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【なななにおまかせ☆】スパ施設を救う法

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【なななにおまかせ☆】スパ施設を救う法

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「で、何するの?」
 ルカルカ・ルー(るかるか・るー)に連れられて来たなななが尋ねる。
「ルカはね、広報を担当しようと思って。やっぱり知名度をあげた方がいいかなってね……で、だ。モデルにならないかい?」
「え!? なななが!?」
「そうそう。女の子のモデルが居れば華やかだからね。『秘湯に浸かって宇宙刑事と握手!』なんてキャッチコピーはどう?」
「うーん……どうしようかなー……」
「あ、カメラマンの腕は保証付きだよ。ね、アコ?」
 ルカルカの言葉に、ルカ・アコーディング(るか・あこーでぃんぐ)が自身ありげにカメラを見せる。
「じゃ、試しに……いいよいいよーいいよいいよーもっとよくしてみようかー一枚脱いでみようかー」
「はいっ!」
 ばさっと、パーカーを脱ぎ捨てる。
「あーぐっと良くなったよーでももっと良くなるんじゃないかなー? もう一枚脱いでみようかー?」
「はいっ!」
 ぐいっと水着に手を――
「って待ったぁ! それ脱いだら裸だから!」
かけたところでなななが慌てて止めに入る。
「……はっ! のせられてしまった……アコ、恐ろしい子!」
 どこぞの劇画タッチな表情でルカルカが言う。
「とまぁこんな感じで。どう?」
「うん、やめとけって宇宙から指令が来たからやめておくよ」
「ちぇ、つれないなー」
 なななの言葉に、ルカが残念そうに言う。
「それじゃ、別の話だね」
「別の話?」
「そう。何でも可愛すぎる落語家が寄席やるために来てるって話だからね。その取材に行こうか」

――スパ施設、空いている部屋を急遽作った控え室。
 中では現在若松 未散(わかまつ・みちる)が、リハーサルを行なっていた。
「――といった所で、お後がよろしいようで……」
 深々と頭を下げ、話を締める。
「ふむ、腕をあげたかな。間の取り方とか良かったんじゃない?」
 神楽 統(かぐら・おさむ)が頷きながら言う。その姿は何処か満足げだった。
「あ、ありがとうございます。そう言って貰えると自身がつきます」
「うん、良かったよみっちゃん」
 ぱちぱちと、会津 サトミ(あいづ・さとみ)が手を叩く。
「サトミンもありがとう」
「良かったですぞ、未散君!」
 ハル・オールストローム(はる・おーるすとろーむ)が大げさなまでに大きく手を叩く。
「ハル、お前うっさい」
「わたくしだけ反応が違いすぎますぞ」
「うっさい。大体お前センスないのにわかるのかよ……ま、まぁ礼くらいは言ってやるけどさ」
「素直じゃないねぇ」
 未散とハルを眺めてニヤニヤと統が言う。
「……ハル、死ねばいいのに」
 主にハルを睨みつけてサトミが忌々しげに吐き捨てる。未散に聞こえないくらい小さい声で。
「所で神楽さん」
「ん? 何だ未散」
「あの、スパ支援で客寄せの為に落語をやるのはいいんですが……この格好はやっぱり恥ずかしいですよ」
 そう言って未散は恥ずかしそうに自分の身体を見回す。
 彼女が今着ているのは、普段高座に上がる時用の着物ではなく水着。それもビキニだ。
「いいじゃん。ここ水着着用が原則なんだし。客の反応もいいんじゃない?」
 ニヤニヤと嫌らしい笑みを浮かべながら統が言う。
「反応、ねぇ……」
 再度、自分の身体を見る。一言で言えば貧しい。更に言うならぺったんこ。良く言ってロリ体型。
「これで喜ぶとは思えませんが」
「何を言う。需要はあるぜ? 一部の人に」
 なぁ一部の人、と統がハルとサトミに振る。
「みっちゃん、可愛いよ。誰にも見せたくないくらい」
「サトミン、ありがと……お世辞でも嬉しいよ」
 本心なんだけど、とサトミが呟く。
「未散君は可愛いですぞ!」
「黙れ変態」
 その言葉にハルが快楽から悶え、更に未散がドン引きする。
「とまぁ、需要があるってわかっただろ?」
「……わかりました」
 未散が溜息を吐く。何を言っても無駄なのだこの場合。
 その時、控え室のドアが叩かれた。
「どもー取材に来ました広報でーす」
「カメラマンでーす」
「その付き添いだよー」
そして返事も待たずにルカルカ、ルカ、なななが控え室に入ってきた。
「し、取材!?」
「ああ、受けておいた」
「また勝手な事を……はいはい、取材でもなんでも受けますよ」
 最早諦め切った顔で未散が言った。
「それじゃ今日はよろしくー。写真とか撮らせてもらいますよー」
「はいはい、どうぞどうぞ」
 ルカルカの言葉に投げやりに答える未散。その表情にルカがカメラを向けた。
「ちょっと待った」
 そこで、統がルカを止める。
「はい、何かな?」
「いや、可愛い姿もいいけど、色気も欲しくね?」
「あー欲しい欲しい」
 ルカルカが頷く。
「色気なんてどうすりゃいいんですか」
「ん? 鬼神力使えばよくね?」
「何言ってるんだ。僕は反対だね。みっちゃんが嫌がるじゃないか」
「本心は?」
「汚れた豚野郎共にみっちゃんのセクシーな姿なんぞ見せてたまるかぁッ!」
 会津サトミ、心の底からの叫びであった。
「……あんたはどうなのよ」
「まあ、見たいですぞ。鬼神力を使った未散君は綺麗ですからなぁ」
「……ふん、わかったよ」
 そう言うと未散は立ち上がり、【鬼神力】を使う。
 力により未散の身体が全体的に大きくなっていき、実年齢に近くなる。
――所で、今未散が着ている水着はロリ体型に合わせた物である。
 それが、鬼神力で体が大きくなるとどうなるかというと、
「「「「あ」」」」」
まあ、思いっきり破けるのは当然である。
「み、未散君!」
 中でいち早く反応したのはハルだった。未散の身体を隠そうと駆け寄る。
「わ! バカ来るな……うわっ!」
「だ、大丈夫……ん? 何ですかこの柔らかいものは?」
「お、お前どこ触ってるんだこの助平がぁ!」
「ごぶぅ! な、何故殴るので……ま、まさかこれは未散君の胸……」
「気づくんじゃねぇ! 忘れろ! 忘れろ!」
 顔を真っ赤にし、半分涙目になりつつハルを殴り続ける未散。
「お約束ですね」
「ま、こういう時にお約束は付き物だろ?」
「ですよねー」
 その様子を眺めていた統の言葉にルカルカが頷く。
「そこの人」
 サトミがルカに話しかける。鼻血を垂らしながら。
「はいはい、何?」
「……今の、撮った?」
「ばっちし」
 ルカが超いい笑顔でサムズアップ。
「言い値で買う。後で詳しく話そう。僕はこれからあの野郎を殺……ブチ殺さなくちゃならないから
 そう言うサトミの背後に、鬼が宿っていた。殺る気満々だ。
「……なんで誰も止めないんだろうなー」
「そういうなななだって止めに入らないじゃん」
「うん、やめとけって宇宙から指令が来ているからね」
 最早取材など出来なくなったこの場で、ななな達はこの光景を眺めていた。