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リアクション
「フェンリルさん、もう少し休憩しないとお体に触りますよ?」
彼に付き添うように九条 ジェライザ・ローズが声をかける。
「けっ、さっきロゼの回復スキルで散々治療して貰ったじゃねえか」
ローズのパートナーであるシン・クーリッジ(しん・くーりっじ)は面白くなさそうに言った。
「こら、シン! 怪我をしているフェンリルさんに何て口のきき方をしているのだね? あ、すいませんね、フェンリルさん。シンも根は良いやつなんですよ」
ローズは不貞腐れるシンの頭を無理やり下げさせる。
「……いや、こちらも路上で倒れそうになっていた所をローズさんとシンくんに助けられ、とても恩に着ています。それにしても、遺跡探索で会った時以来なのに偶然ですね」
「ええ、私もフェンリルさんに会えて驚きました。もしかして、運命だったりして……」
「運命もクソもずっとストーキングしてたからじゃねえか(ボソッ)」
シンが小声でそう呟くと、ローズが彼の手の甲をギュっとつねりました。
「イッテええ!」
「うん? シンくん、どうかしましたか」
「あはは、この子、たまに人の注意を惹きたくてわざとこういう事するんですよ。お気になさらずに」
「は、はあ……?」
フェンリルは不思議そうにシンを眺めましたが、シンはプイっと顔をそらしてスタスタと前を歩いていってしまいます。
「ところで、ここを真っ直ぐ行くとどこに着くのでしたっけ?」
ローズはフェンリルにそう尋ねます。
「ミスドと呼ばれているドーナツ屋の前に着きますよ。実はそこで待ち合わせをしていて、先ほど一回到着していたのですが、
何やら物騒な気配がしたので一旦時間を置いてからまた来ようとしていた時に襲撃されまして、
その後にローズさんたちに助けられたという次第です」
「なるほど、ではこの先も危険が待ち受けている可能性があるという事ですね」
「いや、ターゲットの俺が一旦あの場所から離れたので、逆に意識から消えていると思うんですよね」
フェンリルはそう言いながら、携帯電話で魔剣所有者たちと現在地の確認をする。
「……フェンリルさん、少しお聞きしたいことがあるのですが……」
フェンリルが電話をする様子を見ながら、ローズが急に低いトーンになる。
「え? ああ、なんでしょうか」
「その待ち合わせ相手というのはどういう人なのですか……?」
「そうですね……あまり詳しく説明する事は出来ないのですが……言うなれば、秘密を共有して協力関係にある人たちですね」
「……秘密を共有……そして協力関係にある……待ち合わせ相手……」
だんだんと低さを増していくローズの声に、フェンリルは待ち合わせに集中をしていて気付かなかった。
「ふふふ……」
不敵な笑みを浮かべながら、ローズはフェンリルの後をついて行った。
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