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彼女はデパートを見たことが無い。

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リアクション

「フハハハ! 我こそは悪の秘密結社オリュンポスの大幹部、天才学者ドクター・ハデス(どくたー・はです)! さぁ、ヒーローよ、かかってくるがいい!」
「悪の秘密結社オリュンポスめ! 君達の好きにはさせないぞ!」
「丁度良いところに来たねー」
 舞台では悪役のハデスと白ネコの着ぐるみ……全身タイツに顔だけ出したヒーローよりか怪人に近い格好のヒーロー「ホワイトキャットマン」である叶 白竜(よう・ぱいろん)が対峙しているところだった。
「しかも最前列だから良く見えるね」
 羅儀の手配で最前列へと通されたニア達。
「……楽しみ」
「ニアちゃんはこういうのは好き?」
「初めて、だから、わからない……。けど、楽しみ」
「うんうん、一緒に楽しく見ようね♪」
「うん」
「さぁ、行け! サンタクロース怪人! お前の力を見せてやるのだ!」
 アリスとニアが話しているうちにショーは進んでハデスが新たな仲間を呼んでいた。出てきたのはサンタ衣装、背中に袋と怪人というか、まんま普通のサンタクロースの格好をしたアルテミス・カリスト(あるてみす・かりすと)
「私がオリュンポスの騎士……、じゃなかった。子供達から夢とプレゼントを盗むサンタクロース怪人、アルテミスです! ホワイトキャットマン、覚悟してください!」
 武器らしい赤と白のカラフルなステッキ片手に白竜へと突撃するアルテミス。
「はっ!」
「くっ!」
 突き出されたステッキを格好に見合わず綺麗なバック転で回避する白竜。
「おーっ! すっげー!」
「かっこいいー!」
 子供達から歓声が上がる。
「格好はすごいけど……」
「まぁ、それは言わないお約束だよ」
「そうですね……」
「……うん」
 苦笑する三人に頷くニアだった。
「やりますね、サンタクロース怪人アルテミス!」
「避けてばかりでは勝てませんよ!」
「フハハハ! 良いぞ! そのままホワイトキャットマンを倒してしまえ!」
 防戦一方の白竜。
「くっ! もっと強い力があれば……!」
「その言葉を待っていた!」
 白竜の呟きと共に何処からともなく聞こえてくる声。
「誰ですか!?」
「俺がお前の力になってやろう!」
 警戒して距離を置くアルテミス。それと同時に白竜の前に聖剣形態の聖剣勇者 カリバーン(せいけんゆうしゃ・かりばーん)が降ってきて地面へと刺さる。
「これは……、伝説の聖剣カリバーン!!」
「さぁ、勇者よ! この俺を使えっ! そして、子供達の敵を打ち破るのだ!」
 白竜が聖剣形態のカリバーンを引き抜く。もちろん子供達はそのシーンに大歓声。
「力があふれる……! これなら!」
「そのぐらいで、私に勝てると思わないでください!」
 白竜へと突っ込むアルテミス。白竜は剣を振るい迎撃する。
「はっ!」
「くっ!」
 ステッキで防ぐアルテミス。だが、じりじりと押され始めるアルテミス。
「そんな! なんて力……!」
「せやぁ!」
「きゃあぁぁぁ!!」
 盛大に吹き飛ばされるアルテミス。
「おおっ! 聖剣すっげー!」
「おかーさん、あのかっこいい剣ほしー!」
 逆転のシーンに子供達には大うけ。
「……かっこいい」
「そのままやっつけちゃえー!」
 そしてニアとアリスにも大好評。
「おおっ! ニアちゃんとアリスちゃんが夢中になってる!」
「ふふっ、微笑ましいですね」
「そうだね♪」
 その姿をニコニコと見守る美羽とベアトリーチェだった。
「むむっ! やるなホワイトキャットマン! ならばこちらも奥の手を使わざるを得ない! さぁ、来い! 悪の女幹部サクヤよ!」
 ハデスの叫びと共に登場したのは露出の多いビキニアーマーをつけた高天原 咲耶(たかまがはら・さくや)。恥ずかしいのか、顔は真っ赤だ。
「うぅ……、恥ずかしい。なんで私がこんな格好で……」
「さぁ、悪の女幹部サクヤよ! そこの少女を人質にするのだ!」
 そして、ハデスが指差した先にいたのはニア。
「……ニアのこと?」
「わ、分かりました」
 咲耶はニアの元へと向かう。そこで美羽達がいることに気付く。
「あ、美羽さん。皆さんもご一緒に見に来ていたんですね」
「やっほー♪ すごい格好だねー」
「あ、あんまり見ないでください……」
「あはは、ごめんね」
「何をしている悪の女幹部サクヤよ!」
「あ、それじゃあ、この子。少し借りますね」
「どうぞー♪」
「あなたも平気ですか?」
「……うん、平気」
「それじゃあ、いきましょう」
 咲耶はニアを連れて舞台へと戻る。

「アリスちゃん何処行ったんだろうね……」
「あと、探してないのは屋上だけだと思うけど……」
 ニア達がヒーローショーを楽しんでいるその頃、アリスを探しに来ていた及川 翠(おいかわ・みどり)ミリア・アンドレッティ(みりあ・あんどれってぃ)
「うーん、ここにいないとなるとまた、探しにいかなくちゃだね」
「そうならないためにもここにいて欲しいところよ……」
『さぁ、悪の女幹部サクヤよ! そこの少女を人質にするのだ!』
 そこに聞こえてきたのはヒーローショーをやっているハデスの声。
「女の子を人質……? そんな事ダメーッ!」
 その声を聞いた途端走りだす翠。
「翠……? って、待って!」
 呆気にとられていたミリアも慌てて翠の後を追いかけた。