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リアクション
「お、とうとう四人揃ったようだな」
空京市内でも有数の高さを誇る巨大建造物――シャンバラ宮殿。
その頂上にて、今までフェンリルたちの様子を常に観察していた男がいた。
「でも、まあ、俺には関係ないけど」
どこからか持ってきたお茶をずずーっと飲みながら、地上をのんびり見ていた男の名は夜月 鴉(やづき・からす)――
「お、今度はまた二手に分かれやがった。ずずーっ。ほほう、あの魔剣スレイブオブフォーリンラブを破壊する方法が何か見つかったのか? ずずーっ」
鴉の言うとおり、地上では一度は合流した魔剣所有者たちが、再びフェンリルとロレンツォ、そして恭也とオーバーホールに分かれていた。
「お? メンテナンス・オーバーホールがシャンバラ宮殿の中に入ったぞ……こりゃあ、面白なって来たな。ずずーっ。他はまだ行動を理解出来るが、あの中二くさいオーバーホールは何をやらかしてくるか分からないからな……。ずずーっ」
鴉が面倒臭そうに眺めている地上ではしかし、緊迫した空気が流れていた。
「……オーバーホールの作戦は理解した。ようは、俺たちはあいつらがシャンバラ宮殿の屋上へと上がるまで、自分の持ち場を守ればいい……そういうことだな」
「ああ、口で言うのは簡単そうなんですけど、な」
「少し、骨が折れそうですね……」
シャンバラ宮殿入り口前、地上に残る事になったフェンリルと恭也、そしてロレンツォ達は、目の前の光景に気圧されていた。
そこには、今まで彼らを追跡してきた人間たちが続々と集結していたのであった。
「ランディ! 今度こそボクだけのものにするんだからね」
「フェンリル様、まだ告白のお返事を貰っていないのですが……」
フェンリルのパートナーであるウェルダム・デュラックチに遺跡探索に同行した泉美緒。
「この世界を狙えるカウンターフックで恋のライバルを蹴散らすわよ!」
やる気満々の宇都宮祥子。
「ドキドキがまだ止まらないのーっ!」
「どいてダリル、そいつ殺せない!」
「ルカの力が一番恐ろしい……」
元気いっぱいのルカルカ・ルーに、不敵な笑みを浮かべるニケ・グラウコーピス、ルカを恐れるダリル・ガイザック。
「ラン公! お前だけはぜってえ許さねえぞ」
「お仕置きがまだ足りないようですね……」
空京市内の生き物を操る、ある意味一番恐ろしいクリストファー・モーガンとクリスティー・モーガン。
「おっぱい揉ませろ! 揉ませない奴は、ゴートゥーヘル!ヘル!ヘル!ヘル!ヘル!ヘル!ヘル!ヘル!ヘル!ヘル!ヘル!ヘ〜ル!」
そこにおっぱいがあるから、ゲブー・オブイン。
「なんか、にぎやかで天然の音楽みたいやね〜」
「くそっー、これだけの女性に求愛されているのにレイチェルまで! 許せんぞっ!!」
ピアノ投げブラザーズ、大久保泰輔とフランツ・シューベルト。
「モテたいモテたいモテたいモテた、とにかくモテたいいイイイイッ!!!」
もっとも切実な思いを持つ男? 鬼龍 貴仁(きりゅう・たかひと)。
「はははっ! ヒーローは遅れてやってくるって言うだろ?」
男前だけど汗臭い、ルーク・カーマイン(るーく・かーまいん)。
「……くっ、改めて見るとやはり多いし濃い面子だな」
「仕方ねえ、全力を尽くすしかねえか」
「……ですが、やはりこちらが多勢無勢といったところでしょうか」
フェンリルたちがしり込みしていたその時――
「あ、ようやく見つけたよ! ロレンツォ!」
「アリアンナじゃないか! 一体今までどこで……いや、ここに駆けつけてくれただけでありがとう」
ロレンツォのパートナーであるアリアンナ・コッソットが直前になって現れたのであった。
「あ、ロレンツォ。ここに来る途中であなたに会いたいって人にも出会ったのよ」
「……ロレンツォ様、途中で主を見失うとは本当に申し訳ない。死んで詫びるしかない……!」
申し訳なさそうに頭を垂れながら現れた女剣士の龍滅鬼廉が、急にに切腹をする構えに入ったので、
慌ててロレンツォが止めに入る。
「廉さん、今私たちにあなたの力が必要なんです! どうか、その刀を下げてください」
ロレンツォがそう言うと、廉は俯きながらも刀をしまう。
「……不肖ながら、ロレンツォ様のご命令とあればこの命、どうとでも使ってください」
フェンリルたちはこうして、新たに2人の味方を引き入れた。
「これでどうにか時間稼ぎにはなりそう、かな……?」
「こっちはオーバーホールを信じるしかない。それまでは何としてでも耐え抜こう!」
フェンリルの言葉を合図に、みなは臨戦態勢に入り始めた。
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