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 某日夕刻。
 工業都市ヒラニプラの一角にある集会所にて、その作戦会議は開かれていた。

 シャンバラ教導団憲兵科の青木中尉は、捜索隊に参加するべく集まった有志の面々を見渡した。
「諸君。この度の調査団救出捜索隊への参加、まことに感謝する。既に周知の事とは思うが、本作戦は教導団の正式な作戦ではない。よって……」

「そんなにかしこまらなくても結構。まぁ、楽にしちゃってよ」
 制服の襟元を緩め、その相好を崩した。

「いやぁ。ぶっちゃけて言うと、僕も上から急に押しつけられただけでね。いったい何が起こっているのか、全然わかってないんだよね。……ただ、上層部の一部は、古代シャンバラの何かが暴走したのではないかと神経質になっているみたいだ。
 まぁね? 例えば凶悪なモンスターが発生していた場合、一番被害を被るのはウチ……シャンバラ教導団だからね。自分の家の隣に爆弾が埋まってるっていうのは、さすがに僕も嫌だし。小綺麗な観光名所なんて、例え幾つあっても戦争には勝てないからね。爆破って選択肢はわからなくもない。
 でも、だからっていきなり爆破って言うのも乱暴な話だ。きっと、政治的な思惑が色々あるんでしょう。わからないけど。

 じゃあ、前置きはこれくらいにして。

 今回の調査団が調べていたのは、中央広場より少し北にある聖堂と呼称されている建物付近です。
 仮に、騒動の原因がこの聖堂だとすると、連絡消失地点までほぼ一直線。途中でベースキャンプを経由すると、くの字。このライン上に調査団……要救助者がいる可能性が高い、そう考えられます。
 ですが、あくまで仮の話ですので、頭の隅に留めておく程度にしておいて下さい。
 要救助者は、全員で二〇人。楽観的に考えても全員が生きている可能性は低いと思いますが、生死を問わず助け出して下さい。ご遺体をご家族の所に帰してあげないといけないからね。
 こんなものかな。その他、作戦に必要な物があれば申し出て下さい。できる限り、こちらで用意します。
 あー、そうそう。明後日の朝までに皆さんが一人も帰ってこない、もしくは帰ってきても街に脅威在りと判断された場合は、爆破だそうです。

 調査団の方々を助ける事はもちろん大切な任務だけど、君たち自身の命も大切だからね。まぁ、死なない程度に無茶して頑張って下さい。
 以上」

 翌、早朝。
 捜索隊は、水晶の街へ向けて出発した。