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少年探偵の失敗

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少年探偵の失敗

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37. 二日目 エーテル館 大ホール 午前四時二十六分

「こゆ、じゃなくて、麻美おにいちゃんがさらわれたです。みんな、早く、助けてあげてくださいですっ」
 椅子に縛りつけられたヴァーナが、じたばたと暴れながら、叫んだ。
 イオマンテの登場に、一時、ホール内の注意が奪われた隙をつき、ヴァーナの横にいた麻美は、連れ去られてしまった。
「誘拐犯人は・・・・・・朔おねえちゃんと、その仲間の人たちだ! 麻美おにいちゃんを連れて、ホールからでて走っていったですっ。みんな、麻美おにいちゃんを助けて」
 めずらしくきつい口調のヴァーナの訴えに、クライブ・アイザックとトライブ・ロックスターは、それぞれ別のドアへと駆けだした。が、
「廊下には煙幕が張られてるぜ。へたに動くと迷うぞ。ただでさえ形の変わる家だ」
「こっちの通路もだ。こっちも。こっちも。こっちも。どのドアからでても、ダメだ。おそらく、すべての通路を濃い煙幕で覆って、逃走路を確保しやがった。こりゃあ、計画犯だな」
「まさか、仲間内からこうも堂々と犯罪協力者がでるとは、思ってなかったぜ」
「クー兄。味方の中に敵がいるの?」
「いや、手段はともかく、きっと、なんか考えがあるんだろうけどさ」
 クライブは、パートナーのルナに不安を与えぬように、内心の焦りを隠し、笑顔をつくる。