リアクション
卍卍卍 「隼人、テレサ、ミア……誰にとっても幸福に過ごせる一年でありますように」 風祭 優斗(かざまつり・ゆうと)は東光大慈院で剣の花嫁のテレサ・ツリーベル(てれさ・つりーべる)と一緒に参拝していた。 「さ、行こうか……」 「はい、優斗さん」 二人は並んで歩き、テレサはそっと優斗の手に触れる。 「テレサ?」 「こ、混んでますから、はぐれない様に手を繋いだほうが良いと思って……本当ですよ!」 テレサは顔を赤らめる。 「あの……優斗さんは何を祈願したんですか」 「うん、家族みんなの幸せだよ」 「家族……」 テレサは今年こそは優斗と正式にお付き合いしたいと祈ったが、彼はそうではなかったようだ。 ちょっとがっくりきていると、前方からミア・ティンクル(みあ・てぃんくる)と風祭 隼人(かざまつり・はやと)がやってきた。 「あー、優斗お兄ちゃんもマホロバに来てたんだあ。すっごい偶然だね〜」 優斗とテレサを二人きりにしないように追いかけてきたミアが、優斗の空いたほうの手をとる。 「僕もお兄ちゃんと手を繋ぐもん」 「兄貴……正月からモテモテだな。というか、俺おじゃま虫?」 隼人はミアにぜひにとせがまれて付いてきたのだが、優斗と合流の為に担がれたのをあえて乗ってやっていたのだ。 とはいえ、彼女たちの無言の「隼人どっかいけ」プレッシャーに耐える気はなかった。 「いいよ、いいよ。俺は退散するから。ティファニーちゃんに慰めてもらうから! 『必殺仕返し人』ごっごやってもらうから!」 「いや、待て。隼人、お前には居て欲しい。これからちょっとあるから……」 優斗は間を置いて一呼吸した後、もう一人家族が増えるのだといった。 「兄貴、まさか隠し子……!?」 「ちがっ……二人ともなんでそんな目で見てる? パートナーが増えるんだよ」 優斗は灯姫(あかりひめ)を紹介した。 彼は鬼の血を強く引く彼女を守るという約束をし、契約した。 正直、妹たちを紹介するのは、彼女たちがどんな反応をするか若干の不安があった。 しかし、新しい家族が出来ることへの希望も膨らんだ。 当初はもう少し待ってからと思っていたが、灯姫のほうから会いたいといってきた。 灯姫が率直に言う。 「今まで外の人間と接したことがなかったからな。気が急いた」 「大丈夫ですよ。妹たちは心根の優しい子ばかりです。あ、どうしたの?」 優斗は妹たちの只ならぬ気配を感じた。 「優斗さん……何でまた勝手に『女の人』と契約してるんですか?」 「お兄ちゃん、『女の人』って浮気!? 書初めで反省文を提出だよ!」 彼女たちのあからさまな嫉妬心にタジタジとなる優斗。 隼人に助けを求めたが、弟は口笛を吹きながら既にこの場から逃げようとしている。 「悪いな、用事思い出した。じゃ、しっかりやってくれ」 「隼人、まだ話は……」 「優斗さんはここで反省してください!」 テレサとミアにすごまれて、優斗は正座をさせられ新年早々の説教タイムに突入する。 「これが新しい家族、か。変わった家族だ……」 灯姫はぽかんとその様子を眺めていた。 「でも、楽しそうだな……」 |
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