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ジャンクヤードの亡霊艇

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ジャンクヤードの亡霊艇

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第4章 救出活動


 亡霊艇の入り口から大型ロボが引き離され、救出組が次々に内部へと乗り込んでいく。
 七枷 陣(ななかせ・じん)も、その内の一人だった。

「真くん達は大丈夫やろか……」
 ジャンクヤードの上空を飛ばしてきた小型飛空艇から降りながら呟く。小尾田 真奈(おびた・まな)がハウンドドックを抜き、手早く調子を確かめながら、
「心得のある方ですし、そう簡単にはやられはしないでしょうが――」
「真のことだから、他に襲われている者を見たらそちらを優先してしまうかもしれません」
 リュース・ティアーレ(りゅーす・てぃあーれ)が少し気のはやった様子でこぼす。
「焦るな」
 仲瀬 磁楠(なかせ・じなん)の声。
「無茶言うな」
 陣はそちらの方へと半眼を返し、
「ダチがヤバイんだから焦るっつーに」
「真たちはガラクタ探しだと言っていたな」
「聞け、オイ」
「そのように聞いています。ですから、事件当初もかなり深い所に居たかと」
 真奈が言う。
「……なーんか……」
 陣が口元をひくつかせた横でリュースが真剣に頷く。
「いつかのように……手遅れになるのは御免です。急ぎましょう」
 彼の言葉をきっかけに、リュース、磁楠、真奈が駆けていく。
 出遅れて、
「……考えてみたら、いつかのタルヴァも似たような面子だったような――」
 なんとなくデジャヴのようなものを感じながら、陣は三人の後を追った。


「さあ、救助にあたる皆のために、内部の道は私たちが切り開くわよ!」
 伏見 明子(ふしみ・めいこ)はスピアと盾を構え、飛空艇の入り口から内部へと先陣を切って入り込んだ。
「――やってらんねぇ」
 明子を包むセーラー服型の魔鎧レヴィ・アガリアレプト(れう゛ぃ・あがりあれぷと)がボヤき、明子の迸るやる気とは真逆のテンションで、もそもそと続けた。
「何が悲しくて悪竜たる俺様が人助けなんぞ……」
「態度が悪い、一点減点ー」
 ぐっ、とセーラーのスカーフを引っ張ってやる。
「んだァァァァ痛い痛い痛い!?」
 レヴィが激痛にわめき、
「だァからスカーフを引っ張んなってそこ弱いんだからよォォォォ!! おまえと違ってデリケートに出来てんだ、こっちは!!」
「……鎧の自覚ゼロな発言ねー。というか、素直に『人助け出来て嬉しい』って言えばいいのに」
「勝手に人様の心積もりを決めつけてんじゃねぇ! いいかァ? 俺様は止むに止まれぬ事情でもってこんな格好しちゃいるが――」
「減点……」
「嬉しいなァ! 人助けが出来て嬉しいなァ、コンチクショォォ!!」
「じゃ、気張っていきましょー」
 明子の目の前には、既に数体の機晶ロボや機晶姫たちが行く手を阻むように現れていた。
 こちらへ放たれる機銃を盾で受けながら、その中へ躊躇無く突入していく。
 
 明子らと共に、氷室 カイ(ひむろ・かい)ルナ・シュヴァルツ(るな・しゅう゛ぁるつ)もまた、救助にあたる者たちのために、その剣を振るっていた。
「人助け、か」
 襲いかかってきた機晶姫のブレードを紙一重で避け、カイは下段から切っ先を機晶姫の装甲へと走らせた。
 そのまま深く踏み込み、返し刀で斬り伏せる。
「――とどめを刺さないのか?」
 すぐ横でカルスノウトを振るうルナの問い掛けが聞こえた。
 別方向から迫った機晶姫のブレードを斬り弾き、彼女と軽く背を合わせる。
「それで足りる内は、な」
 返答し、向こうで戦う明子の方を見やる。
 ルナがそちらの戦い方に気づく。
「難儀なことだ」
 そして、彼女は冷美な瞳を細め、構えを正し――対峙していた機晶姫へと剣先を突き込んだ。
 と、機晶ロボの機銃が走り、二人は同時にその場を跳び避けた。
「厄介だな」
「我を纏うか?」
 少し離れた場所に着地したルナが機晶ロボを見据えながら問う。
「ああ。時間を掛けるわけにもいかないからな」
「いいだろう。ただし――」
 ルナが剣を鞘へと返し、静かに言う。
「我を纏う以上、負けは許さんぞ」

「右ッ、来るぞ!」
「よっと!」
 レヴィの感知した方向へと明子が盾を向ける。
 激しい金属音がして盾の表面を機晶姫のブレードが削った。
 明子の脚が確かな動きで床を捉えて、盾を引きながら槍先を繰り出す。
 完璧に真正面を捉えることが出来たはずだった。しかし、明子のスピアは”わざと”狙いをし、機晶姫のブレードを持っている腕を貫いていた。
 機晶姫が片腕を止められながらも、明子を捕まえようともう片方の腕を伸ばす。
「った!?」
「馬鹿ッ、何してんだ!?」
「これで、いいの!」
 明子が機晶姫に腕を掴まれながらも、強引に体を捌いて、スピアで機晶姫の脚を薙いだ。
 その隙に――別の一体の殺気。
「左ッ、もう一体だ!」
 レヴィが慌てて言った刹那。
 全くの他方から放たれたサンダーブラストが、明子に襲いかかろうとしていた機晶姫を掠め弾いた。機晶姫が怯んだところへ明子の槍が振るわれ、その機晶姫の動きのみを奪う。
 明子は魔法でフォローしてくれた者の方へと笑顔を返した。
「助かったわ」
 サンダーブラストを放ったのは蓮見 朱里(はすみ・しゅり)が微笑んで。
「人を襲ってくるとはいえ、機晶姫たちを壊したくないって、その気持ち、私にも分かるよ。だから、ありがとう」
 そして、彼女は救助に向かったパートナーである機晶姫のアイン・ブラウ(あいん・ぶらう)たちの後を追って駆けていった。
「……おまえらって、ほんと面倒くせぇな」
 レヴィが何か拗ねたように言う。
「慣れたら、悪くないって思えるわよ」
「誰が慣れるか」
 返ったレヴィの声の調子に、明子が軽く笑った向こうで機晶ロボが床に落ちた。
 ルナを纏ったカイが、機晶ロボを斬った刀を返しながら、そばを駆け抜けていく。
「……って、悠長にしてる場合じゃなかったわね。行くわよ、レヴィ!」
 明子はスピアを腰に構え、盾を前にして床を蹴った。


「やー、わらわら居るねぇー」
 佐々良 縁(ささら・よすが)が、やたら呑気な調子で言う。
 目の前の通路には機晶姫や機晶ロボが溢れていた。どうやら『当たり』の通路を引いたらしい。
「自信が無かったら下がってて良いのよ」
 メーテルリンク著 『青い鳥』(めーてるりんくちょ・あおいとり)(氷月千雨)は、二丁の魔道銃を両手に下げ、通路にあふれる機晶兵器たちを見据えながら言った。
 縁が火縄銃に弾を込めながら、
「だってさ、お爺」
 その身に纏う魔鎧点喰 森羅(てんじき・しんら)へ、へたりと笑いかける。
「若い苦労は勝ってでもするもんだよ、おちび。でないと身体ばかりが大きくなるだけさ」
「身体、ですか。なるほど」
 何時の間にか横に居た志位 大地(しい・だいち)が青い鳥と縁の二人の、同じ部位を見比べ――キラキラと爽やかさを放つ笑顔で。
「二人とも、身体も一緒に成長できれば一番良いですよね――っごふぅ!?」
「余計なお世話だよぉ、こら」
 火縄銃の銃口で大地のみぞおちを突いた縁が目をうっすら細めながら言う。
「それに私は、ちさーみたいな垂直落下式ツルツル平面地帯ではない、と言っておこーか。並べられても困るなぁ」
 縁の言葉に、千雨の表情にびしりと何か決定的な音が走る。
「まあ、どうでもいいですけれど……どうでもいいですけれど……縁だって……縁だって……」
 魔道銃を手に機晶兵器たちを臨んだ凛々しい格好のまま、千雨がふるふると震えながら零し始める。
 森羅の声が、ぼそりと。
「まあ正味なところ、どっちもど……」
「お爺、鋳こむよぉ?」
 にっこりと放った縁の一言にその魔鎧はビクッと震えたような気がした。
 一部始終を少し後ろで眺めていた天達 優雨(あまたつ・ゆう)が、状況をよくわかっていない様子で、ぽやりと小首を傾げ、
「胸の大きさに関わらず、皆さん、魅力的だと思いますよ〜?」
 言ったその本人の大きな大きな乳が揺れる。
「……………………」
「……………………」
 大地は、この時、確かに時間が止まるという現象を”見た”という。
「優雨さんなんて!!」
「天達さんなんて!!」
「え、えぇ〜?」
 吐き捨てて、縁と千雨は機晶兵器の群れへと突っ込んでいった。

「さって。いっちょやりますかー」
 縁が気を取り直すように、だが相変わらずの呑気な調子で、火縄銃で機晶ロボの関節へ狙いを定めた。
「緊張感が足らないわ」
 静かに愚痴のようなものを零しつつ、千雨が傍を駆け抜ける。
 縁の銃声と同時に、千雨が鋭く床を蹴った。


「――これはまた、漁りがいのありそうな場所ねぇ」
 一ノ瀬 月実(いちのせ・つぐみ)が飛空艇内部を眺め回しながら、軽く口笛を吹く。
「漁り?」
 隣で、割と真剣に救助に臨んでいるつもりだったリズリット・モルゲンシュタイン(りずりっと・もるげんしゅたいん)は口端を、ひくんっと揺らした。
 月実が、おっと、と口に手を当て、しばし視線をさ迷わせた後、コホン、とわざとらしく咳払いを一つして。
「とにかく、今回の目的は救出よ。教導団の名に恥じぬ救出を行うわよ。もう、出て来る要救助者をちぎって救助し、ちぎっては救助しまくっていく方向で――」
「うん、そうだね。わかってるよ、つぐみ」
 リズリットは微笑み、滑らかに続けた。
「で、お宝と人命、どっちが大事?」
「そうねぇ、やっぱり、おたか――」
「うなじゅー!」
 キリエ・クリスタリア(きりえ・くりすたりあ)が二人の間ににょきっと生える。
 一寸の間の後、月見が、ふむ、と零し、
「先に答えられてしまったわ」
「うな重には聞いてねぇーっ!! ついでにそんな選択肢もねぇ!!」
「でも、それも選択肢のひとつとして悪くはないと思ったの、私。ありよね、うな重」
「あるかぁーっ! お宝・人命・うな重の選択肢が並ぶ状況ってどんな状況!? 一つだけ違和感が激しく照り輝いてるでしょ!!」
「リズはいつも怒ってばかりだねー。おなかが空いてるならいえばいいのにー」
 キリエが、あむあむ、とうな重を食べながら小首を傾げる。
「って……不正解を迷いなく選び取るなぁーーー!! エンゲル係数を上げる前に、ちゃんと仕事しなさいぃい!!」
「大丈夫その点は抜かりないわ、リズリット」
 キラリ、と月見の瞳にいぶし銀の光が閃く。
「ちゃんとこうして一杯お宝を入れられそうな袋を持ってきたから。ほら、なんと私まで入れるのよ」
「…………」
「ね? こんなにすっぽり」
「……………………」
「あー、なにそれー、いいないいな、おもしろそー」
「あ、ちょ、キリエそんないきなり入ったら。って――あバランスがががががががががががが!?」
 ぼてっ、と倒れた月見とキリエ入りの袋が、そのまま、ごろごろと転がっていく。
「うきゃー、まわるまわるめがまわるー、たのしーあはははーー!」
「――ぅごふっ!?」
 袋はそのままT字路の正面の壁に当たって止まった。
「だから……もう……この、バカぁーーーー!!」
 リズリットは色々とツッコミ切れなかった数々をその一言に込めて、二人の方へと駆け寄った。
 キリエが袋から、もそもそ這い出しながら、
「やっぱり人間ってすっごいねー。こんなに楽しい遊び知ってるんだもーん」
「人間の世界にそんな遊びはないからっ、それに……食べてすぐそんなに回ったら――」
「えー、ないのー、こんなに楽しいのにー。って気持ちわるうぇぇぇぇぇ」
「ギャーー、だから、そうなっちゃうから、もー!」
「ふむ、ちょうど良いわね。キリエの吐いた汚物を目印代わりにしてマッピングしていきましょうか」
「するなボケェ! 嫌過ぎるでしょ! そんな史上最低の目印!」
「確かに、内容物がウナ重だけだと見分けが付かなくなるかもしれないけど」
「そういう問題じゃねぇ!!」
「マッピングはあたしのおしごとだね〜、ちぇっくちぇっくぅ……うぇぇぇぇぇぇぇ」
「そんなものマジマジと見たらまた気持ち悪くなるに決まってるでしょう!! あー、もう、ほんと大丈夫なの私たち!?」
「大丈夫よ。戦闘になったら全力で逃げてそこらへんの人に押し付けるから」
 サムズアップ眩しく月見が言い切る。
「ちゃんと救助活動しろぉおおおおお!!」
 リズリットの魂の叫びは大型飛空艇に響いて、後で『亡霊による謎の呻き声の噂』の元になったとかなんとか。


 ずずず、と通路の端っこをダンボールが動いていく。
 その中に居たアルミナ・シンフォーニル(あるみな・しんふぉーにる)は、既に半泣きだった。
「あぅぅ、変な雄叫びが聞こえるぅ……せっちゃん、どこに居るんだろぉ……?」
 彼女は、事件に巻き込まれたパートナーの辿楼院 刹那(てんろういん・せつな)を探していた。背中には刹那の武器をまとめて背負っている。
「……大丈夫かなぁ? せっちゃん」
 はふ、と溜め息をついたその時、重たい駆動音が聞こえた。息を呑んで動きを止める。アルミナはドキドキしながらダンボールの覗き穴から外を伺った。
 通路の先から機晶ロボが迫ってくるのが見えた。
(こ、このまま通り過ぎて……)
 機晶ロボが手前で止まる。
(…………………)
 そして、ロボは、わりとアッサリ銃口をこちらへ向けた。
「ああああ、やっぱりぃ〜〜〜!」
 アルミナが涙をちびらせながら飛び出したダンボール箱が機銃に粉砕されていく。
 次いで、銃口はアルミナを追ってきた。
「うわっ、わっ、な、な、なんか、ごめんなさいごめんなさいごめんなさいー!」
 銃撃に追われながら、アルミナはわたわたと全力で飛び回って通路の奥へと逃げていった。
 

「――現在、ジャンクヤードで起きてる事件は、この『亡霊艇騒ぎ』だけ」
 桐生 円(きりゅう・まどか)は、カーマインの柄でコリコリと額の端を掻きながら、通路の奥を見やった。
「ま、だから多分、牛ちゃんはここに居ると思うんだけど」
「うううっ、ラズンがしっかりと用件を伝えていれば確信を持ってお探し出来るのに」
 ラズンから連絡を受けたというナコト・オールドワン(なこと・おーるどわん)が嘆く。
 曰く、ラズンからの電話の内容は『きゃはは、ナコトおねーさま。アルコリアの武器持ってきて。あと、まどか』だったとか。『あと、まどか』の辺りで電波は途切れたらしい。
「『まどか』って何かしらと思ったら、まさかこの、ちんくしゃペチャパイのまどかへも助けを求めていたということだったなんて――きっとマイロードは本当に恐るべき危機に瀕していますわ!」
 ナコトの嘆きと慌てようを横に、円は自分が受けた電話の調子を思い出しながら小首を傾げた。
「いや、それはどうだろう。あと、今のキミの発言でボクの銃の狙いが盛大に滑る可能性が高くなったよ」
 とは言ったものの、本当にアルコリアが危機に瀕していて怪我なんてされるのも嫌だった。だから、円はここに居た。
 アルコリアの武器と戦闘用の装飾品を詰めた袋を担いだシーマ・スプレイグ(しーま・すぷれいぐ)がナコトを落ち着かせるように声をかける。
「アルは、大丈夫だ。だから落ち着け、ナコト。ラズンも付いているし、アルは非武装でも……正直、あまり問題は無いと思う」
「でも――マイロードにもしものことがあって、ここの野卑なボンクラ機械どもに、あんなことやこんなことをされていたらと思うと、わたくしはもう胸が張り裂けんばかりで……ああ、張り裂けて、まどかのような、ちんくしゃペチャパイになってしまったらどうしましょう」
「なんなら、二度と張らないように風穴にしといてあげようか?」
 円は小首を傾げてみせながら言った。
 シーマが、とりあえずナコトと円のことを置いておくように、振り返る。
「助力に来るのはまどかだけだと思っていたが、アリウムに、ロザリンド班長まで。本当に感謝する」
 ナコトが改めて心からの感謝を伝えるように拳を胸元へ当てて、円の纏う魔鎧アリウム・ウィスタリア(ありうむ・うぃすたりあ)ロザリンド・セリナ(ろざりんど・せりな)の方へ一礼を落とす。
「いえ、そんな、頭をあげてください。一緒に、頑張ってアルコリアさんを助けましょう!」
 と、パワードスーツ一式揃ったゴツイ塊が言う。
 シーマが顔をあげ、
「しかし、課題のレポート中だったと聞き及んで――」
「友人が危機に陥っている時に課題なんてやってる場合ではありませんから」
 がっちょんがっちょん、とパワードスーツが、柔らかな動きで手と首を振る。
 円は、その、いかつい姿を眺め――ボヤいた。
「もうほんと、ロザリンは石橋をたたいて渡るタイプだなぁ」
 ぎっちょん、とパワードスーツが小首を傾げ、
「でも、機能がまだ生きているという古代の飛空艇ですから、しっかりと装備を固めておきませんと……そうなると、やはりこのパワードスーツが定番かな、と」
 ぐぃこぐぃこ、と硬く大きい手のひらを女性らしい仕草で合わせ鳴らされる。
「そう……」
 円は、そんなロザリンド イン パワードスーツを、どこか遠い目で見やりながら言った。
 
 通路を進み始めた一行の端で。
「あの……」
 円が纏うアリウムの小さな声。
 円は小首をかしげ、
「うん?」
「……ラズン様って、あたしと同じ魔鎧さんなんですよね?」
「ああ、そうだよ」
「写真、拝見しましたけど、とっても可愛かったです。お……お友達になれると嬉しいです」
「友達……かぁ」
 シーマの話を聞く限り、少しばかり『変わった』性質の子のような気もしたが、円は頷き。
「きっとなれるよ」
 そう言っておいてやった。