校長室
【十二の星の華】空の果て、黄金の血(第2回/全2回)
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「…赫夜らしいな…」 二人は目を見合わせてやれやれ、といった顔をした。 ファイリア、ウィノナ、刹那らはそのような場外乱闘にも我関せず、きゃっきゃとそれぞれに可愛いパジャマを着て、楽しそうにお茶やクッキーをつまんでいる。 真珠はケセアレの遺していた遺書により、ヴァレンティノ家の全てを受け継ぐこととなった。しかし、真珠は真言や真言の旧友、弓削 光政らの力を借り、ヴァレンティノ家の全てを解体し、使用人の身の振り先、数々の蔵書、宝物などはすべて収めるべきところへ収め、多大な財産も一部は蒼空学園へ寄付という形で修繕費に充て、あとはアンジェラ隊や負傷者ヘ分配、そして、残りは全て被災地などに寄付してしまったのだ。 「ヴァレンティノ家は私の代で終わるわ。でも、私はいずれ母様や父様のように愛し合える家庭を作って、伯父様の血も繋いでいくわ。伯父様…ゆっくりと眠って」 真珠はひとり、太平洋に向かって花束を投げた。 恭司が赫夜が酒乱なのを佑也にそっと告げる。 「大変だなあ」 と言うと 「俺も酒が飲める歳だ!」 言い返す佑也。そこに赫夜が現れた。 「か、赫夜さん、具合悪そうだね…」 「佑也殿…祥子さんはザルを通り越して、枠みたいだった…飲んでも飲んでも、次から次へ、お酒が出てきて…正直、もう、祥子さんとは飲みたくない…」 祥子に飲まされすぎて酔いよいになっている赫夜に、すこしほっとする佑也だった。 赫夜は蒼空学園の制服を着て通学するようになった。黒のセーラーは家に置いてある。 「ピンクが凄まじく似合わない…」 「そんなことないわ、姉様。可愛いわよ」 ショートカットになった真珠が赫夜のリボンをなおす。 「男子の制服のほうがいいな」 「もう、姉様ったら」 ミケロットは、全ての事情を記録したメモリーカードを残し、行方をくらませた。 政敏はリーンと薔薇を見つめながら、 「ミケ先輩は生きてるよ。絶対」 「私もそう思う」 と呟く。 残された薔薇はみんなで育てることにした。 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 日常が戻ってきた蒼空学園。 「うおっ!お前らいいな〜。」 総司と周のキスマースを見て悔しがるにゃん丸。 いずれキスマークは消える。 しかし、真珠の人生を救った体の傷は消える事の無い勲章だと思うにゃん丸であった。 クラスで楽しそうに女子と談笑する真珠と目があうとにゃん丸は赤くなりそっぽを向く。 真珠はみんなの人気者になっている。時々体調を崩すが自分なりに走ったりして鍛えているようだ。 そんなにゃん丸の前に真珠はすっと立った。 「にゃん丸さん。にゃん丸さんは、本当はリリィさんが好きなんですよね…分かってます。でも私のこと、助けてくれた。にゃん丸さんは、私のとても大切な人です。私、リリィさんのいうように色んな世界を見て、ふふ、そして色んな男の人をみます。でも私が一番好きなのは、にゃん丸さんだから。…リリィさん、隙ができるようなら私がにゃん丸さんを貰っちゃいます」 と宣言する真珠と、また、女の子達の輪に入ってきゃあっと笑い声を立てた。 「あの子、変わったわね…」 リリィは固まるにゃん丸を横にして 「あんたが変えたのね、にゃん丸」 にゃん丸の成長にちょっと女心がトキめくリリィだった。