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聴こえよ我が声 応え結びを

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開かれる真実への扉

―――私の住む集落には椿さま……椿の地祇が宿る、御神木があったの。

 丘の上に椿の樹があり、椿の樹の下には石造りの水受けがあった。
 水受けには山からの湧水が竹を通じて水受けに流れている。

―――椿の花に地祇の霊力があってね、花が落ちて水受けに浸ることで霊力がその水に溶け込むとされていたわ。

 一輪の花が根元から取れ、下の水受けに落ちる。
 水受けの下には集落へと流す水路が存在している。

 水路に流れる水を汲む集落の少女。
 汲んだ水を持って家の前にある水瓶に入れる。

―――その霊力が溶け込んだ水を使って私たちは生活をしていた。

 畑に水を撒く女性。同じ畑には土を耕している男性があくせくと働いている。
 他の畑でも同じように生き生きと働き、子供たちは親の手伝いをしたり、友達と一緒に遊んだりと活気溢れる集落。

―――椿さまの加護を狙った蛮族が現れるのは時間の問題だった。

 集落を荒らしまわる蛮族。
 逃げ惑う集落の人々。

―――私たちはそんな蛮族どもから椿さまをお守りする守護者だったの。

 椿の花を食すライラとフェリクス。ほのかに体が光っている。
 暴れている蛮族の所へ駆けていく二人。

―――椿の花を食べられるのは私とフェリクスだけ。

 ライラは鳥を呼び、蛮族を襲わせる。

―――椿さまの力を借りて長い間戦っていたわ。

 逃げていく蛮族。
 ライラとフェリクスを囲む集落の人々。

―――蛮族はいくら追い払っても何度もやって来たわ。でも、ある時いつも真正面から来るしか能が無い蛮族とは違った蛮族が現れたの。

 椿の樹の下に佇む蛮族。
 丘の上にやってきたライラは背に背負っていた弓を構える。

―――そいつは私が密かに願っていた願いを叶えてくれる取引を持ちかけて来たわ。

 手を差し出してくる蛮族。

―――私はフェリクスをこの集落から解放させたかった。この地から出ることを許されない私たち。

 大きな樹の高い幹に座っているライラとフェリクス。
 山の向こうを見ている。

―――私は鳥たちにお願いして、遠くにある花や木の実を持ってこさせることしかできなかった……。

 鳥のくちばしに花を銜えて飛んでくる。
 ライラはそれを受け取りフェリクスに手渡す。
 フェリクスは嬉しそうにそれを受け取った。

―――本当はフェリクスと一緒にいろんな場所へ行きたかった。でも、椿さまをお守りする役目からは逃れることは出来ない。

 二人を囲んでいる集落の人々。
 ライラもフェリクスも笑顔で受け答えをしている。

―――私たちが逃げ出したら、ここに住む人たちも生きていけないのだから。

 悲しげに山の向こうを見るライラ。
 フェリクスがライラの方へ向くと、すぐさまその表情を隠した。

―――その蛮族は私たちの行きたい場所には行かせてくれる。この集落に危機があった時には邪魔をせず、力を貸してくれると言ってくれたの。

 ライラに熱弁を振るう蛮族。

―――……例えそれが椿さまを手に入れる為の嘘だとしても、私はフェリクスと一緒に外へ行きたかった。

 ライラは手を掴む覚悟を決め、その手を掴んだ……。