リアクション
18
クリスマスイブの夕方、神崎 優(かんざき・ゆう)は神崎 紫苑(かんざき・しおん)を連れて神崎 零(かんざき・れい)と共に空京に来ていた。
風邪を引かないようにとみんなで暖かい格好をし、寄り添っている。
「冷えるね」
「な」
短い会話を時折交わし、目的地までの道を歩いた。目指すのは、公園にあるクリスマスイルミネーションだ。
巷で噂のイルミネーションは、目の前で見ると圧巻だった。聳え立つ大きなツリーは勿論のこと、植え込み、電灯と飾りがほどこされ輝いている。
「幻想的な世界だね……」
零がうっとりと呟いた。
「すっごく綺麗。見に来て良かった」
それは、優に抱かれている紫苑も同じ気持ちなのだろう。それまできゃっきゃと楽しそうに笑っていたのに黙り込み、食い入るように光を見ていた。
「これはイルミネーションと言ってな。電球や発光ダイオード、光ケーブルなどを」
「優。その説明、小さい子にするべきものじゃないと思う」
「そうなのか?」
「うん。私もちょっと、ちんぷんかんぷんだし。触らせてあげたりした方がいいんじゃない?」
零のアドバイスに従って、優は紫苑をイルミネーションに近寄らせてやった。紫苑は、あー、と不明瞭な声を発しながら手を伸ばした。光に手が触れると、今度はおぉー、という、感嘆の声が漏れる。
「お気に召したようだな」
「ね」
楽しそうに笑う紫苑を見て、零と笑った。
幸せだな、と思う。
このひと時は、本当に幸せなものだ、と。大切にしたい、と。
「なあ、零」
「うん?」
「支え合いながら、幸せにやっていこうな」
「うん。思い出もたくさん作ろうね」
これから大きくなっていく我が子を含めた、三人で。