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雪だるまと仲良し大作戦

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雪だるまと仲良し大作戦

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第一章 雪だるまと遊ぼう大作戦!


 何人かのお兄ちゃんやお姉ちゃんが森へ行った園児達を助けに行った後の園庭。

「みんなぁ、こっちおいでよ。甘い雪だるまを食べよう」

 ネージュ・フロゥ(ねーじゅ・ふろう)は大きなお皿を持って幼稚園の入り口を心配そうに見つめ今にも飛び出してしまいそうな園児達に呼びかけた。
「あまい雪だるま?」
 彼女の呼びかけに興味を持った子供達が何人かこの日のために幼稚園が用意した机を囲み出す。
「ほら、見ててね」
 そう言ってネージュは芯にアイスクリームを使って周りを固めの練乳を混ぜ込んだ雪で作った雪だるまを作って大きなお皿に載せた。お腹を壊さないように小さなサイズだが、数は取り合いにならないようたくさんある。
「ほら、一緒に食べよう」
 スプーンを配りながらにっこりと誘う。何とか森へ行くことから注意を逸らしたい。
 子供達はすっかり森に行くことを忘れてスプーンを忙しく動かし始めた。

「……っ、寒っ……ごめんなさい。ちょっとおトイレ行って来るね」

 雪だるまを食べてしばらくしてネージュに異変が起きた。その異変は彼女だけではなかった。シャンバラ人の女の子もトイレを訴え出し、一緒に行くことにした。
「それじゃ、おねえちゃんと一緒に行こっか」
 女の子と一緒に行く前に近くで丸いカプセルに甘いオレンジとぶどう、ヨーグルトのゼリー液を入れて雪だるまの中に入れて冷やしている高天原 水穂(たかまがはら・みずほ)に呼びかけた。
「水穂ちゃん、この子と一緒におトイレに行って来るから子供達のことよろしくね」
「あ、いいですよー」
 雪だるまにゼリーを入れたカプセルを仕込んでいた水穂は手を止めてすぐに答え、雪だるまを食べ切った子供達の所に行った。

「次は水穂おねえちゃん特製の楽しい宝物ですよー」
 不安を思い出さないように水穂は自分の言葉に興味を持ち始めた園児達を連れて自分が作業をしていた場所に案内した。そこにはたくさんの雪だるま。
「この雪だるまの中においしい宝石が入ってるですよー」
 子供達は一斉に雪だるまの中に入ってる甘くてぷるぷるした宝石をほおばっていく。

「ほらほら、私の尻尾をもふもふしてぬくぬくしていいんですよ」

 寒くなってくしゃみを始めた地球人の女の子に声をかけて毛並みのいい尻尾を向けた。女の子はもふもふしてほっこりし始めるもそれを他の子供達が羨望の眼差しで見ていることに水穂は気付き、その子達にも言った。
「みんなももふもふしていいですよー。順番ですよ」
 あっという間にゼリーから水穂の尻尾のもふもふが主役となってしまった。

 教室で寒さにやられた子供達の相手をするの常葉樹 紫蘭(ときわぎ・しらん)

「次はこのご本を読みますわね」
「ねぇ、次は積み木をしようよ」

 紫蘭はたくさんの子供達に囲まれていた。そんな中、外と教室が繋がっている入り口が開く音がして紫蘭は顔を向けた。

「あら、ネージュちゃん。体が冷えてしまってお花摘みですか? お手洗いまで付き添ってあげますわ」

 教室に入って来たのはネージュと女の子だった。
「紫蘭ちゃん、この子に付き添ってあげてね」
 そう言ってネージュは我慢の限界が来たらしく素早くお手洗いに行ってしまった。
「……行きましょうか」
 ネージュを見送った後、仕方なく女の子に付き添ってお手洗いに行った。
 その後、ネージュと女の子は冷えた体を温めるためしばらく教室で遊んでいた。

「……みんな無事かしら。私のせいで、私がブローチを持っていたから」
 遊ぶ園児ではなく入り口を心配そうに眺めるナコにルファン・グルーガ(るふぁん・ぐるーが)が不安を和らげようと声をかけた。
「絶対にみんな無事で帰って来る。そんな心配そうな顔をしては子供達が不安がる。子供達は敏感じゃからのう」
 ルファンはみんなが思い思いに子供達の相手をしている園庭を眺めた。
「ナコ先生、ごめんなさい」
 聡明なシュウヤはこの状況の一番の原因が自分の発言にあると思い、園庭を元気なく見守っているナコに声をかけた。
「どうしたの? シュウヤ君」
 ナコは心配顔を引っ込め、優しい保育士の顔で屈んで訊ねた。

「……僕のせいで先生の宝物がなくなっちゃたんでしょ」

 みんなが森に行ってしまってからずっと思っていたことを口にした。
「シュウヤ君のせいじゃないよ。先生がうっかり屋さんだっただけなんだから心配しないでね」
「……でも」
 何とか思い詰めている少年の心を癒そうにもうまくいかない。それぐらい彼女はブローチを紛失して動揺していた。
「大丈夫じゃ、みんながそなたの友達を連れて帰って来るからのう。迎えに行ったお兄ちゃんお姉ちゃんはみんな強いから心配無用じゃ」
 横で見ていたルファンが屈み、ナコの代わりに励ましの言葉をかけた。
「本当に?」
「あぁ、本当じゃ。ほら、約束じゃ。わしの約束は絶対じゃ」
 ルファンは自分の言葉を信じられないシュウヤに右の小指を立てて、彼の左の小指と絡ませて指切りをした。
「……約束。分かった」
 指切りした左小指を少し見つめた後、シュウヤは遊んでいる友達の方に駆け出した。
「……ありがとうございます」
 シュウヤを見送った後、ナコは申し訳なさそうにルファンに礼を言った。
「ほら、しっかりのう」
 ルファンはもう一度、新米保育士を励ました。