波羅蜜多実業高等学校へ

葦原明倫館

校長室

空京大学へ

【GWSP】静香様のお見合い♪

リアクション公開中!

【GWSP】静香様のお見合い♪

リアクション


静香様のお見合い相手

 お見合い当日。
 タシガンから出発した飛空艇に乗っているのは、薔薇の学舎校長ジェイダス・観世院(じぇいだす・かんぜいん)と数人の薔薇の学舎生、静香のお見合い相手、セシル・ラーカンツである。
「ジェイダス殿、私のような吸血鬼が地球人とお見合いしていいものだろうか?」
 セシルがジェイダスに尋ねるとジェイダスはにっこり微笑んみ。
「セシル殿、ご安心を。今回のお見合い相手は、地球人と言っても私と同じように、パラミダで校長をしている方です。肩の力を抜いて。そして、セシル殿にとって決して悪い話にはならないはずですよ」
「……そうですか?」
 そこで、同行していたクライス・クリンプト(くらいす・くりんぷと)が口を挟む。
「ジェイダス校長、僕達は無粋な輩から、彼を守ればいいんですね?」
「そうだ。どうも今回のお見合いは前反響がすごくてな。御神楽 環菜(みかぐら・かんな)エリザベート・ワルプルギス(えりざべーと・わるぷるぎす)が賭けをしているなどという噂も流れているしな。確実に一波乱あるだろう。そしてもう一つ心配なのは、静香。彼女のことを敬愛する者達が妨害に回るか協力に徹するか分からないことだな」
「ジェイダス様でも分からないと?」
ラズィーヤ・ヴァイシャリー(らずぃーや・う゛ぁいしゃりー)殿は協力してくれるだろうがな」
「根拠はあるんですか?」
 クライスの質問に笑みを作り。
「彼女も面白いことが好きだからな」
「何にしても。空港等では不埒な輩には容赦いたしませんので」
 クライスのパートナーのローレンス・ハワード(ろーれんす・はわーど)が厳しい口調で言う。
「別に構わんよ。セシル殿はラーカンツ家のご子息だからな。重要な地位と将来が待っている方だ。多少手荒になってもよい」
「分かりました空港までの警備はお任せ下さい」
 そう言ってローレンスはジェイダスに一礼する。
「ジェイダス校長。世間は、静香校長とお見合いをするという、セシルさんに大変興味を持っています。ですので、今日一日セシル様の密着取材をしたいのですが」
 同乗していたエース・ラグランツ(えーす・らぐらんつ)がお伺いを立てるが、ジェイダスからの返答は。
「この機内の間だけなら許す」
 というものだった。
「いえ、俺はパラミダの民の為に一日密着取材を……」
「セシル殿に余計な心労をかけたくない。守れないと言うなら、パラ実送りでもかまわないのだが」
 ジェイダスがエースの瞳をじっと見つめます。
「……分かりました。クマラ、セシルさんの写真をお撮りして」
「おーっし、オイラの日本製の高性能ハンディカメラが火を噴くぜ」
 クマラ カールッティケーヤ(くまら・かーるってぃけーや)がカメラを構えて数枚、セシルの写真を撮ります。
 カメラが実際に火を噴くわけではないので安全なのだが、セシルの顔には緊張が見て取れる。
 そこにそっと、エオリア・リュケイオン(えおりあ・りゅけいおん)がそっと、タシガンコーヒーを出す。
「縁談という事で、色々な人の面子等の義理関係や余計な注目を浴びてしまう事になりますが、大切なのはあなたの人生なのですし、ゆっくり考えていけばいいと僕は思いますよ」
 その言葉を聞き、コーヒーに口を付けセシルは、一言。
「ありがとう」
 とエオリアに笑顔で言った。
「それじゃあ、時間も無いことだし早速取材させて頂きますね。桜井校長と百合園女学院の印象を教えてください」
「それは……」
 エース達がそんなやり取りをしている間、エースのもう一人のパートナー、吸血鬼のメシエ・ヒューヴェリアル(めしえ・ひゅーう゛ぇりある)は、数枚の資料に目を通していた。
 メシエもタシガンの吸血鬼。
 公的記録から、セシルラーカンツについて調べていた。
 資料に目を通す限りラーカンツ家は名門中の名門だし、怪しいところは一切ない。
 ただ一か所、メシエの目を引く一文があった。
 それを見た瞬間、メシエの唇に楽しそうな笑みが浮かんだ。