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Cf205―アリストレイン―

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Cf205―アリストレイン―

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10.連なる第三のトレインジャック
――、一般車両3号車


 さて、3号車では大変な事態になっていた。
 本当のトレインジャックが宣言されたのだ。
 武器で脅し、人質を取り、金品を要求する極悪非道なトレインジャックが行われたのだ。
「この列車は、我々オリュンポスがのっとったぁ! おとなしくするんだな!
 ドクター・ハデス(どくたー・はです)によって――

和輝:またお前か
加夜:またですか?
アサト:またなのか?
真司:まただな
ヴェルリア:またですね
フレリア:まただわ
舞花:またなの?
ダリル:またか
ルカルカ:またまた?
鉄心:またですか
鴉:まただぜ
渚:またなのだよ
煉:またとは
アール:……またか
蛇々:またぁ!?
彩羽:またのようね
燕馬:まただよな
サツキ:また?
紅鵡:まただね
ローグ:まただ
ユーノ:またです?
フルーネ:まただもん
司:またかー
メルクーリオ:またですわ
フィサリス:またですよね?
カシス:またでしたか
月琥:またです
すばる:ま……た……?
咲耶:……またですすみません
アニス:まただぁー!
アリサ:えーっと――

アリサ:……誰ですか?

一同:おいおいっ!!


「何やら冒涜的な会話がなされていたような気がするぞ……!」
「兄様! 一体何をやってるんですか!」
 いつものように奇行に走る兄に、高天原 咲耶(たかまがはら・さくや)物申す。
 当然のようにハデスは答える。
「トレインジャックに決まっているだろう!」
「さあ、乗客たち! 泣け、喚け! 命乞いをするんだなぁ!」

……

「なんだ? 反応が薄いな?」
「兄様、もうすでに私たちの行動が《精神感応》で伝わってますよ!」
「なに! そんなバカな!?」
 驚愕するハデス。その脇に美羽は近づいて。
「てぃ!」
 【機晶スタンガン】で電気ショック。
 ハデスはしびれて動けない。
「ややこしくなるから出て来ないでよ! 天才科学者(自称)!」 
「どうせまた突発的行動なんでしょうね……」
 とベアトリーチェが嘆く。同じ学校の生徒として恥ずかしかった。
「こんな事もあろうかと、絶縁使用の科学服を着ていてよかった……!」
 ガクガクと震える足を見てエヴァルトが言う。
「モロに電気ショックが効いているようだぞ?」
 だが、諦めない。
「ふふふ、だがおとなしくしてもらいたいものだ。なぜなら――」
 しびれながらもハデスは非常な宣言をする。
「この列車には超絶危険な! 爆弾を仕掛けている!」

 ……

 さてここで、全員で情報統合。
「世界開放機構が探しているのはキケンブツ」
「直ちに危険ではないが混乱を招きかねないもの」
「で、オリュンポスが超絶”キケン”な”爆弾”を仕掛けていると……」
「……」

お前の仕業か!!

 ハデスはまた、総ツッコミを食らった。

 そして爆弾を仕掛けた張本人こと、オリュンポスの協力者ミネルヴァ・プロセルピナ(みねるう゛ぁ・ぷろせるぴな)は一般客に混じって、この車内で優雅に紅茶をすすっていた。
(ふふふ。ハデスさんのお手並み拝見させていただきましょうか)
 ハデスがどのようにこの場を収めるのか眺めていた。ちょうどアリサの席の後ろに座っていた。
「爆弾て、これのこと?」
 蛇々が3号車と食堂車の連結部分にインビシブルトラップで仕掛けられているハデスの 発明品(はですの・はつめいひん)たるポンコツ機械を見つけたことを報告する。
 鉄製ポンコツの中には【機晶爆弾】がぎっしり詰まっていた。
「こんなところにしかけていたら、仕掛けた本人たちも吹き飛ぶな……」
 アールは冷静に分析して、今これが爆破したらオリュンポスも壊滅するだろうと見た。
「……す、すこし前の方に失礼しよう、かしら!」
 ミネルヴァはそくささと退避した。
「ともかく! おとなしくするんだぁ……」
 やけくそ混じりに、再びハデスが宣言すると――
 前方から破裂音がした。