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【海を支配する水竜王】リヴァイアサンを救出せよ

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【海を支配する水竜王】リヴァイアサンを救出せよ

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第9章 鍋パーティーの準備・・・

「鍋だと山菜とキノコの鍋、魚介類の鍋とか肉団子鍋があるわね。あっ、鳥鍋もいいな」
 十六夜 泡(いざよい・うたかた)はどの鍋にしようか考える。
「ねぇ、オメガって好きな食べ物とか・・・嫌いな食べ物ある?」
 1つに決められない泡は、オメガに食べ物に好き嫌いがあるのか聞く。
「全部美味しそうですけど、苦手な食べ物は苦すぎる食べ物とかはちょっと・・・」
「そしたらふきのとうとか苦いから無理ね。他に嫌いなやつない?」
「あとは・・・セロリと人参も苦手ですわ」
「苦すぎる食べ物と、セロリ・・・あと人参か・・・」
 忘れないように泡はメモを取る。
「じゃあ好きな食べ物は?」
「うーんそうですわね。マグロとかワラビ・・・それとミツバも好きですわ」
「マグロか・・・。ちょっと獲るのが難しいかな・・・」
「オメガちゃんや皆が食べてくれるなら、ひなが獲ってくるですっ」
 桐生 ひな(きりゅう・ひな)が皆のためにマグロを獲ってくると、元気いっぱいの声音で言い挙手する。
「さばくの難しそうだけど頑張るよ」
 なんとかクリス・ローゼン(くりす・ろーぜん)と協力して、神和 綺人(かんなぎ・あやと)はマグロをさばいてみるから、気にしないで獲ってきてという風に言う。
「これ必要な食材のメモね」
 泡は食材の名前と絵柄を書いたメモをひなに手渡す。
「はいです、では食材集め行ってくるです」
 そう言うとひなは館から出て、食材集めをしようとイルミンスールの森へ向かう。
「まずは・・・山菜やキノコ、それを採ったら獣を探すです」
 受け取ったメモを見ながら、まずは山菜を探す。
「さっそくワラビを見つけましたですよ」
 ワラビを採り、他にも苦すぎない山菜や、野菜を探してカゴの中に入れる。
「これは椎茸でしょうかー?かさが黄褐色ですね〜」
 木に生えている椎茸を見つけて、毒キノコじゃないか考える。
「見分けがつきにくいのはやめて・・・マイタケにするです」
 椎茸を諦めて木の根元にあるマイタケを採る。
「エリンギとマッシュルーム・・・、ナメコやキクラゲもありますねぇ〜。ん?これは何でしょうか・・・ピンクのキノコ」
 見つけた食べられそうなキノコを採っていると、不思議なショッキングピンク色のキノコを見つけた。
「メモによると食べられるみたいですねぇ〜?えーっと、カンゾウダケって名前なんですかー」
 誰か食べるだろうと、それも採ってカゴの中へ入れた。
「あとは手頃な獣がいるといいんですけどね〜。―・・・向こうに何かいるみたいですっ」
 鳥などがいないか森の中を探し歩いていると、草むらの方からガササッと音が聞こえた。
 忘却の槍で地面に突き、ターゲットに遠当てをくらわす。
「食べられるやつでしょうかー?」
 獲物を確保しようと近寄る。
 長い耳の獣を拾い上げて確認すると、ひなの技をくらって気絶しているうさぎだった。
 しばらくするとうさぎは目を覚まして、彼女の顔を見て瞳を潤ませてブルブルと震える。
 食料にされると思い、怯えているのだ。
「うぅっ・・・可哀想です・・・。うさぎはやめて他のにするですよ」
 せっかく獲った獲物だったが、可哀想に思い逃がしてやる。
「他に何かいるといいですけど・・・。えっ、ク・・・クマ!?」
 林の方を見ると、クマを見つけた。
 クマがひなに気づき襲い掛かる。
 眼球・腹部・両足を突きまくり、等活地獄の技を繰り出す。
 ザシュッ、ズシャシャシャッ。
 刃の餌食となった獣は身体から吹き出し、ズゥウーンッと大きな音を立てて地面へ崩れ落ちる。
「あと鳥肉も欲しいですねー」
 空を見上げて次なる獲物を探す。
「木の上に発見!よぉし、あれも確保するですよ」
 大きな怪鳥を見つけ、槍を咥えて大木をよじ登る。
「フッフフフ♪食材ゲットですっ」
 枝の上にいる鳥を槍で貫こうとすると、顔に傷のある上等な面構えの鳥が、ひなの殺気に気づき振り返る。
 ギェエエッと奇声を上げながら、鋭く尖った足の爪で、ひなを攻撃しようと襲い掛かる。
「あわわっ!イッた、はうっ、はわぁあっ!!」
 なんとか避けるものの、その拍子に木の上から落ちてしまう。
「うー・・・、絶対獲るですよっ」
 地面から起き上がったひなは槍の柄を握り、ばかにしたような顔をする鳥に刃の切っ先を向ける。
 怪鳥はひなへ目掛けて滑空する。
「覚悟ですーっ、てやぁああ!」
 先の先で相手の行動を読み、アルティマ・トゥーレの冷気をターゲットに向かって放つ。
 ピキキッ・・・ドスンッ。
 ひなに仕留められた怪鳥が地面に落ちる。
「鳥肉、獲ったですよーっ!」
 槍に鳥を刺したまま、天高く持ち上げて喜びの声を上げる。
「この調子でマグロもゲットしますよー」
 駿馬に食材を運ばせながら、パラミタ内海へ向かう。
「んー・・・この時期に海の中へ潜るのはきついです」
 森で拾った枝と糸で釣竿を作り、餌巻き用スッテに小アジをつけて海の中に投げる。
 待つこと30分、何かが餌にくらいついた。
「おっ・・・重いですっ!ちょっと荒っぽいですけど、仕方ないですよね〜」
 釣竿を片手で持ち、槍で海に向かって遠当てを連発させる。
 餌を食いちぎろうとしていた魚の動きが止まり、引き上げてみると、魚はひなの技をくらい死にかけている。
「何の魚でしょうかー?わぁっ、やりましたー、マグロです!!」
 メモの絵を見て何の魚か確認するとその魚はマグロだ。
 運が良かったのかすぐに釣れた。
「食材が沢山集まりましたね。ふぅ・・・技を使いすぎたから、食べておくです」
 新鮮なうちに持って帰ろうと、SPタブレットを食べて館の方へ向かう。



「もうそろそろ戻ってくる頃かな?」
「ひなさんが館を出てから、1時間くらい経ちましたね」
 綺人とクリスは窓を見ながら、ひなが食材を持って帰るのを待っている。
「あれは・・・ひなさんでしょうか?」
 窓の向こうに人影を見つける。
「え・・・?ひなさんってフードつきのコート着てたっけ?」
 眉を潜めて綺人は考えるように腕組をする。
 ガチャガチャッ、ガチャッとドアノブを乱暴に回す音が聞こえる。
 鍵がかかっているのが分かると、鍵穴に針のような細い金属を差込み、無理やり開けようとする。
「ひなさん・・・じゃない・・・・・・」
 クリスが見つけた者が、ドアを無理やり開けようとしているのだ。
「どうやら敵みたいだね」
 警戒用に発動させておいた禁猟区が反応し、綺人は鞘から妖刀村雨丸を抜く。
「キッチンの方で鍋の準備をしていようか」
 闘いの場を見せないよう、泡はオメガをキッチンへ連れて行く。
 綺人はドアを開け、侵入してこようとするフードを被っている怪しい人物の腕を掴み、妖刀の柄で腹部を殴る。
 少しくらいはよろけるはずだが、相手には平然としている。
 侵入者が短刀で綺人に斬りかかる。
「そんなっ、効いていないのか!?まるで痛覚がないみたいだよ!」
「アヤ・・・もしかして、ゴースト兵では・・・」
「何だって!?いつ襲撃されるか警戒してたけど、まさかあの施設にいるヤツらが本当に来るなんてっ」
 孤島の施設にいるやつに襲撃され、綺人は驚きのあまり目を丸くする。
 せっかく奪った魔力を台無しにされてしまい、それならとオメガに悪夢を実体化させて新たな研究場を得ようと、十天君が兵を館へ向かわせたのだ。
 妖刀の刃で兵の腕を刺し、アルティマ・トゥーレの冷気で刺し傷から徐々に凍てつかせる。
「退きやがれ小僧!」
 彼を退かせようと蹴ろうとする。
「アヤに手出しはさせませんっ」
 大切なパートナーを傷つけさせまいと、その片足を高周波ブレードでクリスが斬り落とす。
「オレ1人だと思うなよ・・・」
 床に倒れながらも、兵は2人を見上げてニヤリと笑う。
「まさか・・・まだ他にも!?」
 綺人が館の外を見ると、他の兵たちが館の近くまで来ている。
 館にいる綺人たちをオメガの目の前で傷つけて、彼女を心の闇に沈めようという計画だ。
「まずいよ・・・あんな数、僕たちだけじゃ倒しきれないよ!」
「それでも今は私たちしかいませんから、なんとか倒さないと・・・」
「うんそうだね・・・、かなり大変そうだけど」
 そう言うと綺人は館の外へ出てドアを閉める。
「私たちを傷つけてオメガさんを悲しませようとしてるようですが、私たちはそう簡単に倒れたりしません。館の中にだって一歩も入れさせません!」
 クリスは銃弾を爆炎波で防ぎながら亡者の群れへ接近し、ターゲットの頭部を狙い破壊する。
「(これじゃあ僕たちの方が先にSPを切らせてしまいそうだ)」
 兵の胴体を薙ぎ払い、綺人は侵入を防ごうとするクリスの方を見る。
「戻ってきたらなんだか呼んでないお客さんが沢山いるですね〜」
 食材を持って帰ってきたひなが、駿馬から降りる。
「たしかお前・・・オメガとかいう魔女と仲いいんだよな?」
「そうですよー」
 問いかける兵に、ひなは笑顔で答える。
「こりゃいい。お前をズタボロにして、オメガの前に放り投げてやるぜ」
 その言葉にひなは笑顔からムッとした表情へ一変させた。
「オメガさんを悲しませようとする悪いヤツは、この私が許さないですよ」
「小娘風情がほざくなぁあっ」
「悪夢の元は私が撤去するですよーっ!!」
 等活地獄の技を遠当てで飛ばし、兵の群れを一掃する。
「ちくしょう、撤退しろーっ」
 かろうじて残った兵が、死体を回収して撤退する。



「これだけあれば、足りそうですね〜」
「マグロのさばき方は、携帯サイトを見ながらやるしかないかな」
「まずはウロコを取りましょうか」
 ひなたちは食材を館の中へ運び、綺人とクリスが包丁で鍋用に切り分ける。
「あっ、どうせならギャザリングヘクスで鍋を作らない?」
「スープをダシにするんですか?」
 オメガは首を傾げて聞き返す。
「そうよ、絶対に皆が喜ぶから」
「えーっと・・・料理用に作ったことありませんから、上手く出来るか分かりませんけど」
「大丈夫よ、料理は心なんだからさ」
 泡はオメガと一緒に野菜を切りながら言う。
「では作ってみますわ」
 冷蔵庫を開けて調味料を取り出す。
「―・・・昆布ダシ風味にしてみましたわ」
「へぇー、いい香り」
 味見してみようと、泡はスプーンで少しすくう。
「うん、いい感じ。材料も切り終えたし、あとは皆の帰りを待つだけね」
 手にミトンをつけて鍋を運ぶ。
「あとお箸とかがいりますわね」
 オメガは帰ってくる皆のために、器と箸をテーブルに置いた。