リアクション
「あれだけの攻撃をもって倒れないとは、どうなっているの……!?」
あまりの出来事に、最早動揺を隠し切れないアゾート。そんなアゾートの元に続々と契約者たちが救援に駆けつける。そして、バーンも到着したのだ。
『さすがはドラン。暴走してもなお比類なき強さは顕在か』
「バーン……! ドランに、ドランに弱点はないの!?」
縋るようにバーンに問いかけるアゾート。
『……皆で攻撃を結集させるのだ。そして叩き込め、ドランにな』
バーンの言葉を信じられないアゾート。あれだけの攻撃を受けてなお立ち上がってきたドランを見ているのだから、無理もない。しかしもう他に手はない。
「みんな! ありったけを、ありったけの力をドランに!」
アゾートの言葉に呼応するかのように今一度力を振り絞る契約者たち。ここにいる全員が、力を溜め終えたと同時にアゾートが叫ぶ。
「……今!」
叫んだと同時に、ドランへ規格外の攻撃の塊が結集する。その攻撃には全ての契約者、更に駆けつけたバーンの攻撃も加わっていた。
対してドランも持てる力全てをその攻撃へぶつける。ありえない力のぶつかり合いに辺り一帯が激しい光で包まれ、誰もが眼を瞑った。
激しい力と力のぶつかり合いから数秒後、契約者たちの目が正常になり、ドランの方へと眼を向ける。
ドランはまだ立っていた。あまりの強さ、圧倒的強さ、けれど誰もその強さから引こうとはしない。町を守るため。ドランを救うため。
ドランが動く。契約者たちが身構える。しかし、次の瞬間に肩透かしを喰らう。
『……見事だ。人の子たちよ。その強さ、しかと見届けた』
どこらともなく声が聞こえる。耳を通して、脳内に響く。透き通るよう、それでいて力強い声。
『我が名はドリー・ドラン。我が暴走を止めてくれたこと、感謝するぞ』
声の正体はドリー・ドラン。ドランは正気を取り戻したのだ。だがしかしドランは倒されていはいない。一体どういうことなのか。
『奴は強き者と認めたものには攻撃を止め、生涯の友としようとする。言わばそれが奴の弱点』
バーンが言う、ドランの唯一の弱点。契約者たちとアゾート、更にバーンの同時攻撃がそれに届いたのだ。
正気を取り戻した四体の守護獣はすぐに結集し、その力で進行する土の森を浄化する。途端に森は崩れ去り、土くれモンスターたちも土へと還っていく。
そして四体の守護獣はもう一度この地を守るべく、長い眠りに戻ることとなった。
『我らは今一度眠りに付こう。我とて百虎、二度とこのような間違いは犯さぬ。それではな』
『わしは饅頭が好きでのう、月一回それを奉ってくれれば頑張れる気がする。いや、独り言じゃよ?』
『お前たちと共に戦えたこと、誇りにしまた誓いとしてまたこの地を守ろう。さらばだ』
『約束は果たさせてもらう。二度と、暴走しないと。お前たちとの友情にかけてもな。……戦友よ、またいずれ出会うことがあれば、その時は場所を変えてまた戦おうぞ!』
こうして四体の守護獣は二度と暴走しないと約束し、この地を守るためにまた長い眠りについた。
「いやあ、どうなることかと思ったが一応丸く収まったか?」
「……町の復興は、これから。傷跡は浅くはない」
彼らの暴走における町の被害はそう安いものではない。これから月日をかけて町を復興していくのだ。
「それでもだ。みんな無事だった。今はそれでいいんじゃないか?」
「……そうだね。アッシュ、それにみんな。お疲れ様」
「お疲れだ! みんなぁ!」
アゾートとアッシュの言葉に笑顔で答える契約者たち。くたくたになりながらも、傷つきながらも彼らはこの町を見事、守りきったのだった。
守護獣と、共に。
どうも流月です。お久しぶりな方も始めましての方もアゾートとアッシュ、
避難住民に守護獣を守ってくださり感謝感激雨あられにございます。
守護獣なんて大層な相手に対して少数ながらも精鋭たるみなさまのおかげでなんとか
バットエンドの結末を回避できました。偏に、アクションを詳細に書いてくれたみなさんの
おかげです。傷跡はあるけれど、いつか復興してくれることでしょう。
もしかしたら復興を祝うお祭り何かがあるかもしれません。その時は是非。
それでは、また出会うことがあればその時は素敵なアクションをお待ちしております。