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太古の昔に埋没した魔列車…エリザベート&静香 前編

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太古の昔に埋没した魔列車…エリザベート&静香 前編

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第1章 密談&インタビュー

「イルミンと百合園が出資しているんだから。あの御神楽環菜にデカイ顔させるわけにはいかないわよね♪」
 出資者の3人に経営について提案しようと、藤林 エリス(ふじばやし・えりす)はヴァイシャリー邸のリビングにやってきた。
「いらっしゃい、そこのソファーにでも座ってください。で・・・何のご用事でしょう?手伝でもなく、遊びにきた感じでもありませんし」
「えぇ・・・。鉄道経営のことで、ちょっと話をしようと思ってね」
 ラズィーヤ・ヴァイシャリー(らずぃーや・う゛ぁいしゃりー)の向かい側にとすんっと座ると、プランをまとめたファイルを開いて見せる。
「この時期って結構暑いよね。冷たいお茶でもどうぞ」
「ありがとう。ん・・・」
 アイスティーを桜井 静香(さくらい・しずか)に勧められカップに口をつける。
「エリザベート校長は、まだここに来ていないみたいね」
 ネット電話で話そうと登録者を探しボタンをクリックする。
「もしもし、校長?あたしだけど、今いいかしら」
「あらエリスさん、どうしたんですかぁ〜」
「鉄道の経営について話そうと思ってね。拝金主義な環菜が、そう簡単に変わるとは思えないし。自分が主導権を握って、鉄道会社を企業しようとでも思っているに違いないわ。赤字を出されたりでもしたら、出資者の方だって困るもの。経営を監視する人が必要よ」
「それで、誰かその役目をするんですぅ?」
「まずそれを言う前に・・・。これで見えるかしら?」
 エリザベート・ワルプルギス(えりざべーと・わるぷるぎす)にも資料が見えるようにカメラの位置を調節してやる。
「はい〜見えるですよぉ」
「じゃあ続きを話すわよ。あたしとしては、正式な株式会社として環菜に法人設立登記させようと考えているの。3人で出資額に応じた株式の分配を分けることになるんだけど。鉄道会社の株主になっておけば、利益がイルミンと百合園に配当されるわけだし?」
「当然、タダで全て渡すわけにはいきませんからねぇ」
「それにいくら経営者でも、株主には逆らえないから」
 エリスはニヤリと黒い笑みを浮かべ、こちらが優位に立って当然とアイスティーを飲み干す。
「美味しいところだけ、あの環菜にぜーんぶもっていかせるわけにはいかないでしょ?」
「―・・・それもいい提案なんですけど。今は企業というより、百合園と魔法学校・・・そしてご協力いただいている皆さんの共有の宝物みたいなものですわ」
 話を聞いていたラズィーヤが、扇を口元に当てて言う。
「でもそれじゃあ、利益は・・・」
「もちろん・・・出資した2つの学校のものになりますわ。相応の報酬はすでに、生徒さんたちの学園に送ってありますし」
「(もう即払いで振り込んであるのね)」
 さすがラズィーヤぬかりはないようね・・・と、心の中で呟く。
「かなりの重労働ですから列車の内装は、ご協力いただいている方の好みに、ある程度合わせいただこうと考えていますの」
「(これって、かなり凄い額のお金を使うのよね?ちゃんと黒字になるのかしら)」
 エリスの隣で聞いていたアスカ・ランチェスター(あすか・らんちぇすたー)は、鉄道って経営成り立つのかしら?と思いつつ話の続きを聞く。
「とりあえず今は、環菜を経営者にするってわけじゃないのね?」
「えぇ、そういうことになりますわねエリスさん」
「まだ走れるわけでもないし。列車を引き上げても中を掃除しなきゃいけないからね」
「加工した金属で修理する前に、ある程度キレイにしておくのは当然ね」
 修理するにしても汚れたままじゃ無理よね、とアスカは静香に軽く頷く。
「採掘して加工するにしても、その研究から始めるの?」
 作業工程が終わるまで先が流そう・・・と思い、ラズィーヤの考えを聞こうと彼女の方へ顔を向ける。
「アゾートさんの手があかなければエリザベートさんに、方法を伝えてもらいますわ。レールはまずこちら側まで敷くわけですから、列車もその近くまで運んでいただきますの」
「ノートパソコンのネット電話でイルミンから現場に伝える感じになるのかしら?」
「まぁそうなりますわ。列車の発掘の進み具合にもよりますから、作業工程の話はまた後にしましょう」
 ラズィーヤたちはリビングでくつろぎながら、作業の進行の報告を待つ。



「会議が終わったんでしょうか?入っても大丈夫ですか」
 樹月 刀真(きづき・とうま)がリビングの扉をノックすると・・・。
「うん、いいよ」
「御神楽環菜鉄道記の記録のために、インタビューをしたいんですけいいですか?撮影込みになってしまうので、その許可もいただきたいです」
「何か面白そうだね、僕はいいよ」
「こちらも構いませんわ。よろしいですわよね、エリザベートさん」
「いいですよぉ〜。パラミタ内海からでよければ」
 ラズィーヤにテレビ電話のスイッチを入れてもらい、画面越しにインタビューを受ける。
「カメラの方に向いてね」
 デジタルビデオカメラをカバンから取り出した漆髪 月夜(うるしがみ・つくよ)はレンズを2人に向ける。
「御神楽さんへ出資していただいてありがとうございます。今の気持ちを聞かせてください」
「うーん、突然聞かれると答えるのも難しいね。そうだなぁ、皆が無理しちゃわないか、心配かな」
「特にアダマンタイトがあるらしい遺跡は、今日しか入れませんからね。多少、無理をしてでも採らなければ、修理出来る量を確保出来ないかもしれませんから」
 彼女らしいコメントですね、と思いつつ無理に特攻する人もいるかも・・・と考える。
「各地にレールが出来れば、交通が便利になりそうですわね」
「確かに、いろんな場所にいけるようになれば、便利かもしれません」
「貴重な金属や魔列車の研究が出来るなんて楽しみですぅ〜。そのためにも、皆さんには頑張ってほしいですねぇ」
「じつに魔法学校の校長らしいコメントです!やっぱり魔法的なものには目がないんでしょうね」
 答えてくれる3人に刀真は聞くだけじゃなく自分もコメントをつける。
「今後、御神楽さんの鉄道に何を期待していますか?」
「魔列車が修理できたら、皆と旅してみたいね」
「観光客などが増えれば、その土地の経済も潤うでしょうね」
「私も快適に旅が出来るようにしてほしいですぅ」
「では、彼女への一言をどうぞ」
「パラミタ横断の願いが叶うといいね。皆と、一緒に楽しく造って、実現してほしいかな」
「出資したからには、失敗は許しませんわよ。皆の意見を聞きながら、必ず利益を出しましょうね。っと、一応いっておきますわ」
「失敗だけでなく個人だけで所有はさせませんよぉ〜。皆の宝物なんですからねぇ!何かするなら私たちにきちんと話しをするですよぉ〜!!」
「(一言と言われたのに、二言三言話したわね)」
 撮影しつつ月夜が心の中で突っ込みを入れる。
「優しいコメントもいただきましたが。やっぱり厳しいコメントもありましたね。御神楽さん、これからが大変ですよ。それでは現場へ参りましょう。―・・・はい、おっけいです月夜」
 そう言い終わると彼女に録画を停止させた。
「ご協力ありがとうございました。失礼いたします」
 3人に礼を言うと2人はパラミタ内海のは発掘現場へ向かう。