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リアクション
第11章 ニャ〜ンズのニャーアンアタック!
「日の光が届く方からやるか」
女王の剣を応用し、健闘 勇刃(けんとう・ゆうじん)は硬い岩場を工事現場のお兄さんのように、ガガガガッと掘り進める。
「こうして見ると健闘くんって、ヘルメットが似合いそうですね」
もう片方の側を担当しようと、天鐘 咲夜(あまがね・さきや)はチェインスマイトで岩を破壊しながら車輪の周りを掘る。
「発掘もお姉さんに任せなさいっ」
そう言うと文栄 瑠奈(ふみえ・るな)は翼の剣を鞘から抜き、ツインスラッシュの剣圧で硬い岩場を破壊する。
壁際に吹っ飛んだ岩がドォオンッと音を響かせ、土煙を水中に漂わせる。
「視界が悪くなりましたよ、瑠奈お姉ちゃん」
予備のタンクをもらってきた冠 誼美(かんむり・よしみ)がゴーグルを両手で拭く。
「あら、ごめんね。でもあまり気にしていると、作業が進まないのよ」
「いってぇ!?」
「どうしたの勇刃くん、破片でもぶつけちゃった?」
「いや・・・足に何かいないか?」
「珍しい魚ね。いらっしゃい」
仔猫サイズのニャ〜ンズを瑠奈が手招きをする。
「猫毛なのね?ふわふわしてて可愛いね。きゃぁあっ、水着の中に!くすぐったいじゃないの、もうっ」
背中にニュッと入ったニャ〜ンズを払う。
「いたずらっこたちはメッするわよ」
「サメよりも猫に似ているね、可愛い〜」
柔らかい猫毛のもふもふしたニャ〜ンズを誼美が抱っこする。
「この子はロシアンブルーみたいな毛色ね」
むぎゅっと抱き締めてすりすりと頬ずりする。
撫で撫でしていると・・・。
あむっと手を甘噛みされてしまう。
「あっ、いたいよー。噛まないで〜っ。あむあむすると怒っちゃうよ」
「怒ったら余計、噛まれますよ。こっちに貸してください」
誼美の腕の中にいるちっちゃなニャ〜ンズを咲夜がひょいっと取る。
「ぎゅっとしたくなるのもわかりますけど。優しく抱っこしてあげなきゃいけませんよ?」
「猫・・・じゃなかった、ニャ〜ンズばっかりかまってないで、作業に戻れって。お〜い・・・って聞いてないな」
「鳴き声も猫みたいで可愛いですね、ぎゅっとしたくなっちゃいます!」
彼の声が耳に入らず咲夜は髭をちょんちょんと触れて和んでいる。
「んみゃぁあっ」
「いたっ!わ、忘れていました・・・一応サメなんですよね・・・」
「咲夜お姉ちゃんも噛まれちゃったね」
2人は自分にヒールをかけて傷を治す。
にゃ〜らん・・・。
「急にまっくらになったよ?」
「あらあら、親かしら?かなり大きいのが来たわね」
「子供を返すから帰れっ」
勇刃が咲夜の手から仔猫サイズのニャ〜ンズを奪い取り、親の方に返そうとする。
「えぇ〜、返しちゃうんですか!?」
「やだぁあ、噛まれてもいいからもっと遊びたいよー。お兄ちゃん、瑠奈お姉ちゃん、おっきいほうを何とかして!」
「ちいさいのも何とかしないと、どのみち邪魔になるって」
「親がここで暴れると、作業が止まっちゃうでしょ」
咲夜と誼美に瑠奈がメッと顔をする。
「この子を返すからあっちへ行きなさいっ」
「ほら、行けってば!俺たちにじゃれるなよ」
「ふぅ・・・なんとか追い払ったわね」
「うわぁあん、酷いよぉお。ふわふわもふもふちゃんがいなくなったーっ」
「ちっちゃくって可愛いニャ〜ンズが・・・。うぅ、もっと触りたかったのに」
2匹が去った後、誼美はうわんうわんと泣き、咲夜の方は地面にのの字を書いた。
「爆弾を使って彫りやすくしてるみたいだから、少し遅れてきてみたけど。もういいのかな?」
レキ・フォートアウフ(れき・ふぉーとあうふ)は海にダイビングし発掘現場へ向かう。
「あ、前の方を頼めるか?」
「りょーかい!何発か撃たないと硬いね・・・」
勇刃に言われ先頭車両の方をから、洞窟の出口に向かって掘ろうとエイミングで狙いを定め、サイドワインダーを撃ち込む。
ドガドガガッ。
「洞窟の出口付近まで、仮のレールを作る人がいるんだっけ?」
「かなり手間がかかるんだな、やっぱり」
交換用のタンクを運びにきた七尾 蒼也(ななお・そうや)が、発掘現場を観察する。
「ボクは前の方の担当って感じかも」
「外の方で誰か騒いでるけど何だろう?」
洞窟の方を見ると可愛い獣のような海洋生物と、佐野 和輝(さの・かずき)たちが格闘している。
「何でこんなに群がってくるんだ?」
「怖いよーっ」
初めて海に入ったアニス・パラス(あにす・ぱらす)は彼にしがみついたまま離れない。
「小さいのもいるんだ?」
可愛い生き物を見つけた彼女は和輝から離れ、かぷっと手に噛み付いてきたちいさなニャ〜ンズの頭を撫でる。
「大丈夫かしら、和輝」
スノー・クライム(すのー・くらいむ)の方はというと、対岸の火事を決め込んでいる。
「さぁ、来いっ」
、重石代わりの機晶石からライトニングブラストで、エネルギーを電気に変えた和輝は両腕を広げる。
サメにタッチして放電した瞬間・・・。
「あっ」
はむっと片手を噛まれ、小さく声を上げたのと同時にビリビリと自分も感電してしまう。
「ほへほぁああおぁおあっ!?」
運悪くタッチしたのがニャ〜ンズのお口の中だった。
「共倒れね」
ぶっ倒れた1匹と1人を見て、スノーはふぅと嘆息する。
「あらあら、先に起きたのはニャ〜ンズね。連れていっちゃったわ」
口に咥えられ連れて行かれる和輝の姿を遠くから眺める。
「どこに連れて行く気だ!?助けてくれぇえ、アニス・・・スノー!!」
「ニャ〜ンズは悪くないもん。アニス、この子と遊んでいたいの」
「がんばって脱出してね。エサにされないと思うから」
「いやだぁあぁああ」
暗がりにスィーンと連れ去られていく。
「行ってあげるか・・・」
どっちのパートナーも助けてくれない様子を見て、蒼也が救助しに向かう。
ノクトビジョンを顔に装着し、暗がりにいる海のギャングを探す。
フゥウウゥウウッと唸り声を上げ、チビギャングが彼に噛みつくが、龍鱗化した肌には仔猫サイズの牙は通らない。
「珍しい生き物だな、1匹研究室に連れて帰るか。―・・・暗がりのとこが妙に明るいような?」
ギラァアアンッ。
「どっちが上か悟らせてやる」
シャーーーーーッ。
適者生存で従わせようとするが、ブチぎれている巨大なニャ〜ンズには効果がないようだ。
シャーーーーーッ。
それどころか余計に怒り狂い大声を声を上げ、子供を取り戻そうとニャァアーンアタックをする。
ドパァンッ。
「うわぁあ!?」
尻尾に襲われそうになるが間髪避ける。
「だったらマタタビだ、どうだっ。た、体当たりはやめてくれぇえ」
ほんのりよっぱらったニャ〜ンズが肉球のついた手で襲い掛かる。
「これを使うしかないか」
どれも大人しくさせるどころか攻撃的な感じになり、ついに最終武器の・・・。
「ほれほれほれ・・・」
ねこじゃらしを取り出し海底へ投げた瞬間に、我先にと拾うとフギャァアアニャンァアンとねこじゃらしに飛びつく。
―・・・まではよかった。
「え、尻尾が・・・っ」
バチィイイインッと尻尾で叩かれ砂の上へ叩き飛ばされる。
「檻からニャ〜ンズが・・・っ」
岩場にぶつかり壊れた檻から、チビギャングたちが逃げ出してしまった。
「この子もやっぱり親と一緒の方がいいのかな?」
親元に帰ってすり寄る子供たちを見て、頭に飛び乗ってきたチビを撫でながら、アニスは返したほうがいいのか考える。
「和輝、・・・元気?」
「生きていれば元気なんじゃないの」
「―・・・酷いじゃないか、2人共」
和輝は砂の上に突っ伏しながら2人のパートナーを見上げる。
「猫〜猫〜〜っ。にゃんにゃんおいでー」
レキビジョンでニャ〜ンズと戯れているように見え、羨ましくなった彼女は何かに憑かれたみたいに、去っていこうとするギャングを追う。
彼女の存在に気づきバッといっせいに振り返る。
「あぁあもう、あのつぶらな瞳がなんともいえないよ〜」
一目で可愛らしい人形っぽい容姿の虜になってしまった。
「どんだけ噛まれているんだ!?」
大量のチビに甘噛みされているレキはまるで別の生き物のように見えた。
「どふぅうっ」
チビたちが離れると巨大なニャ〜ンズが、レキにニャァアアン・・・アターック!!をする。
我が生涯に悔い無し・・・。
しかし攻撃されて気づいた。
「全然もふもふしていないんだよぉおおっ」
水の中だから毛が濡れていて当たり前だが・・・。
「よくも騙したな〜。許せないんだよーー!」
「勝手に勘違いしたのはレキの方アルよ」
戻ってこない彼女の様子を見に来たチムチム・リー(ちむちむ・りー)が、突っ込みを入れる。
しかしその言葉を無視し、ニャ〜ンズのふかふかボディーにサイドワインダーをくらわす。
「ぎにゃぁああぁあ」
「ふふーんだ。さてと作業に戻ろうかな・・・」
「レキ、怒った仲間が着たアル!」
「あんなにたくさん!?」
「群れに帰るアルッ」
チムチムは自分の方が上だと適者生存で悟らせようとし、野生の蹂躙で呼び寄せた魔獣をしかける。
ギャングたちはそれで一瞬怯んだのが・・・。
「シャーーーッ、フォオァアァッ」
毛を逆立てチムチムに・・・。
「うわぁあん、やめてぇええ」
―・・・じゃなく、レキを尻尾で叩き合って遊ぶ。
「猫の・・・・・・、猫の尻尾が・・・ぁあぅう」
飽きるまで遊び離れていった後のレキは毛まみれになっている。
「はぁ、えらい目に遭ったよ」
起き上がったレキはよろよろしながらも、チムチムに運ばれ発掘現場へ戻った。
「これ以上、水を吸っちゃうと動きづらくなるから戻るアルヨ」
交換用のタンクだけ置いていき、彼女は地上へ帰っていく。
一方でアニスは海の中の様子を楽しんでいる。
「これ何かな?」
「珊瑚だな、こっちのはヒトデだ」
「くにょくにょしてて面白いね、和輝」
「ところでアニス。その子、どうするんだ?」
「発掘が終わったら、仲間のところに返すよ。その方が落ちつくと思うからね」
アニスはチビギャングを頭に乗せたまま、サイコキネシスで岩を海底に捨てる。
「俺のグレネードランチャー用の爆弾で、爆破発掘は出来ないか?」
「じゃあ洞窟の出入り口に向かって仕掛けていこう」
蒼也が予備に運んできたタンクに取り替えた静麻に和輝が声をかける。
「あまり近い位置に設置すると、洞窟が崩れかねないからな。俺の脚のコンパスで、だいたい4歩おきくらいだな」
「えっと、この線はここか?細かい作業が多い気がするが・・・」
教えてもらった通りのところへ、順番にセットしていき信管をつなぐ手伝いをする。
「破壊工作の仕掛けや手順を覚えておくと便利だぞ。場所によって仕掛けも違うだろうし。用意するものも考えなきゃいけないけどな」
「こんなもんだろうか?」
「ちゃんと線もつながってるな。皆、いったん外へ出てくれ」
生徒たちが洞窟の中から出たのを見た後、静麻も避難しセットした爆弾を爆発させる。
「土煙が凄いな」
視界の悪くなったゴーグルを和輝が片手で拭く。
「もう少しふっ飛ばさないと、一輝たちが出口まで簡易レールを敷く場所は確保出来ないな」
「まぁ、地道にやろう」
「何だか凄い音がしたわね?」
和輝とアニスの分のタンクを運んできたスノーが言う。
「まだ爆破しなきゃいけないけどな」
「それはいいとして、そのゴミを放置するわけにはいけないわよね」
「あぁ。まとめて袋に詰めて、洞窟の後ろの方にとりあえず置いてある。ちゃんと持って帰るから安心しろ」
「うん・・・この子たちが住みづらい環境になっちゃうから。ちゃんと持って帰ろうね?」
海の生き物たちが住めなくなっちゃうのはヤダ、とアニスはゴミは地上に持って帰って片付けようと和輝を見上げる。
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