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恋の行方と陰謀のウエディング

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恋の行方と陰謀のウエディング

リアクション

●プロローグ
「こうして皆様に集まっていただいた事、感謝しております。私が執事のコンスタンス。そして……」
「エレノア・グランフィールドですわ。皆様、お世話になります」
 集まった仲間達を前に、そう言って二人は深々と頭を下げる。
 のどかな田園の広がる穏やかな街。
 丘の上にある領主の館に集まった仲間達は、今回の依頼人である執事と領主の娘に会っていた。
 執事のコンスタンスは、人のよさそうな、笑顔の優しい青年だ。
 エレノアは、長く伸ばした金の髪が美しい、どこか儚げな面立ちをした美しい女性だった。
「ふたりの幸せのために、頑張るから任せて!」
(「執事とお嬢様との身分違いの恋……萌えるシチュすぎっ……!」)
 そう熱のこもった口調で言ったルカルカ・ルー(るかるか・るー)
「そんな風に、二人が頭を下げることなんてないよ。結婚式っていうのは好きな人とするものでしょ!? 無理強いさせるだなんて許せない! そんな結婚、絶対させないんだから!!」
 リアトリス・ブルーウォーター(りあとりす・ぶるーうぉーたー)がそう言うと、
「そーそー。望まない結婚させられるなんて、放っておけねぇぜ!」
「結婚式は、幸せになるために挙げるものだからね」
「二人がしあわせになれるよに、おてつだいするです」
 泉 椿(いずみ・つばき)長原 淳二(ながはら・じゅんじ)ヴァーナー・ヴォネガット(う゛ぁーなー・う゛ぉねがっと)も、口々にそう言った。
「まだ、武器商人さんが悪い人だって、決まったわけではないですけどっ、何事もないように、わ、私は、エレノアさんの側について、お守りしますね」
 リース・エンデルフィア(りーす・えんでるふぃあ)がそう言うと、傍らにいた桐条 隆元(きりじょう・たかもと)は、短いため息をつき話す。
「わしも、小娘と共にそなたの傍におるぞ。よろしく頼む」
(「どうでも良い手下のみを捕まえさせたり、商人と繋がりを持とうとしたりするような狡猾な賊が、商人の子飼いのまま終るわけがなかろう……」)
「ありがとうございます。色々と不安が多くて……力になっていただける方が、側にいてくれると思うと、安心します」
 エレノアは、そう言って微笑む。
「証拠は無くても、ワタシはやっぱりその武器商の男、怪しいと思いますわ。ませていたというのにそうも都合良くあっさりと片づけられるものかしら? 調べたほうがいいわね」
 白雪 魔姫(しらゆき・まき)は、思案するように、伏し目がちにそう答える。
「そういえば、婚約パーティがあるんだよね?」
 レキ・フォートアウフ(れき・ふぉーとあうふ)が尋ねる。
「はい。彼が、周りへの周知は早いほうが良いと……船上でパーティが行われます。大きな船なので、100人近くは集まるはずですわ」
「大勢の人を集めるんですね……レキ、僕は武器商と接触した相手を探る。何かわかれば、直ぐに知らせます」
「ボクは、色々と全体を見て回るよ。何かつかめるといいね」
 カムイ・マギ(かむい・まぎ)の言葉に、レキはそう答える。
「あたしも、交友関係を中心に探ってみるつもりよ。セレアナは?」
「私は、カムイと同じ。武器商に関わった人物を重点的に調べるわ」
 セレンフィリティ・シャーレット(せれんふぃりてぃ・しゃーれっと)と、セレアナ・ミアキス(せれあな・みあきす)の二人がそう話す。
「パーティといっても、敵の土俵だと考えるべきだな。相手の手中に飛び込むわけだ、十分警戒して事にあたろう」
 シシー・ミュゼット(ししー・みゅぜっと)の言葉に、仲間達も頷く。
「武器商人の館へは、ボク達が向かうよ」
「武器商がパーティに出ている間に、なにか証拠を探してみるわ」
 笹奈 紅鵡(ささな・こうむ)と、リネン・エルフト(りねん・えるふと)の二人がそう言った。
「深夜に出かけるのも怪しいぜ。後を付けて、どこに行ってるのか突き止めてやるぜ」
 カル・カルカー(かる・かるかー)がそう言うと、傍らの夏侯 惇(かこう・とん)も頷く。
「武器商のことも気になるけど、今回は、賊も何とかしなきゃいけないのよね? 」
 白波 理沙(しらなみ・りさ)が、尋ねるようにそう言うと、
「さっさと親玉見つけて、ぶっ潰そうぜ!……って、それはコンスタンスの役目か」
「好きでもない相手と結婚なんて、そんな約束無しにする為にも、執事さんには頑張ってもらわなきゃいけないんだよね」
 白波 舞(しらなみ・まい)と、龍堂 悠里(りゅうどう・ゆうり) の二人が、それに答えるようにそう言った。
「失礼ですが、本格的な戦闘経験はおありですか?」
 御凪 真人(みなぎ・まこと)の問に、コンスタンスが答える。
「私は、お嬢様のボディーガードも兼ねていますので、ひと通りの訓練は積んでいます。ですが、自分から敵に向かっていく、ということはしたことがありません。是非、皆さんのお手を借りたい」
「俺達で、できる限りのサポートはする。お互い無茶はしないように頑張っていこう」
 大岡 永谷(おおおか・とと)は、そう言った。
「心強い限りです。よろしくお願いいたします」
 コンスタンスは頭を下げる。
 
 こうして、二人の幸せを願い、多くの仲間達が作戦を練っていたその頃。
「そういえば、依頼はどうなりました?」
 ファンドラ・ヴァンデス(ふぁんどら・う゛ぁんです)は、そう言って、長椅子に腰掛け飲茶に口をつける辿楼院 刹那(てんろういん・せつな)の方を見る。
「武器商人の依頼なら、受けたぞ。大物ではないにせよ、武器を扱う男じゃ、恩を売っても損はない。今夜は一仕事じゃ」