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リアクション
第10章 水竜を救出せよ
「ふぅ・・・やっと地下9階についたな」
陣たちはベルトコンベアの階から、地下9階へやってきた。
「また動力水路のフロアだね」
「ん?何が言いたいんだ?」
ボソッと小声で言うリーズを軽く睨む。
「ゴーストたちに見つからないうちに早く進もう」
何も言っていないようなフリをして彼女は先に進んでいく。
「シカトかっ」
何を言いたかったのか聞こうとしたが、無視されてしまった。
「静かにしてください、敵に気づかれたらどうするんですぅ!?」
メイベルが眉を吊り上げて怒る。
「えっ、オレ?」
「他に誰がいるんですぅ!」
「うー・・・酷い。いつも以上になんか酷い・・・」
注意されてしまった陣はしょんぼりとする。
「地下10階まで来たけど、まるで迷路みたいね」
ルカルカは水門を探そうと水車の上に乗り、向かい側の通路へ飛び移る。
「こっちで合っているんでしょうか?暗くてよく見えないですぅ・・・。あっ、ルカルカさんたちを見つけました!」
最下層へ来たメイベルが片手を振り声をかける。
「もしかして・・・そっちの道って、上の階に行く階段がある方?」
「そうですよ」
「やばい・・・完璧迷子。さっきの水車に乗らなきゃよかったわ」
ルカルカたちは地下10階のほぼスタート地点に戻ってしまったのだ。
「似たような道ばかりだな」
疲れたようにダリルがため息をつく。
「陣くん・・・水車があるってことは、ここも水路なんだね」
「だから何が言いたいんだ?」
「こいうところは陣くんが、頭に“む”がつくのになるから」
「おっ、オレだってやるときはやるんだっつーの」
「へぇー」
「(くぅーっ、家に帰ったら覚えてろよ!)」
信用していないような目で見るリーズに、爆発しそうな怒りを抑える。
「たしかこの通路にある、最初の1つ目の水車は行き止まりだったな。んで、3つ目のヤツに乗って進んだら2つ目の水車がある方に道がつながっていたんだっけか」
「そうだな、残るは4つ目の水車だ」
ラルクと淵は通った道を確認し、まだ乗ってない水車のところへ向かう。
順番に水車へ乗り、通路へ飛び移る。
「なんかめちゃくちゃいっぱい兵がいるな」
ラルクは物陰に隠れて様子を窺う。
「てことはその先に水門があるんじゃないのか?」
兵が見張っている先に、水門があるのではとカルキノスが言う。
「気をつけてください、壁にトラップがありますよ」
仲間にトラップの位置を教えようとメイベルは、光術で小さな明りを作って照らす。
「なんか兵が奥へ集まっているようだな」
ラルクは移動していく兵を見る。
柱の陰に隠れながら、彼らの後をついていく。
「水門を見張るために集まっているのか。うっしゃあ!速攻で行くぜ!」
等活地獄の技で兵たちの顔面を殴り、水の中へ蹴り落とす。
「うらぁあ、退きやがれぇえ!」
反撃しようとする者の手足を掴み、膝蹴りをくらわして背骨をへし折る。
「早く水門の方へ!」
エルは軽身功の体術で、兵のライフルを踏み台にし、ターゲットの頭部を斬り裂く。
リーズが2人にパワーブレスをかける。
亡者たちがラルクとエルに気をとられている隙に、ルカルカたちは水門の方へ走る。
「2人がゴースト兵と戦ってくれている間に、なんとか助けなきゃ」
「レヴィア・・・今、皆が助けてくれる。今しばらく辛抱するのじゃ」
アウラネルクは水門の向こうでぐったりとしている水竜に、もう少し待つように言う。
「バルブのハンドルの真ん中に、丸いくぼみがあるわね」
「ひょっとしたら、それを入れるじゃ?」
陣はルカルカが持っている雷の玉を指差す。
「よし、はめてみようか」
試してみると上手くはまり、パチチッと音がする。
「バルブを動かすための電力みたいやね」
陣が言うように、雷の玉はバルブを動かすための電力なのだ。
動かすためにはもう1つ必要なことがある。
それは水門管理室でパスワードを入力することだ。
エースたちがパスワードを解除してくれたおかげで、バルブを動かせるようになっている。
「重いわね・・・」
ルカルカがバルブを回してみようとするが、重すぎて1人では回せなかった。
「皆で協力して回しましょう」
「よし、いくぞ。せーのっ!」
陣たちは力いっぱいバルブを回して水門を開ける。
「水門を開けてもバルブから手を離したら、閉じてしまいますわよ」
手を離してしまっては、また閉じてしまうのではとフィリッパが言う。
「ルカルカが助けにいくわ」
「オレもちょっといってくるか」
ルカルカと陣はバルブから手を離し、海水の中へ飛び込む。
「えっ?あぁあっ、ちょっとー!」
支える役が減ってしまい、リーズが叫ぶ。
「ドッペルゲンガーの森に行った時は会わなかったけど、さて・・・どうやって運んだらいいんだか」
10mはありそうな巨体だ。
もちろんオメガを森へ行った時は、竜の姿ではなく人間の姿だ。
「レヴィア、わらわの声が聞こえるかぇ?目を覚ますのじゃ!」
アウラネルクの声を聞き、魔力を奪われてぐったりとしている水竜がようやく目を覚ます。
「今助けるからな、水竜さん」
陣がSPリチャージをかけると、水竜は白い服を着た青年の人間体になった。
「―・・・・・・」
喋る気力が残っておらず、目を閉じて気を失ってしまう。
「だいぶ疲労しているみたいやね」
「早くここから出なきゃ」
陣とルカルカはレヴィアを抱えて水門を出る。
「もう手が限界だよ!」
2人が水門を出た瞬間、リーズたちはバルブから手を離した。
急ぎ脱出しようと水車に乗って通路へ飛び降り、地上を目指して走る。
十天君の注意を引き付け続けてきたクルード・フォルスマイヤー(くるーど・ふぉるすまいやー)は、もう隠れている意味はないと3階の小部屋から出る。
「―・・・行くぞアシャンテ・・・・・・」
「そろそろ水竜を救出した者たちが地下から出てくる頃だ」
アシャンテ・グルームエッジ(あしゃんて・ぐるーむえっじ)は軽く頷き、ブライトシャムシールの柄を握る。
「地下にいるやつが、水門から水竜を解放しやがった。十天君のお2人に知られる前に、奪い返せぇえ!」
4階にいるゴースト兵が3階へ、階段を駆けてくる。
「さっそくお出ましか」
毒虫の群れを放ち、兵を襲わせる。
「どこから虫が!?」
「フッ、それくらいで慌てるとはな」
ブライトシャムシールで兵の得物を持つ手を貫く。
相手の手から武器が滑り落ちたのを見て、顔面に蹴りをくらわす。
「そっちに行ったぞ・・・クルード!」
下の階へ向かおうとする兵の存在をクルードに知らせる。
「そこのガキ、退きやがれぇえっ」
「あぁ、行かせてやる・・・・・・。ただし・・・その先はナラカだがな・・・」
クルードは二刀の初霜で短刀の刃を受け流し、乱撃ソニックブレードの剣風で細切れにする。
「フッ・・・・・・何人来ようが、・・・俺の刃からは逃れられないぞ」
腹部から頭部にかけて斬り裂き、両足を薙ぎ払う。
「調子に乗るんじゃねーっ」
ハンドガンを構えた兵たちが、アシャンテを囲んで撃つ。
「油断をするな・・・・・・」
駆けつけたクルードが乱撃ソニックブレードで銃弾を受け流す。
「向こうも闘い慣れしているプロだ・・・・・・。やつらに囲まれると、いっきに不利になってしまうぞ・・・・・・」
「すまない・・・。もう、油断はしない・・・っ」
アシャンテは毒虫の群れで兵の視界を塞ぎ、得物を床へ落とさせる。
「傷を負ってしまったみたいだね。今、治してあげるよ」
ラズ・シュバイセン(らず・しゅばいせん)は光学迷彩の技で隠れながら、ヒールでアシャンテの傷を癒してやる。
「ありがとうございます」
「もう少し頑張ろうね」
「えぇ・・・10分くらい経ったら、私たちもここから出ましょう・・・」
「そうだね。皆が脱出する頃に、1階で施設を破壊する準備をしているようだから。その前に出よう」
「施設を破壊する物を作ろうと思ったが・・・、使えそうな物が何もないな・・・」
破壊工作で施設を破壊出来る物を作ろうと思ったが、使えそうな物は何もなかった。
「食堂にいる生徒が・・・皆、脱出した頃に破壊するようだからいいが」
「ほう・・・1階にいる生徒が、ここを破壊するのか・・・・・・」
「あぁ・・・そのようだクルード・・・」
「―・・・では、もうそろそろ、脱出するか・・・」
「そうしよう・・・」
爆破時刻に合わせて出ようと、アシャンテたちは2階へ向かう。
「やっと戻ってきたな。地上へ戻ろう!」
下の階へゴーストたちがいないように、防いでいる垂がルカルカたちを確認して運搬場から出た。
「皆さん階段を上りましたね?あとは出るだけですから、壊してやりますっ」
通路に出た朔は追ってくるゴーストを倒そうと階段の前で止まり、6連ミサイルポットを天井に向かって発射させる。
「地下7階から地上まで走るなんてキツイよ」
「何を言っているんですか、ここにいたら生き埋めになっちゃいますよ」
疲れて止まりそうになるニコの手を、ユーノが引っ張る。
「ゴースト兵がいるですぅ、潰してしまいましょう」
捕縛しようと地下6階で待ち構えている兵を、メイベルがウォーハンマーで殴り倒す。
「次ぎの階段を上れば地下5階だな」
陣たちはクラマが残した目印をたどって通路を駆ける。
「ここにもゴースト兵がいるよ、陣くん!」
「無能言われてばっかりのオレだけどな・・・やる時はやるんだってーの!」
リーズにパワーブレスをかけてもらい、ファイアストームで兵を葬る。
「まだあんなにいるのか、退けーっ」
地下5階までたどりついたカルキノスは、行く手を阻む生物兵器にブリザードを放つ。
「やつらはまだ俺たちを捕まえようとしてるのか」
止めを刺そうと淵が諸葛弩の矢で、的の頭部を射抜く。
階段を駆け上がりさらに地下4階から地下3階、地下2階から地下1階へと上る。
「やっと1階についたな。オメガちゃんの屋敷へ行こう」
エルたちは施設から脱出し、仲間が待っている浜辺で行き、ボートに乗って孤島から出る。
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