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反撃のマリア

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反撃のマリア

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第1章 〜陽動〜

「陽動作戦はどうですの?」
「陽動作戦?」
 ローズフラン・ノートルダムが、町中を歩き回る兵士にどうしたものかと悩んでるとき、
御神楽 陽太(みかぐら・ようた)のパートナーであるエリシア・ボック(えりしあ・ぼっく)がぽつりと一言言った。
「陽動作戦なんてどうですの?」
 「それなら私も手伝うわよ!」と、藤林 エリス(ふじばやし・えりす)も陽動作戦に賛同する。

「……その作戦悪くはありませんわね」
「でも、それだと陽動する側が危険です!!」
 頷きながら賛同するローズフランの横で、マリアは反対する。
「あたし達はそう簡単にやられるような柄じゃないわよっ!!」
「ふふっ、そう簡単に私達はやられないのですわ」
 エリスは真剣な表情でマリアを見て、エリシアは笑みを浮かべながら言った。
 マリアはそんな自信満々で語る2人を見て、ついに何も言い返せなくなる。
「決まりですわね」
 斯くしてローズフランを始めとしエリシアとエリスは、陽動作戦へと走り出した。

「居たっ!」
 控えめにエリスは声をあげた。
 その知らせにエリシアとローズフランも前を見る。
 そこには、私服に剣を下げる兵士が5人ほど立っていた。
「さーてっ、やるわよ!!」
 意気込み手を組みながら言うエリスに、エリシアは「待つのですわ」と止める。
「ここで堂々と前に出てしまえば怪しまれますわ、せめて潜入してるように装ってみませんですの?」
「なっ、なるほど」
 目を丸くしてエリスは静かに頷く。
「とりあえず、隠れながら兵士の横を通りますわよ?」
 ローズフラン達はこっそりと、兵士達の横路地を進もうとする。
 が、5人も監視しているせいか、その姿はすぐに見つけられてしまった。

「敵だ!!」
「本部、敵を見つけた。救援を要請する場所は――」
 兵士の1人は籠手型HCで救援を要請する。
 あえてエリシア達はその無線を静かに見守る。
「動くな! 下手に動けば撃つぞ!」
 5人のうち1人がローズフラン達へと拳銃を構えて近づいてくる。が、拳銃はすぐさま空に弧を描きながら飛んでいった。
「させませんわっ!!」
 エリシアは装着された強化骨格型スポーンを、触手を操り兵士の拳銃を弾いたのだった。
 それと同時にエリシアの体は、兵士達の前に素早く走り込む。
「ぐううっ!!!!」
 無頼などにより強化された、シルバーアヴェンジャーが兵士の1人を切り裂く。
 切り裂かれた兵士はあまりの痛さにそのまま崩れ落ちた。

「これでもくらいなっ!」
 追い打ちとばかりにエリスの、天のいかづちが空高く大きな雷となって、兵士達へ向けて降り注ぐ。
 だが、兵士達の回避能力も高かった。
 すぐに異変に察知した男達はそれを辛うじてではあるが、ローリングで避けてしまう。
「避けられた……でもっ!」
 あれだけ強い光が空まで上がったのだ、当然周辺の兵士達にも気づかれただろう。
 まさに陽動作戦としては十分な効果があることは明白だった。
 それだけではない、いかづちはもう一つの役割も果たしている。

「敵を発見!!」
 何重にも重なる足音がこちらへと近づいてくると、たちまちローズフラン達を兵士はぐるりと囲んだ。
「予定どおり……ですわね」
 ローズフランは拳銃を構えたままぐるりと兵士達をみた。
 ざっと20、30人は居る。今から3人はこの人数から逃げ切れなければならなかった。
 ローズフランはエリシアをみると、軽く頷いた。
 エリシアは煙幕ファンデーションを取り出すと、地面へと投げつけた。
 途端、取り囲む兵士達へと白い煙幕が襲いかかった。
「げほっ!! ごほっ、に、逃げたぞ!!」
「こちらですわ!」

「っち、撃て! 西南40度!」
 突如、逃げるローズフラン達へと何発もの銃弾が襲いかかる。
 エリスとローズフランは歴戦の立ち回りなどで辛うじて避ける。
「っ――」
「あんた、肩に!?」
「こ、んなの大丈夫ですわ!」
 エリシアの肩に銃弾が貫通し、血かにじみ出る。
 しかし、肉体の完成のおかげでなんとかエリシアは持ちこたえることが出来た。
 その後3人は揺動しつつ、逃げ回ることに成功したのだった。