First Previous |
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
9 |
Next Last
リアクション
■■■
「うう……やっぱり、酷いことになってる」
校庭で暴れる暴徒たちをみつめ、雅羅はひとり、頭を垂れていた。
「そんな気を落とすなよ、サンダースさん」
そう言って、エヴァルト・マルトリッツ(えう゛ぁると・まるとりっつ)が雅羅の肩をたたいた。
「ここじゃ、夏休みとか関係なく事件は起きるわけだし……まあ、そんな場所で宿題をしてくるってもの、結構難しい気もするんだが」
「はぁ……マルトリッツ先輩も実は宿題してきてないとかですか?」
「ふふん! よくぞ聞いてくれた」
雅羅の質問に、エヴァルトは自信満々の笑みを浮かべる。何やらガサゴソとカバンを漁ると、何かのレポートのような物を取り出した。
「俺はしっかりやってきた。自信のサイボーグ体についてのレポートなんだが、これがまた自分でも会心の出来だと、」
そうエヴァルトが自慢げにレポートを掲げた次の瞬間、――バァン!
「え? あ……う、うぁああああっ! 俺のレポートがぁああああっ!」
エヴァルトのレポートは、無残にも弾丸に貫かれ、上半分がが吹き飛んでいた。
見れば、エヴァルトの後方で、反乱軍の数名が銃を乱射している。どうやら、その流れ弾を受けたようだった。
「ちょ、ちょっと、先輩? 大丈夫で、」
「お、俺の努力がぁ……許さん、許さんぞ反乱軍っ!」
心配そうにする雅羅には見向きもせず、エヴァルトはそう叫びながら、敵陣へと駆けて行った。
「あーあ。アレはダメね。完全に我を忘れてるわ」
そう苦笑しながら近衛シェリンフォード ヴィクトリカ(このえしぇりんふぉーど・う゛ぃくとりか)は雅羅の横に並ぶ。その半歩後ろに、彼女の相棒であるアーサー・ペンドラゴン(あーさー・ぺんどらごん)が立っていた。
「……近衛先輩」
「まったく、みんなして宿題ぐらいであんなにバカ騒ぎして。恥ずかしくないかしら」
フンと鼻を鳴らし、ヴィクトリカは暴れまわる生徒たちを見下すように見つめていた。
「大体、宿題をやってくるぐらい、学生として当然よね。反乱軍になって、先生たちに立て突こうなんて考え方が、まずおかしいわよ」
ヴィクトリカの意見に、後ろでアーサーも頷く。だがそこへ、
「……いたぞ!」
生徒たちの数人が武器を構え、ヴィクトリカ達に向かってきた。それにヴィクトリカはハァとため息をついた。
「まったく、反乱軍のバカどもは……仕方ないわね、教師軍として戦ってあげるわ」
そう告げて銃を構えた次の瞬間、
「――見つけたぞ! 反乱軍め! 宿題もしてこない情けないお前らは、ここで俺たちが成敗して、」
「誰が、反乱軍よぉおおおおおおおっ!!」
「ぎゃあああああっ!」
一瞬でブチギレたヴィクトリカの連続射撃を受け、教師軍の生徒は悲鳴を上げながらその場に転がった。
「はぁ、はぁ……まったく! 信じられないわ! どこからどうみたら、あたしが反乱軍に見えるのよっ!」
「……ヴィクトリカ。少し落ち着いてください」
「これが落ち着いてられるもんですか!」
冷静に落ち着かせようとするアーサーの声も届かない。ヴィクトリカは怒りに肩を震わせながら、銃把を握りしめた。
「もう頭にきたわ。こうなれば、どっちの軍もブッ潰してあげる! アーサー! 雅羅の警護お願いよ!」
「……はぁ。了解しました」
「えっ! わ、私も付き合うんですか?!」
聞いてないと雅羅が顔を蒼白にする。だが、当然のように怒り狂ったヴィクトリカに正論は通じなかった。
「雅羅、あたしについてきなさい。このバカげた戦いを終わらせるわよっ!」
「……は、はぃ」
First Previous |
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
9 |
Next Last