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尋問はディナーのあとで。

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尋問はディナーのあとで。

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第四章 終わらない尋問

 気がつくと、至る場所で悲鳴があがり、ホラー映画も顔負けの地獄絵図が繰り広げられていた。
 久途 侘助(くず・わびすけ)のおかげで、一時的に難を逃れた月詠 司(つくよみ・つかさ)シオン・エヴァンジェリウス(しおん・えう゛ぁんじぇりうす)イブ・アムネシア(いぶ・あむねしあ)らは、司とイブが崩れた壁の下敷きになった事により、ついに衛兵に捕らえられてしまい、レッドローズの牢獄に戻されてしまう。
「……うぅ、ここまで逃げ続けたのに……壁の下敷きになり、イブくんの返り血を浴びましたか。シオンくん! 計画通りとか言わないで下さい!」
 シオンは司の不幸が楽しくてたまらないらしく、サディスティックな笑みを浮かべていた。
「結局、無駄骨だったわね♪」
「無駄骨言うな! 私達はこれから拷問されるんですよ!」
 心配する司をよそに、血塗れのイブは能天気に言った。
「拷問なんてきっと誤解です! ただちょっと強引にお家に招待してるだけです!」
「…………。」
 司の不幸は続くように、各部屋では尋問も続いていく。


 ☆     ☆     ☆


【ローズピンクの牢獄】

 先端恐怖症のキャンディス・ブルーバーグ(きゃんでぃす・ぶるーばーぐ)は本当の名前である
「ジャ……」(気絶)
 と漏らしそうになったが、気絶したのでかろうじて秘密は守られたようである。

 屈辱の女装をさせられたミリー・朱沈(みりー・ちゅーしぇん)は尋問に無反応で
「ボクの秘密を教えてあげるよ。……うふふ、親殺し……」
 後を任された尋問官は反応に困ったと言う。

 拷問に耐性のあるフラット・クライベル(ふらっと・くらいべる)は尋問に笑顔で答えて
「フラットって……既に死んでいるんだよね……」
 電波なのか、秘密なのかは不明な言葉を口走り、後を任された尋問官を困惑させていた。

 アシェルタ・ビアジーニ(あしぇるた・びあじーに)は身体中を傷つけられたが、スキル【鬼眼】で睨みつつ笑っていた。
「あら、気がついたら誰もいませんわ。」
 後を任された尋問官は恐怖で逃げ出したらしい。

 アイ・ビルジアロッテ(あい・びるじあろって)は鞭打ちをされ、泣き叫んでいた。
「いたい! いたい! ひどいことしゃちゃだめだよ!」
「……解放しなさい。」
 アイはすぐに屈服し、秘密らしい秘密も持ってなかったので、リナの命で解放されたらしい。


 ☆     ☆     ☆


【グリーンローズの牢獄】

 南臣 光一郎(みなみおみ・こういちろう)は【寄生虫:硬膚蟲】を頼りにして、鞭打ちを受けたが【寄生虫】は取り上げられており悶絶し
「パッと目綺麗な変態女を見るとたちまちダイブしたくなるくらい大好きなオンナの趣味は、マザコンの裏返しらしいですよ。」
 と言うトリビアを披露したが、リナにはガン無視されたらしい。

 鞭打ちに対して、罵声を浴びせ、効いていないことをアピールし続けたオットー・ハーマン(おっとー・はーまん)も、ついには
「……実はドM。」
 と頬を赤く染めながら呟き、リナの怒りを買い、M気を存分に堪能したと言う。

 くすぐったがりな鬼院 尋人(きいん・ひろと)は、縛り付けられて身体にまたたびの粉をかけられて、仔猫ペロペロの刑を受け悶絶し
「……薔薇の学舍の騎士には秘密などない!」
 と強がったが、最後には身体的なコンプレックスを漏らしていた。

 その獲物は逆さに寝転がされ、口にチューブのような物を入れられ、ドロドロの液体を飲まされ、責められれば責められるほど身体が疼き
【廃棄処分に】
 と残念ながら、誰の事だかわからなかったようだ。


 ☆     ☆     ☆


【ブルーローズの牢獄】

 リナとのタイマンに敗れた雷霆 リナリエッタ(らいてい・りなりえった)は、ジワジワと真綿を締めるように責められたが自分の秘密を喋らなかった。だが、過去に何かがある事を知られてしまう。
「わ、笑うんじゃねーよ。てめぇーだって似たようなモンだろッ!」
 と言う言葉が、何かリナの心の琴線に触れたようだ。

 どこか勘違いしたままの神子山 大元帥(みこやま・だいげんすい)は、蝋燭で責められても
「蝋燭、熱い! 何だ? お灸みたいな物か? 健康にまで気を使ってくれるなんて主(サディスティック・リナ)GJ!」
 とある意味逆に拷問を行ったため、後を任された尋問官は「彼の戦いぶりはまるでコントのようだ。」と呟いたと言う。

 綾原 さゆみ(あやはら・さゆみ)は現実逃避をして逃れようとしたが、エロティックな状況に耐え切れなくなり……。
「わ、私……アディ(アデリーヌの事)が大事に育てていたプリムラの鉢植えを壊してしまったの(野良猫のせいにして逃走)。」
 と白状してしまった。

 さゆみの証言を聞いたアデリーヌ・シャントルイユ(あでりーぬ・しゃんとるいゆ)は鉢植えを壊した犯人を見つけたので、自らの罪も漏らした。
「さゆみが大切にしているコスプレ衣装を自分でも着たくなって、着てみたら誤って破いてしまいましたわ。」
「ガーン!!?(さゆみ)」
 その後、二人の口喧嘩が始まったという。

 お尻が真っ赤になるまで折檻されたリタ・ピサンリ(りた・ぴさんり)は流石に耐え切れず大泣きしてしまい。いつもの癖で
「ごめんなさーい! もうおねしょしませんからー!」
 と普段お仕置きされてる時の様にひたすら泣いて謝った。

 苦行も拷問も無意味だと思われていたベネデッタ・カルリーニ(べねでった・かるりーに)も目鼻口をタバスコ責めと言う、恐ろしい拷問を受け
「……よう……好き……勿論……意味で……。」
 薄れゆく意識の中で、自らの性癖を暴露した。

 目にいっぱい涙をため、顔を真っ赤に染め、身をよじりながらうめいていた白石 忍(しろいし・しのぶ)はついに
「……いじめられると感じてしまうんです……Sなお姉様って素敵……」
 と頬を染めながら秘密を呟いたので、真顔になったリナにそのまま責められ続けた。

 リョージュ・ムテン(りょーじゅ・むてん)は忍たちの前で、言葉責めされながら尻を叩かれたため
「……忍は追い込まれると性格変わるぜ。」
 と、とっておきの秘密をしゃべったが、もっと隠しているだろうとさらに責められた。

 風間 宗助(かざま・そうすけ)は激ニガコーヒーの刑と言う、由緒正しき尋問を受け。グレてた頃、三股かけてたのがバレて刺されたことがあると、Vシネマ顔負けの秘密を暴露した。
「やっぱり平和なのが何よりですよね(遠い目)……」
 そして、「宗助、その秘密がオッサンくさい。」と小鳥遊 アキラ(たかなし・あきら)に突っ込まれた。

 小鳥遊 アキラ(たかなし・あきら)は虫(おもちゃ)責めと言う、身の毛もよだつ尋問を受け。実は宗助に内緒で、男性アイドルグループのファンクラブに資金をつぎ込んでいる事を暴露した。
「いじわるする人は苦手だよ〜(遠い目)。」
 そして、「僕の転職代が参考書でなく、ファンクラブの資金になっていたとは……」と風間 宗助(かざま・そうすけ)は二度目の拷問に絶句していた。


 ☆     ☆     ☆


【レッドローズの牢獄】

 不幸の代名詞となった月詠 司(つくよみ・つかさ)はサイコメトリで、強制的(抵抗は却下)に色々見させられ
「はっはっはっ……日常が拷問の様なモノの私にそんな物(自己の尊厳すら)在ると御思いですかッ!? ……寧ろ下さいっ。」
 と自虐にも似た言葉を吐き、尋問官に同情されたらしい。

 シオン・エヴァンジェリウス(しおん・えう゛ぁんじぇりうす)は「ワタシが代わりに拷問を受けるから!」とうそぶき、逆に司とイブへの尋問をよりハードな物へ進化させ
「シオンくんを責めるなら私を……」「ボクも! ボクも!」「どうぞ♪ どうぞ♪」
 と逆に司とイブへの尋問をよりハードな物へ進化させたという。

 イブ・アムネシア(いぶ・あむねしあ)は鞭で打たれると、「ボクの血は危険だから触っちゃダメです!」と警告を発するが無視された。
「……うぅっ……無いですよぅ〜。」
 でも、特に重要な秘密も持ってなさそうだったので解放されたらしい。


 ☆     ☆     ☆


 だが、そのような騒ぎに乗じて、何人かが牢を脱出する事に成功していた。山葉 涼司(やまは・りょうじ)の救出部隊など来る様子がない。
 途中、同じ意思を持った連中と合流し、無数の足音となり、石畳の上を駆けていくが出口は見つからない。それでも前に進むしかない。――荒野の中の存在する『いばら(荊)の館』内で行われる惨劇だが、止まったように思われてた時も少しずつ動き出してきたようだった。