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調薬探求会と魔法中毒者の取引後

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調薬探求会と魔法中毒者の取引後

リアクション

 家宅捜査などを終えて調薬友愛会があたふたとする中、先を行く者達はゆるりと余裕を見せていた。

 パラミタのどこか。とある施設の中の実験室。

「これが君達に依頼された品だよ。随分待たせてしまったね」
 シンリは帰還後かなりの時間を掛けて丁寧に仕上げをした無臭無色透明の液体が入った小瓶をグラキエス達に差し出した。
「……これが魔力を消す魔法薬」
 グラキエスは受け取るなりまじまじと瓶の中身を好奇心に輝く目で見つめた。
「こうして作製して頂き感謝します」
「それ相応の代価を……」
 ロアは丁寧に感謝を述べ、ウルディカは支払いを切り出すも
「それは特別なレシピを作る際の護衛で構わないよ。何より貴重なレシピを調薬出来た事が何よりの代価さ。そんな事よりもその薬、これまでに説明した通りだから説明は省くけど、飲むか飲まないかは君達に任せるよ。飲んで何かあった時は対処はするから」
 シンリは上手くウルディカの申し出に対応した。
「あぁ」
 グラキエスはこくりとうなずき、仕舞った。何せ他にも特別なレシピ実作の護衛という任務があるため。
「では、護衛をさせて頂きます」
 ロアは約束を口にする。
「そう言えば、ここに来た時、特別なレシピを改良したとか話を聞いたが」
 グラキエスがここに来た時に調薬探求会が騒いでいた事を訊ねた。
「あぁ、黒亜の事さ。僕らが戻って来るまでに改良を終えて実験場所を探しに行ったんだよ。こっそり行くのは毎度の事だから人に捜させに行かせているからすぐに分かるよ」
 シンリはあっさりと答えた。黒亜は皆の予想を裏切らずに動いたようだ。
「どのように改良したか分かるか?」
 好奇心を抱くグラキエスは改良について訊ねた。
「彼女は書き記さない事が多いんだよ。今回もそうみたいで残念ながらね」
 シンリは肩をすくめた。
「そうか」
 グラキエスは残念そうな顔をした。
「さてと始めようか」
 シンリの言葉を合図に特別なレシピの作製が行われた。
 グラキエス達の護衛によって特別なレシピとそれに対応する魔法薬の作製は上手く行き無事に完成させる事が出来たという。グラキエス達はその目で特別なレシピの齟齬と完成を間近で見る事が出来た。グラキエスとロアは特別なレシピだけでなく対応する魔法薬も見られて知的好奇心を満足させた。

 今回の目的は特別なレシピを完成させる事では無く、特別なレシピに対応するための魔法薬を作製する事だった。その効果を確認するためだけに特別なレシピは作製されるのだ。調薬探求会が本当に特別なレシピで魔法薬を作製するのは魔法中毒者が作り起こす騒ぎにて効果を検証しデータを集めた後に改良を加えて作るのだ。

 物事を起こすには準備が必要とはまさにこの事であった。

担当マスターより

▼担当マスター

夜月天音

▼マスターコメント

 参加者の皆様お疲れ様でした。そしてありがとございました。
 皆様のおかげで特別なレシピの内容、魔法中毒者や調薬探求会の動きが明らかとなりまました。ありがとうございました。

 下記からはリアクション内に登場しましたイルミンスール魔法学校に報告された物になります。

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【魔法中毒者の家宅捜査・特別なレシピについて】


■魔法中毒者での家宅捜査の結果
魔法中毒者である吸血鬼の女性と調薬探求会が取引を行い、調薬探求会は自身が集めたレシピの情報と引き替えに貴重な素材を貰った。交渉が行われる前に調薬探求会所属の獣人ヴラキが魔法中毒者が保持する他の中毒者から奪った三枚のレシピを盗み見した模様。

■魔法中毒者である吸血鬼の女性について
外出はほとんどせず特別なレシピの調薬やレシピの捜索に費やしたという。その証拠は家中のあらゆる場所に残された記憶によって明らかである。
シンリとの取引後、特別なレシピに必要な荷物を抱えてゴンドラで逃亡。行方についてはヴァイシャリーを出た事以外不明。

■他の魔法中毒者について
二階の書斎の机にて特別なレシピ捜索の対象者リストがあり、中毒者の名前が列挙された物が見つかるも全て塗り潰されていた。列挙されていた魔法中毒者の生存については不明(捜査要)。

■特別なレシピについて
調薬探求会会長シンリによって製作可能な魔法薬の名前のみ明らかにされた。おそらく明かした所で止められる事は無いと読んだ上で口外したと思われる。
記憶を素材に変えるレシピであるという。レシピに記載された事と実際に作るではいくつかの齟齬がある模様。それが薬使用の際どのような影響が現れるかは不明。
不明である手順や必要素材については調査員が収集した情報を元に調査中であるが状況は芳しくない模様。

■調薬探求会の目的
魔法中毒者に欠陥がある特別なレシピを作らせ実験を行わせ、データを取り長所短所を調整した完璧な物を作り上げる模様。データ取りのために魔法中毒者がレシピ通りに作製する特別なレシピに対抗する魔法薬を作製する模様。
黒亜が特別なレシピを彼女なりに改良してどこかにばらまく恐れあり(警戒要)。

■名も無き旅団に手記について
魔法中毒者の隠し部屋に放置されていた。
白表紙に護衛士のザビスとあり、読み取り調査の結果筆者は剣を使う美しい女性だった模様。

今回の家宅捜査と調薬探求会への情報収集によっていくつかの事柄が明らかになった事は以上である。

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