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魔剣スレイブオブフォーリンラブ

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魔剣スレイブオブフォーリンラブ

リアクション

「クッ! さすがにキツいぞ」

 地上に残ったフェンリルたちは、追跡者たちの猛攻を何とか耐えていた。

「くらえっ! ピアノ投げ!」

 フランツは小さい体ながら、全身のバネを巧みに使った理想的なフォームから、グランドピアノが見事な放物線を描いて放たれる。
 フェンリルたちは咄嗟に避けるが、その間隙を縫って――

「フェンリルは私だけのものよ!」

 祥子の恵まれた体躯を存分に生かした、世界を狙えるブーメランフックがロレンツォを襲う。

「危ない……!」

 アリアンナがその身を顧みずにロレンツォに抱きつき、ブーメランフックをなんとかスカさせる。

「おっぱいはどこだぁ? ゴートゥーヘル!」

 ヒャッハー! とばかりにゲブーがバイクに乗って龍滅鬼に迫る。

「くだらぬっ」

 が、しかし、龍滅鬼の疾風突きによってあっさりとバイクのタイヤを切断され、落車してしまう。

「ヘイ! フェンリルさん。本当のモテ男ならこの俺と拳と拳のタイマンで勝負しようぜ!」

 そう言って何故か上半身を脱ぎ始めるカーマイン。

「な、なんだこいつは?」
「ふふ、あまりの俺の肉体美に戦意を喪失したか!」

 フェンリルはそれを無視して魔剣を振りぬく。

「うぎゃああ!!! 拳と拳って言っただろうが……!」
「……戦場にはルールなどない、よく覚えておけ」

 フェンリルはそう言って、カーマインを葬りさる。しかし、思わぬところで弊害が現れていた。

「ロレンツォ……なんだか私、気分が悪くなってきたわ……」
「だ、大丈夫ですか? アリアンナ」

 なんと、カーマインの汗臭い肉体美が醸し出す魔力にあてられ、ただでさえ疲労が溜まっていたアリアンナがダウンしてしまったのだ。

 さらにその追い打ちをかけるように――

「な……! 刀が動かない」
「君の武器はちょっと面倒なんで、このピアノ線で動き封じさせてもらったんよ」

 ピアノ投げブラザーが一人、泰輔のピアノ線が廉の刀の柄をがっちりと固定していた。

 戦力を立て続けに失ったフェンリルたちは、砂の城が崩れるかのように追いつめられていく。

「俺があの魔剣を奪えば、とうとうモテキがやってくる!」

 正直モテた事がない貴仁が、ゴッドスピードを使ってフェンリルたちを早さで翻弄する。

「くっ! まるで動きが見切れないぞ」
「ははは、こっちからは止まって見えるぜ」

 貴仁はフェンリルたちの周りをグルグルしながらヒプノシスをかけて、徐々に眠らせていく。

「これはまずいです。……疲労もピークに達している今、催眠術なんてかけられたら……」

 ロレンツォがそう言って、腕を噛み締めて何とか痛みで眠気に対抗しようとするが、抗いきれずに膝をついてしまう。

「……眠っちゃ、駄目だ……Zzzzzzzz……」
「これは、厳しすぎる……Zzzzzzzz……」

 ロレンツォ、恭也、そして最後にフェンリルまでもが……

「まさか、最後は睡眠欲にや……ら……Zzzzzzz……」

 なんと、魔剣所有者三名が眠りに落ちてしまったのだ。

「あはははは!!! やったあ! とうとう、俺にもモテキがやってくるぞおおお!!!」

 魔剣を三本握りしめ、モテキングとなった貴仁は、高笑いをした。

「これで、あの子にもモテる!!!!!!!」

 正直モテた事がない貴仁が人生の幸せを噛み締め、三本の魔剣を天へと高らかに掲げた瞬間だった――

 ガッシャアアアアアアアアアアンンンン!!!

 シャンバラ宮殿から飛び降りてきたオーバーホールが、ちょうどその地点に落下し、とうとう魔剣スレイブオブフォーリンラブが四本とも粉々に砕け散ったのだ。

 そして、この日の魔剣に関する出来事は何故か、人々の心から消え去っていた――

 しかし、心の奥深くには、苦しい、あるいは楽しい思い出としてぼんやりと刻み込まれている人もいるようだった……。

担当マスターより

▼担当マスター

袋小路愚太郎

▼マスターコメント

 ゲームマスターの袋小路愚太郎です。
 魔剣スレイブフォーリンラブに参加していただいた方、さらに本文をお読みいただいて方、本当にありがとうございます。
 今回のシナリオの関しましては、私の構成力の関係で、一部ボツになってしまったリアクションや多少拡大解釈をしたリアクション等がございます。出来る範囲の中で工夫したつもりではありますが、もっとここはこうしてくれた方が良かったなどのアドバイスがありましたら掲示板等でご意見をお寄せください。いずれにしても、お読みいただき、大変ありがとうございます。