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マホロバで迎える大晦日・謹賀新年!明けましておめでとう!

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第五章 初日の出1

 行く年が過ぎ来る年を迎える。
 元旦、アキラ・セイルーン(あきら・せいるーん)は目を覚ましたとき、貞継の寝室でいつもの布団に居たのに今日は少し様子が違っていた。
「……えらくさみーな……って、俺なんで素っ裸!?」
 隣を見ると、鬼城 貞継(きじょう・さだつぐ)が同じように裸で寝ている。
「何でそんな格好で寝てんだ?」
「ん……何をいっている。昨夜、托卵しただろう?」
 目覚めた貞継が、さらっと答える。
「可愛かったぞ」
「ふ・ざ・け・ん・な! 俺は男だ。托卵ったって、本編で散々拒否ってたのはてめえの方だろ」
「確かにな。しかし、男の托卵がどうなるのか知りたくなった。一月後が楽しみだな」
「寝正月って書いたけど、こんな……」
 アキラが真っ青になって提出したアクションを見返す。
「いや、アクション欄に書いただろ。『お年卵くれ』って。今回は高確率で採用されるからな。まあ、アキラめろ」
「……それはひょっとして、ギャグでいってんのか?」
 アキラはぷるぷる肩を震わせて、黄金布団をひっくり返した。
「おめえ、さわやかに笑ってんじゃねーよ。ちょっとドキッとしちまったじゃんか!」 
 アキラは開き直って暴れ出す。
「こうなったら、ドサクサにまぎれて本編で俺も後継者争いに殴りこんでやるわ! ていうか、ようつべ見たぞコノヤロー。かわいい声で驚いたわ。絵もうまいし文章もうまいし、無敵か! おまいわ!(原文ママ)」
 一通り騒いでスッキリしたのか、アキラは貞継を初詣に連れ出した。
「ほんじゃーいくか」
 扶桑の下でゴザを敷き、酒を飲む。
「おめーも頑張ったしな。ゆっくり休んだらいいさ。でも、前にも言ったけど、俺は後見人にはならんからな。必ず戻って来い……」
 アキラは貞継を真っ直ぐに見つめた。
「それまでは、後見人の『フリ』くらいならやってやらあ。その為にイルミンに帰るの先延ばしにしてやってんだから、覚悟しろよ?」
「……ああ」
 貞継が扶桑を見上げる。
 扶桑の桜は『あのとき』のままだ。
 美しいが儚げで、いつ咲くとも散るとも知れない。
「咲かせて見せるさ。誰も犠牲にさせずに、きれーな桜をな……」
 アキラは扶桑と貞継の前で誓いを立てる。
「ま、何言ってんだかわかんねえんなら、気にしないでくれ。独り言だ」
 アキラは酒瓶を手に取る。
 貞継はアキラの手酌を奪いとると、杯に酒を注いでやった。
「おかげでこうして生きている。『あのとき』礼をいえなかった分、今日は注がせてくれ」

 うたかたの 夢の桜の マホロバに 我は誓わん 秘めし決意を

「アキラお前、歌を読むのか、知らなかった。いい歌だな」
「き、今日は特別だかんな! 勘違いすんじゃねーぞ!」
 アキラがぐいと盃をあおる。
 二人は桜の下で心行くまで飲み明かしていた。