リアクション
卍卍卍 遊郭内に植えられた桜並木を、豪華に着飾った花魁一行が大傘とともに進んでいく。 童女が前を歩き、大勢の付き人を従えて、花魁はゆっくりと八文字を踏む。 「みてみて要! 花魁道中だよ……綺麗だなあ!」 東雲 秋日子(しののめ・あきひこ)が指差す。 大通りは『竜胆屋(りんどうや)』の胡蝶を一目見ようと、たくさん人がごった返していた。 彼女に付いてきていた要・ハーヴェンス(かなめ・はーべんす)も両腕を前に組んで見物している。 「秋日子くんも花魁に興味があるんですか……遊女のかっこうがしてみたいとでも?」 「……要、顔赤いけど。もしかして想像してるの?」 「なっ、何を!? 自分はただ、こういう場所には慣れてないだけです。それに、東雲(しののめ)遊郭というくらいですから、てっきり秋日子くんは関係者かと……って、なんで笑ってるんですか」 「だって、おかしくて。確かに私も『東雲』だけどね! ねえ要、あの道中、付いていってみようか。東雲の関係者ですっていったら、もしかしたらお座敷にも上げてもらえるかも」 「はあ、大丈夫でしょうか。自分たちは、マホロバ前将軍の貞継公に似た人物を探しにきたんですからね。忘れないでくださいよ」 二人は興味半分に一行に付いていった。 卍卍卍 「ティファニーちゃん、ほんま綺麗やで〜。うちにきてくれたからには、アイドルとして売りだしたるからな!」 「シャッチョさん、どうぞ」」 茶屋の座敷では『846プロ』社長の日下部 社(くさかべ・やしろ)が上機嫌でいた。 胡蝶が酒をいでいると、茶屋の主人がきて、常客が来たがあいにく部屋が塞がっているため、隣の座敷を使わせて欲しいといってきた。 そうとうなお大尽らしい。 「え、俺も大金だしてんねんけど。まあ、目出度い席や。一緒に騒いだ方が盛り上がるし、ええよ」 主人は深く頭を下げた。 しばらくして、そのお大尽一行がやってくる。 ティファニーは一点を見つめて固まっていた。 「ショーグン様がいる……」 「将軍様やて?」 視線の先には、遊女や芸者、付添い人たちを引き連れて奥座敷にあがる貞継がいた。 社は開いた口が塞がらない。 「……マホロバの前将軍がなんでこないな場所におんねん!?」 |
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