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夏合宿 どろろん

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夏合宿 どろろん

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    ★    ★    ★
 
「よりによって、なんでアンタなんかと組むはめに……」
 アルビダ・シルフィング(あるびだ・しるふぃんぐ)さんが、隣を歩く加能 シズル(かのう・しずる)さんを、ぶっちゃけありえないという顔で軽く睨みつけました。
 フリューネ・ロスヴァイセ(ふりゅーね・ろすう゛ぁいせ)さんと敵対しているアルビダ・シルフィングさんとしては、フリューネ・ロスヴァイセさんを敬愛している加能シズルさんは本来敵対関係と言うことになります。
「それは、こちらの台詞だわ。とはいっても、ここで騒ぎを起こすわけにもいかないのが歯がゆいところね」
「あら、別にばれなければ、いいんじゃない?」
「そうね、なかったことなら、問題ないかもしれないわ」
 二人の間の空気が怖いです。さすがのお化け役の人たちも、これでは手が出せません。
 緊張感はじょじょに高まり、だんだんと二人の歩くスピードも速くなっていきました。いつの間にか、戦闘スピードで森の中を向き合って走り抜けていきます。
『ひいぃぃぃぃ……』
 道端から突然悲鳴が聞こえてきます。
 ガチャン!
「ひいぃぃぃぃ……」
 加能シズルさんにデジタルビデオカメラを踏み壊されて、ヒメリ・パシュートさんが悲鳴をあげました。
 ピカッ。ピカッ……。
 ガシャン!
「おおおおお、せっかく苦労して修理したゲーム機があ!」
 アルビダ・シルフィングにゲーム機を踏み潰されて、久我浩一くんが悲鳴をあげました。
 ザザッ……。
 一気に森を駆け抜け、アルビダ・シルフィングさんと加能シズルさんが、砂浜の砂を蹴たてて、そのまま飛沫を上げて波打ち際を走って行きます。
「見つかりましたかあ」
 海では、コハク・ソーロッドくんが水面近くを飛びながら清泉北都くんとモーベット・ヴァイナスくんに確認を取っていました。
「男子二名は回収したよぉ」
「女子三名も回収したので、数はこれであっているようだ」
 清泉北都くんとモーベット・ヴァイナスくんが答えます。リブロ・グランチェスターさんの報告で、雅羅・サンダース三世さんたちを回収に来たようです。
 そのそばを、バシャバシャとアルビダ・シルフィングさんと加能シズルさんが走り抜けています。
「今のは、なんだあ〜?」
 ちょっと驚いて二人を目線で追った清泉北都くんでしたが、その姿はもう洞窟に入っていった後でした。
 洞窟に飛び込んだアルビダ・シルフィングさんと加能シズルさんは、一気に祠近くまで駆け抜けていきました。ここが決戦の地なのでしょうか。
「ぐあああああ、化け猫だあ。にゃんこの目だあ!!」
 突然、またたび明日風(木曾義仲)くんが二人の間を問答無用で走り抜けていきました。深夜・イロウメンドさんに驚かされて、洞窟の中をずっと逃げ回っていたのでした。
「な、なんだ今の奴は!?」
 さすがに、アルビダ・シルフィングさんと加能シズルさんも呆気にとられます。気がつくと、目の前に祠がありました。
「ついでだ、ホタテ貝をおいていくとしよう」
「そうね。続きは戻りながらにしましょ」
 祠に貝を収めると、アルビダ・シルフィングさんと加能シズルさんはまた睨み合いながら来た道を戻っていきました。