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彼女はデパートを見たことが無い。

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彼女はデパートを見たことが無い。

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「む、終わったようだな」
 店を出たところで待っていたクレア・シュミット(くれあ・しゅみっと)
「お待たせですぅ。クレアさん」
「あなたがニアか」
「ニアの事、知ってる?」
「まぁ、少しな。私はクレアだ。よろしく頼む」
「うん、よろしく」
「それじゃあ、次に行くとしようか」
「……うん」
「クレアさん」
 パティが先頭を歩くクレアの元に駆け寄る。
「どうしたパティ?」
「怪しい人とか来ましたかぁ?」
 そして、こそこそとクレアにしか聞こえない声で話す。
「……いや、今のところは大丈夫なようだ」
 本当は買い物と称してニアの警護をしていた二人。
「しかし、ずいぶんと長かったようだが……」
「実は、私も買うものに迷っていましてぇ……」
「まぁ、ニアも楽しんでいたようだし、構わないがな。本来それが目的であるからな」
「二人とも、どうしたの?」
 後ろを歩いてたニアが二人に声をかけてきた。
「いや、気にする事の話じゃない。あなたが楽しんでいればそれで良いさ」
「そうですよー」
「……そう?」
 首をかしげるニアだった。

「あ、皆さんこんにちはです」
「こんにちはー」
 ニア一行がペットショップの前を通りかかったところで買い物に来ていたリース・エンデルフィア(りーす・えんでるふぃあ)セリーナ・ペクテイリス(せりーな・ぺくていりす)
「こんにちはですぅ。お買い物ですかぁ?」
「はい。セリーナさんのネコさんのご飯を買いに来たんですよ」
「良ければ皆さん、手伝っていただけないですか?」
「ふむ、丁度良いな。せっかくだからご一緒しよう。ニアも良いか?」
「……うん」
「あら、そちらの方は?」
「ニアっていうの。よろしく」
「私はリースと申します。こちらはセリーナさんですよ。よろしくお願いしますね。ニアさん」
「よろしくしますー。あ、ニアちゃん、良ければ車椅子を押してもらっても良いですか?」
「……うん」
 ニアはセリーナの乗る車椅子の後ろに回る。
「それでは、行こうか」
 リース、セリーナを含めたニア一行はペットショップへと入っていった。

「パティちゃん、その棚の上の猫缶取ってくれますかー?」
「これですかぁ?」
 車椅子に乗って高い所が見えないセリーナの代わりにパティが商品を取ってあげる。
「ありがとうございますー」

「えっと、セリーナさんのメモだと、コレとコレと……」
 セリーナ達と一度わかれ、メモに書かれていた物を探すリース。
「セリーナ。これは、結構オススメだ」
「リースちゃん、人気商品の猫缶だよ♪」
「あ、クレアさんに詩穂さん、ありがとうございます。セリーナさんにも教えてあげませんとね♪」

「……これは?」
 車椅子を押していたニアがペットの遊び道具である猫じゃらしに興味を示した。 
「ネコさんと遊ぶ時に使う猫じゃらしですよー」
「猫、じゃらし……」
 気に入ったのか猫じゃらしにじゃれるニア。
「ふふ、ニアちゃんがネコさんみたいですー。あ、ニアちゃん、そちらの棚の猫缶取って貰っても良いですかー?」
「ん、これ?」
「はい、ありがとうざいますー」
「セリーナさん、どうですかー? こちらはメモにあったものは揃いました」
 わかれて探していたリース達が戻ってきた。
「こちらも終わりましたー。皆さん、ありがとうございますー」
「いえいえー、こっちも楽しかったですよぉ」
「うん、楽しい……」
 未だに猫じゃらしに興味津々なニア。
「すごく気に入ったみたいですね。猫じゃらし」
「じゃあ、お礼に猫じゃらしプレゼントしますね」
「……良いの?」
「はい、元々皆さんにお礼をするつもりでしたので。ニアさんがそれで良ければ、ですけど……」
「……嬉しい、でもなんか貰ってばかり」
「ふむ……、ではいつか返せるようになった時、私達にお礼をしてくれれば良いぞ」
 少し申し訳なさそうなニアにクレアが提案する。
「……うん、わかった」
 ニアは少し考えた後こくりと頷いた。
「それじゃあ、お会計済ませちゃいますね」
 リースは、商品の入ったかごを持ってレジに行き、会計を済ませる。
「はい、ニアさん。猫じゃらしです」
「……ありがとう♪」
「それと、詩穂さん達には先ほどお菓子売り場で買ったお菓子を上げますね」
「わー♪ ありがとうリースちゃん!」
「ありがとうですぅ」
「では皆さん。本日はありがとうございました」
「いえいえ♪ このぐらいならお安い御用だよ♪」
「助けが必要ならばまた呼んでくれ。その時は手伝いに行こう」
「ありがとうございますー」
「……猫じゃらし♪」
 新たなるプレゼント、猫じゃらしを貰ってご満悦のニアだった。