち!」
クロセルのバイクにぶつかっても、
「きゃあ、えっち!」
壮太はよっぽどにゃん丸が好きなのだろうか、テレビの『プロジェクトN』で見たにゃん丸の勇姿を真似て、アリアが落としたワインボトルを股間から突き出しては叫んでいる。
「オレの光条兵器! オレの光条兵器! オレの光条兵器! オレの光条兵器! オレの光条兵器!」
好きな子の前で発症しないことを切に願う。
そして武尊は、なんと似合わないことか、バレリーナとなってクルクル回りながら「白鳥の湖」を踊っている。
「ら〜ららららら〜らら〜らら〜らららららら〜。らららら〜ららららら〜らら〜らら〜ららららら〜」
症状の効果なのか、美しく踊れてるところが気持ち悪さを増している。
そして各々が症状から覚めると、周囲の異常事態から想像して自分が発症したことを悟る。
「おおおお! アリア様ぁ〜。お助けを〜!」
ラルクは慌てて服を着ていた。
そんな彼らの様子を、操舵室にあるモニターで奴らが見ていた。
越乃、アルフレード、ウンラート、ユウ、そしてマレーネの5人だ。
「失敗か……」
“殺地球人ウイルス”がただの“突発性奇行症”しか生まないことがわかり、悔しそうな面々。
「だが……」
ンカポカは、ぷかぷかと葉巻を吸い始めた。
「愉快なパーティーになりそうだな。ふふっ……」
「へえ。ンカポカ様の言うとおりで……」
そして、モニターをパーティー会場に切り替えた。
「にゃあ〜。にゃあ〜。にゃあ〜」
パーティー会場には、猫の声が響いていた。
みんな、まさかと思って辺りを見回すと、ステージの上で腹を出してごろんごろんしてる猫がいた。ルカルカという名の猫が!
ステージにはもう1人、リュースが突然、リズミカルに足をあげてエアロビダンス。
「ワンツッ! ワンツッ! ワンツッ! ワンツッ! ワンツッ! ワンツッ! ワンツッ! ワンツッ!」
ついに発症が始まったのだ。
にゃん丸があちこち向きながら、自分のチャックを開けたり閉めたり。
「ふんふんっ。ふんふんふんふんふんふんふんっ」
ヴィナは突然、針と糸を持って、にゃん丸のチャックを「ほいっ。ほいっ」と言いながら縫っていく。
にゃん丸は症状が発生しなくなった。
メニエスは涙を流して、にゃん丸に。
「ごめんね! ごめんね!」
今度は別の方を向いて、
「ごめんね! ごめんね!」
謝られたのは、普段粗暴なナガン。
突然、執事のようなポーズで、顔もキリッとして、
「お怪我はございませんか」
「ごめんね!」
「お怪我はございませんか」
そのナガンの腕を持って、柔道の一本背負いのようにして引っこ抜こうとするのが、ひな。
「うおりゃあああ! うおりゃあああ! うおりゃああああ!」
「お怪我はございませんか」
ナガンの反対の腕を、円が引っ張る。
「これボクのーっ! これボクのーっ! これボクのーっ! これボクのーっ! これボクのーっ!」
そして、ナガンの両腕は肩口から……斬れた。
ナガンは両腕から血を噴き出しながら、
「お怪我はございませんか。お怪我はございませんか」
突然のスプラッタに、会場はますます大混乱。
「ごめんね! ごめんね!」
しかし、ヴィナが再び発症して、ナガンの両腕をあっという間に……
「ほいっ。ほいっ。ほいっ。ほいっ。ほいっ。ほいっ。ほいっ。ほいっ。ほいっ。ほいっ。ほいっ。ほいっ。ほいっ」
縫った。
出来映えは悪いが、血はだいたい止まった。
美羽は突然、ナガンの手術跡に鼻をぐりぐり押しつけて、ニオイを嗅ぐ。
くんかくんか。くんかくんか。くんかくんか。
ナガンはふと症状から覚め、
「あれ? 俺、なんで血垂らしてんだろ? まいっか、みんなの見てたら楽しいしな!」
英希は突然、布を取り出し、自転車磨き。
きゅきゅきゅっきゅ。きゅきゅきゅっきゅきゅきゅっ。
磨いてるのは、ルイの頭だ。
ルイは突然、笑いながら女子のスカートをめくり出す。
未沙のスカートをめくって、
「スマイルめくり!」
つかさのスカートをめくって、
「スマイルめくり!」
その姿を、片手で「○」を作り、その穴からのぞいている男がいる。
穴から見ては、にたーっ。
――キリン隊隊長の焔だ。
スカートをめくられたつかさは、いつもなら喜ぶところだが……突然、乙女になって、顔を両手で覆う。
「いやああ〜ん。いやああ〜ん。いやああ〜ん」
留美は突然、女子のパンツを下ろしまくる。
沙幸のパンツをズルーッ。
「きゃあ!」
そこに美羽が飛びつき、沙幸のあそに鼻をぐりぐり押しつけて、ニオイを嗅ぐ。
くんかくんか。くんかくんか。くんかくんか。
「やめてえええ」
と、沙幸は突然、美羽の頬にすりすりして、
「おねーさま!」
近くにいた未沙にも抱きついて、すりすり。
「おねーさま!」
未沙は突然、どこにあったのか石鹸を取り出して、沙幸のパンツを洗濯。
ゴシゴシッ。ゴシゴシッ。ゴシゴシッ。ゴシゴシッ。ゴシゴシッ。ゴシゴシッ。
「おねーさま!」
留美はつかさのパンツを下ろそうとして、固まる。
つかさはパンツを履いてなかった。
「いやああ〜ん。いやああ〜ん。いやああ〜ん」
つかさは、顔を覆ってモジモジ。
さけは突然、真一郎の手を取って自分の腹にあて、
「あなたの子よ。あなたの子なのよ……」
「え?」
誤解する真一郎だが、突然、自分の服をビリビリに破りながら、
「世界一ッ!」
あっちを向いてはビリビリッとして、
「世界一ッ!」
未沙は破れた服を石鹸で、洗濯。
ゴシゴシッ。ゴシゴシッ。ゴシゴシッ。ゴシゴシッ。ゴシゴシッ。ゴシゴシッ。
歩は突然、どこにあったのか急須のお茶を、
「粗茶ですが。粗茶ですが」
とかけて回る。
「あちちちちちっ!」
真一郎がビリビリして破れて出た腹に、じょぼじょぼじょぼ……
「粗茶ですが。粗茶ですが」
大和は突然、どこにあったのかお払い棒をバサバサ振って、霊能力者になる。
「はらいたまえ〜! はらいたまえ〜!」
目の前には、恋人の歌菜がいる。
発症中だけ本当に歌菜の守護霊が見える。
――血まみれで他の霊を喰いまくっている、三つ首ドラゴンのゾメイだ。
「はらいたまえ〜! はらいたまえ〜!」
聖は突然、いつの間にか胸についていた3分カラータイマーが光り出す。
効果音は自分の口で言っている。
「ピコーンピコーンピコーンピコーン……」
大和は症状が覚めて全てを忘れる。
が、脳裏に焼き付いた映像は潜在的恐怖として残るだろう。
その背後で、恭司がいろんな物をとにかく隠す。
大和のお払い棒をテーブルの下に隠して、叫ぶ。
「マネーーーーーロンダリングーーーーーーー!!」
瑠菜は突然、包丁をぶんぶん振り回して走り出す。
発症してない人は、逃げ回って大パニック。
「料理の時間だよ! 料理の時間だよ! 料理の時間だよ! 料理の時間だよ!」
グサッ!
聖が刺された。
再び発症し、聖の胸の3分カラータイマーが光り出す。
効果音は自分の口で。
「ピコーンピコーンピコーンピコーン……」
歌菜は突然、テーブルを“ちゃぶ台返し”して、
「こんなもん食えるか!」
ガシャガシャーーン!
次々とテーブルを“ちゃぶ台返し”。
「こんなもん食えるか!」
ガシャガシャーーン!
リュースが再び発症して、歌菜の後ろでエアロビ。
「ワンツッ。ワンツッ」
蹴り上げた足がボカボカ歌菜に当たっている。
エメは突然、エアロビで乱れたリュースの衣服を直して、
「衣服の乱れは心の乱れ!」
カガチの服も直して、
「衣服の乱れは心の乱れ!」
カガチは突然、隣にいた巽にすりすりして、
「おにいちゃーん」
巽は両手を交互に、前後に動かしながら、
「ツァンダー体操! ツァンダー体操!」
カガチの頭が手の下にあったから、カガチの頭があっちへこっちへ、ぐわんぐわん。
「おにいちゃーん。おにいちゃーーーーん」
沙幸がまたやってきて、カガチにすりすり。
「おねーさま!」
椿はそのそばで上半身裸になって、乾布摩擦。
「にんにんにんにんにんにんにんにん!」
英希がやってきて、薫の頭を自転車磨き。
きゅきゅきゅ。きゅきゅきゅきゅきゅきゅっ。
「にんにんにんにんにんにんにんにん!」
ヴァーナーは突然、薫の頭をガブウウウ! と丸かじり。
「にんにんー!」
正義は突然、薫に向かって無心に愛を告白する。
「トメさん! 好きだァー! 愛してるんだ! 前から好きだったんだ! 好きなんてもんじゃない! トメさんの事をもっと知りたいんだ! トメさんの事をみんな、ぜーんぶ知っておきたいんだ! トメさんを抱き締めたいんだァ! 潰しちゃうくらい抱き締めたーーーーーい! 地球の滅亡はおれの愛で食い止めてやる! トメさんッ! 好きだ! 愛してるんだッ!」
そして、症状がおさまった。
薫はずっと乾布摩擦しながら頭をヴァーナーにかじられていた。
ケンリュウガーは突然、キザな顔をして正義を見ると、
「俺に惚れるなよ」
正義は戸惑うばかり。
ケンリュウガーは、キザに振り向いて、
「俺に惚れるなよ」
今度言われたのは、和希。
和希は突然、くねくねして乙女化。
「いやあ〜ん」
くねくね。
「いや〜ん」
くねくね。
総司は突然、両手をもみもみしながら、
「貧乳だいすきっ! 貧乳だいすきっ!」
和希のさらしを巻いたおっぱいに、もみもみもみもみ。
「貧乳だいすきっ! 貧乳だいすきっ!」
「いや〜ん」
くねくね。
「いや〜ん」
くねくね。
エルは両手でしっかり、総司の尻にカンチョー。
「キンピカ!」
ケンリュウガーにも、カンチョー。
「キンピカ!」
やられたケンリュウガーは、キザな顔をして斜めに振り向き、
「俺に惚れるなよ」
と、エルが突然ぶっとんだ。
レンは突然、意味不明なことを叫びながらなんでもぶん殴る。
「ラオ! ラオ! ラオ! ラオ! ラオ! ラオ! ラオ! ラオ! ラオ! ラオ! ラオ! ラオ!」
リュースも英希もぶっとんだ。
陣も突然、意味不明なことを叫びながらぶん殴る。
「ダム! ダム! ダム! ダム! ダム! ダム! ダム! ダム! ダム! ダム! ダム! ダム!」
レンと陣で壮絶な殴り合いがはじまる。
そこに、ぴょーん!
プレナが突然、跳んでくる。
「けろけろっ。けろけろっ」
カエルになって、ぴょんぴょん跳び回る。
「けろけろっ。けろけろっ」
カエルが跳ぶその下を、仰向けで両手両足をついたエクソシスト状態の幸が走る。
その状態で100メートル7秒くらいで走る。
瞬きせずに、無表情で、走る。走る。走る。
ナーシュは突然、どこにあったのか猫じゃらしを持って幸を追いかけて、
「猫ちゃん! こっちだよっ!」
今度は陣に向かって、猫じゃらしをふらふらと、
「猫ちゃん! こっちこっち!」
「ダムッ!」
ナーシュは殴られる。
会場の隅で眠っていた大地が目覚め、天を見上げて叫びながらダッシュ。
「すね毛ええええええええええええええーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」
「けろけろーっ」
カエルにぶつかっても、ダッシュ。
「すね毛ええええええええええええええーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」
珠輝は突然、脳みその使われていない99%を使えるようになって、奇声を上げながら脳内計算をはじめる。
「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア…………世界の真理を悟りました!」
そこで症状が覚める。
「皆さん、楽しそうですねえ……私も早く発症してみたいですよ。まったく」
世界の真理は謎に包まれたままだ。
陽太は突然、壁と棚の狭い隙間に、それはもう楽しそうに入る。
「うふふふ。うふふふふふ……」
ガートルードは、ものすごく良い発声で叫びながら、行進する。
「ぼっとんちんちん! ぼっとんちんちん! ぼっとんちんちん! ぼっとんちんちん! ぼっとんちんちん!」
陽太にぶつかっても、その場で行進。
「ぼっとんちんちん! ぼっとんちんちん!」
「うふふふ。うふふふふふふふ……」
波音は突然、壁に頭を繰り返し打ち付け、
「あああああ! あああああ! あああああ! あああああ!」
陽太は、壁と波音の隙間に入ってゴツンゴツンやられながらも、
「うふふふふ。うふふふふふふふ……」
わんこしいなは突然、“にゃんこしいな”になって、
「にゃあ〜。にゃあ〜」
ルカルカも再び発症して、
「フゴオオオオ……!」
“にゃんこしいな”VS“にゃんこるかるか”――爪を立てての大喧嘩!
「にゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃーーーーーーーーーッッッッッ!」
ナーシュは2匹の猫を無視して、ミレイユに猫じゃらしで
「はい。猫ちゃん! こっちだよ〜っ!」
恭司はナーシュの猫じゃらしをテーブルの下に隠して、
「マネーーーーーロンダリングーーーーーーー!!」
ミレイユは、ストローをナーシュにぶっ刺して、
「ちゅううううう〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
血を吸いまくる。
ソアにも飛びついて、ストローをぶっ刺して、
「ちゅううううう〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
そのミレイユに、夏樹が飛びついて、ガブウウウッ!
「ちゅううううう〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
血を吸いまくる。
夏樹はソアにも咬みついて、
「ちゅううううう〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
蒼は、夏樹の頭をガッと掴んで、自分の大きな胸に埋めて、
ぱふぱふぱふぱふぱふぱふぱふぱふぱふぱふぱふぱふぱふぱふぱふぱふぱふぱふぱふぱふ。
ソアは貧血になって、ふらふら。
と、突然、ケイの耳たぶを甘噛みする。
はふはふはふはふはふはふはふはふはふはふはふはふはふはふはふはふはふはふ……
ケイはゾゾゾゾっと鳥肌が立つ。
と、突然、両手をバタバタさせてカラスになって、
「カア! カア! カア! カア! カア! カア! カア! カア! カア!」
リアルに飛ぶ。
にゃんこルカルカは飛んでるカラスに向かって、
「カカカカカッ」
と威嚇。
「カア! カア! カア! カア! カア! カア! カア! カア! カア!」
ケイが飛んでくその下で、静麻は跪いて、誰よりも大きな声で、
「おかあさーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん!」
船が激しく揺れる。
勇は突然、静麻の頭に足を乗せ、
「ほら、もっと泣きなよ」
ドS!
蒼は、泣いてる勇の頭をガッと掴んで、自分の胸に埋めて、
ぱふぱふぱふぱふぱふぱふぱふぱふぱふぱふぱふぱふぱふぱふぱふぱふぱふぱふぱふぱふ。
勇は呼吸困難で倒れる。
ソアは、静麻の耳たぶを甘噛み。
はふはふはふはふはふはふはふはふはふはふはふはふはふはふはふはふはふはふ……
如月佑也はカラスのケイを捕まえて、サササッっと髪をツインテールにする。
「こっちがいい!」
ソアも捕まえて、サササッ。ツインテールに。
「こっちがいい!」
垂は、どこにあったのか弁当箱をパカッと開けて、紫色にピンクの水玉模様の卵焼きを佑也に食べさせる。
「はい、あーん!」
気色悪い卵焼きを、ステージで倒れていたクライスにも食べさせる。
「はい、あーん!」
クライスは突然、羽織ってた上着をバサッと脱いで……またササッと着る。
それを焔が自分の手ののぞき穴からのぞいて、にたーっ。
クライスは今度はつかさの前で、上着をバサッと脱いで……またササッと着る。
「いやああ〜ん」
つかさは、顔を覆ってモジモジ。
そこに刀真がダダダッと走ってきて、ドロップキック!
「のぞき部のばーか!」
つかさはぶっ飛んだ。
刀真はクライスにも、ジャンピングドロップキック!
「のぞき部のばーか!」
クライスはぶっ飛んだ。
クライスのそばを、もぞもぞと動く大きなウミガメがいる。エース・ラグランツ。
手足をちょこちょこ動かして、床を這う。
もぞもぞ。もぞもぞ……
勇が踏んづけて、ドS。
「ほら、もっと泣きなよ」
エクソシストな幸が走る。走る。
勇はそれも踏んづけて、ドS。
「ほら、もっと泣きなよ」
ファタは突然、カレンに甘えてキッス。
んちゅんちゅんちゅ。んちゅんちゅんちゅ。
カレンはそこにあったナーシュの猫じゃらしを、とっても楽しそうに投げる。
「そーれ!」
ぴゅーーーー。
大和のお払い棒も投げる。
「そーれ!」
ぴゅーーーー。
ファタも投げる。
「そーれ!」
ぴゅーーーーーー。
投げられたファタは、ウィルネストの前に……どすん。
ウィルネストに甘えてキッス。
んちゅんちゅんちゅ。んちゅんちゅんちゅ。
ウィルネストは突然、テーブルにあがる。
舞台俳優になって、素晴らしい発声で情感豊かに、
「生きるべきか、死ぬべきか。……それが問題だ!」
おかしな女装をしてる奴に言われたくはない。
歌菜がそのテーブルを、“ちゃぶ台返し”。
「こんなもん食えるか!」
落とされたウィルネストは、ウミガメの甲羅に着地。
「生きるべきか、死ぬべきか。……それが問題だ!」
ウミガメの動きがますます鈍くなった。
歩は花瓶に、急須からお茶を注ぎ、
「粗茶ですが」
翡翠は突然、落ち着いて足を組んで座り、花瓶のお茶を手に持つ。
「夜明けの珈琲、どんな味?」
メチャクチャ渋い声で言ってから、ぐびぐび飲む。
その向かい側にはトライブが座っていて、
「誰が産んでくれって頼んだよ!」
と幻の母に怒鳴る。
と、さけが突然、トライブの手を自分の腹にあてて、
「あなたの子よ。あなたの子なのよ……」
「誰が産んでくれって頼んだよ!」
翡翠は、越乃の残したメチルアルコールを手にして、
「夜明けの珈琲、どんな味?」
ぐびぐび飲む。
そんな翡翠にごまをすって、
「ご立派なお方で……」
と肩をもみもみ。有沢祐也だ。
祐也は次に、真一郎の肩をもんで、
「ご立派なお方で……」
真一郎は服をビリビリして、
「世界一ッ!」
本郷翔はなんでもかんでもドンドン突き飛ばして、ひたすら前進。
「どけこら! どけこら! どけこら!」
真一郎は突き飛ばされながら、
「世界一!」
翡翠はテーブルに頭を打ち付けられて、
「夜明けの珈琲、どんな味〜……」
「どけこら! どけこら! どけこら!」
レンが立ちはだかって、殴る。殴る。殴る。
「ラオ! ラオ! ラオ! ラオ! ラオ! ラオ!」
「どけこら! どけこら! どけこら! どけこら!」
星野翔はテーブルに上って、演歌を熱唱。
「♪あなたとおおお〜 越えたいいいいい〜 ツァンダあああああ〜 ごおおおえええええええ〜」
レイディスは突然、しおらしくなって翔にすりすり。
「わたし、レイですぅー」
シロは突然、レイディスの背後からおっぱいをガシッと。
もみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみ……
レイディスは振り向いて、すりすり。
「わたし、レイですぅー」
ひなが現われ、レイディスの腕を担いで、一本背負い。
「うおりゃあああああああああ!」
すりすりされてたシロも一緒に、ぴゅーーーーーー。飛んでった。
その下で、翔は別の演歌を熱唱。
「♪ツァンダのおおおおおあああああ〜 はあああるうううう〜」
飛ばされたシロとレイディスは……
ガツッ。
カラスのケイにぶつかった。
そして、ひゅーーーーー。どた。どた。落ちた。
「カア! カア!」
りをは、ワインのボトルを股間にあてて、男子の立ちションのように、
「おしっこちーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
演歌熱唱中の翔の足に、ドバドバかかる。
クルッと振り向いて、ひなに向かって、
「おしっこちーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
ドバドバかかる。
ひなは一本背負い飛ばしで、
「うおりゃああああああああああ!」
飛んでったりをは、唯乃の目の前に着地。
「おしっこちーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
唯乃はワインおしっこをかけられながらも、ジャンピング抱っこして、
「おねえちゃんっ!」
りをにしがみついて離れない。
「おねえちゃんたら、おねえちゃんっ!」
セオボルトは芋けんぴを振り回しながら、りをに妄言。
「黙れ下種!! 貴様は司令長官の正論を封じるのか!! 自らの見識ではなく団長陛下の御名を以ってしようというのか!? 虎の威をかる狐めが!!」
セオボルトとりをの間を、ニコが両手を自分の胸から前に突き出すような仕草をしながら、すったかすったか歩いて通る。
「おっぱいぼよーん。おっぱいぼよーん。おっぱいぼよーん。おっぱいぼよーん。おっぱいぼよーん」
セオボルトはなおも妄言が続く。
「そもそも貴様は教導団内の一支部長にすぎぬ身でありながら何の所以あって上級大将以上の者しか出席を許されぬ会議に顔を並べているのか!? あまつさえ元帥同士の討論に割り込むとは増長も極まる!! 今直ぐ出て行け!! それとも自分の足で出て行くのは嫌か!? ならば――」
エルがその背後から、
「キンピカッ!」
セオボルトは、キンピカカンチョーに沈んだ。
珂慧はカラフルな油性ペンで、顔という顔に落書きしていく。
キュキュキュ。キュキュ。キュキュキュ。キュキュ。
セオボルトの額に「芋」と、キュキュキュ。
壁に頭を打ち付けてる波音の額に黒い縦線を、キュキュキュ。
カガチの額に「狂」と、キュキュキュ。
珠輝の額に「変」と、キュキュキュ。
わんこしいなの額に「犬」と、キュキュキュ。
「わんわん! わーん!」
その隣では、どこにあったのか笹の葉をはむはむ食べる理沙パンダ。
はむはむはむはむはむはむはむはむはむはむはむはむはむはむはむはむはむはむはむはむ。
イーオンは突然、一瞬でメチャクチャな化粧を自分に施し、
「あたし、綺麗?」
パンダはちらーりと見るが、
はむはむはむはむはむはむはむはむはむはむはむはむはむはむはむはむはむはむはむはむ。
珂慧はイーオンの額に「綺麗」と、キュキュキュ。
イーオンは固まる。
あかりは突然、パイ投げのパイをフォークとナイフで上品に食べる。
「おいしゅうございます」
パンダの笹の葉もフォークとナイフで上品に。
「おいしゅうございます」
笹の葉を取られたパンダが、パンダなのにデタラメの声で鳴く。
「ぱん。ぱん。ぱんーーーーっ!」
リアクライスは突然、両手を前にちょこんと垂らして、足がうっすら消える。
「ひゅ〜。どろろ〜。ひゅ〜。どろろ〜」
間違えて効果音の方を口にしながら、ふらふら彷徨う。
「ひゅ〜。どろろ〜。ひゅ〜。どろろ〜」
フィルは突然、ヤンデレ化し、
「あはっあはっあははははっ。あはっあはははは。あははっ」
銃を発砲! ガーン!
銃弾は、にゃん丸のチャックを縫い合わせた糸をかすめていく。
にゃん丸が再び発症し、チャックを開けたり閉めたり……。
「ふんふんっ。ふんふんふんふんふんふんふんっ」
フィルはさらに発砲! ガーン!
銃弾は真一郎の体を貫く。
「世界一ッ!」
ヴィナが再び発症し、針と糸で「ほいっ。ほいっ。ほいっ。ほいっ」と手術。
無事に治って、
「世界一ッ!」
シロがフィルの背後から、おっぱいを。
もみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみ……
銃がポロリ。
しかし、銃声は止まない。
樹があっちへこっちへ乱射!
「酔い抜くぞー! 酔い抜くぞー! 酔い抜くぞー!」
天井をガンガン撃ちまくって、ランプがガッチャンガッチャン落ちてくる。
コトノハはリアクライスの背中に乗って、ふわふわ浮かんで……
突然、ヤンデレ化して、
「えへっ。えへっ。えへへへへへへへへへっ」
笑いながらツインスラッシュ。
天井をぶち破る。
ひゅーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。ドサドサドサッ。
何かが落ちてきた。
リアクライスはその何かに乗られて、落下。
目が覚めたリアクライスは、周囲を見て愕然。
「ら〜ららららら〜らら〜らら〜」
バレリーナの武尊がくるくる回っている。
「きゃあ、えっち! きゃあ、えっち!」
「ぶおおんん。ぶおおおおおーーーーーん」
亮司がぶつかってくる。
「我を愛せよ。我を愛せよ」
ドボドボ……。
アリアにワインをかけられる。
クロセルが、柱に藁人形を打ち付け、
「堕ちろ。堕ちろ。堕ちろ……」
ワインまみれのリアクライスは再び発症し、
「ひゅうう。どろろ〜。どろろろろ〜」
ラルクは凄い勢いでまた服を全部脱いで、走り出す。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
レキはナガンの腕を掴んで、
「遊ぼうよ。遊ぼうよ。遊ぼうよ。遊ぼうよ……」
右腕がまた斬れた。
瑠菜は再び発症し、包丁をぶんぶん振り回す。
「料理の時間だよ!」
スパーン!
ナガンの左腕が斬れた。
ナガンは血をドッバドバ噴き出しながら、藁人形に向かって、
「お怪我はございませんか」
「堕ちろ。堕ちろ。堕ちろ。堕ちろ。堕ちろ……」
ヴィナがまたまた発症し、
「ほいっ。ほいっ。ほいっ。ほいっ」
手術成功。
ナガンは目が覚めて、
「最近、貧血だぜ〜。まいっか。みんなおもしれえし」
壮太は、チャックを開閉してるにゃん丸の背後から、その股間にワインボトルを出して、
「オレの光条兵器! オレの光条兵器! オレの光条兵器!」
「ふんふんっ。ふんふんふんふんふんふんふんっ」
奇行症、奇跡のコラボだ!
そんな中を、大地がランツェレットを担いで、ダッシュ。
「すね毛ええええええええええええーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」
ランツェレットが突然、火を噴く怪獣に。
「ゴアアアアアアアアアアアアアアア!」
火術で壁を撃破!
でっかい穴があく。
セシリアが突然、両手を広げて、
「We can fly !!!」
穴から海へダイヴ!
ひゅーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。どっっぼーーーーーん。
――これが、“突発性奇行症”という恐ろしい病気だ。
その全てをビデオカメラで記録していたメイベルは、ひどく震えていた。
まだ発症してないのは、彼女だけなのだ。
「ほ、ほんとに、ここから飛び降りちゃったのですかねぇー」
と海をのぞいてみる。
そして、このとき。
メイベルの瞳孔が突然ガバッと開いて、
「飛びます! 飛びます! 飛びます! 飛びまーーーーーーーすッ!」
完全防水仕様のビデオカメラとともに、飛んだ。
ひゅーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。どっぼーーーーん。
ついにこの場にいた全員が発症した。
珠輝は突然、脳みそをフル稼働し、奇声を上げながら脳内計算する。
「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア…………奇行症の治療法がわかりました!」
みんなが期待して珠輝を見つめるが……
「どうしたのですか? 皆さん、私のペットになりたいのですかな?」
症状は覚めていた。
「わんわんわんわん!」
わんこしいなだけは、たまに発症して“にゃんこしいな”になるものの、椎名真に戻ることはなかった。
そしてまた、大地が走っていた。
「すね毛ええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!」
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