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リアクション
■■■
「……おら、ヴェイダー。さっさと写せ」
蒼空学園の放送室。
そこに蔵部 食人(くらべ・はみと)は、相棒の魔装侵攻 シャインヴェイダー(まそうしんこう・しゃいんう゛ぇいだー)といた。
「えぅー! 手が痛いよー! ダーリン、少しぐらい休んでも、」
「うっさい。ただ答えを写してるだけなんだから、さっさと済ませろ」
「ひぃーんっ! わ、わかったから、椅子蹴るのやめてよぉー。……うぅ。腱鞘炎になっちゃうよぉ−!」
えぐえぐと涙を流しながら、ヴェイダーは宿題を写している。あらかじめ、食人が職員室から奪ってきた他人の提出済みの宿題だ。
「ったく。そもそも、宿題をしてこなかったお前が悪いんだぞ?」
「うぅー。それはそうだけどー」
もっともなことを言われ、ヴェイダーは半泣きのまま、仕方なしに宿題を写していた。
その間、食人のやることは何もない。
「……暇だな」
「あ! なら、ダーリンも写すの手伝って、」
「いいから、お前は手を休めんな」
休もうとするヴェイダーの椅子をガンガンと蹴り、作業に戻す。ヴェイダーは『扱い、酷すぎるよぉー!』と文句を言っていたが、食人は無視した。
やがて、無作為に職員室から盗んできた提出済み宿題の中から、面白いものを見つけ、食人はニヤリと嫌な笑みを浮かべた。
一枚のレポート用紙をつかみ、放送室のマイクをオンにする。
『……えー。マイクテスマイクテス。学園各所で戦闘中の皆様、お疲れ様です。これより、提出済み宿題の作文を朗読したいと思います。それでは一人目の方。えーっと、高等部所属。雅羅・サンダース三世さんの作文から……』
学園のどこかから、『きゃあああーーっ! 聞くな! 聞かないでぇえええっ!』という悲鳴が上がったのは、言うまでもないことだった。
学園の二階廊下。
そこで反乱軍のヴァイス・アイトラー(う゛ぁいす・あいとらー)は暴れまわっていた。
「ふははははっ! おらおらっ! 教師軍の実力ってのはこんなものか!」
「ぐっ、う、うわああっ!」
スキルの「氷術」と「雷術」を左右の手から放ち、教師軍の生徒たちを翻弄する。
その猛攻を前にして、教師軍の生徒たちも身動きが取れなくなっていた。
「へ! たいしたことねえな、教師軍!」
「くっ! 調子に乗るな!」
生徒のひとりが、ヴァイスのスキルをかいくぐり、接近してくる。接近戦なら分があると考えたのだろう。
しかし、
「甘い!」
次の瞬間、ヴァイスは背中に持っていた巨大な剣型の光条兵器を抜き、一閃する。馬鹿デカい剣の一撃を受け、生徒は吹き飛んでいった。
「へっ! ちょろいな。このまま、オレが皆、ブチ倒して、」
「――待てぇっ!」
ヴァイスが他の教師軍を倒そうと光条兵器を構えたその時、廊下に声が響いた。
何だとヴァイスは振り返る。その視線の先には、ガーゴイルに乗り、ものすごい速さでこちらへ迫ってくるシオン・グラード(しおん・ぐらーど)の姿が見えた。
「それ以上、暴れるようなら俺が相手になるぞ」
そう告げ、ガーゴイルから飛び降りる。降りると同時に、シオンは構えていた轟炎鎚を振り下ろした。すばやくヴァイスがよけると、学園の廊下に火柱が上がり、槌の当たった廊下の床に、大きな穴が開いた。
「まだまだぁっ!」
さらにシオンは踏み込む。ブゥンと音を立て、轟炎鎚を振り回した。
そのたびに槌が床や壁、窓や扉を破壊していくが、敵に集中しているシオンは気にしていない。
「ちっ! こんな狭いところじゃ、不利だな……移動するか」
「逃がさん!」
距離を置こうとするヴァイスに、そうはさせるかと肉薄していくシオン。
結果、シオンの通った後の廊下は、まるで台風でも通ったかのように、悲惨な状況になっていた。
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