葦原明倫館

リアクション

４



「チェロだね。――それからサックスにオーボエ――ピアノなら……ドファドドシラミソドレファ」
　神奈川県横須賀市浦賀。
　小旅行へとやってきた五月葉　終夏（さつきば・おりが）が、響いてくる音色に耳を澄ませ、幼馴染みのスウェル・アルト（すうぇる・あると）を一瞥した。丁度、先程まで鳴っていた『魔笛』が止み、この国由来の映画の荘厳な曲が響き始めた所だった。
　楽譜を諳んじた終夏は、後ろで束ねた薄茶色の髪を風に揺らしながら、聞こえくる音色に耳を傾ける。
　横須賀は歴史的にも、ペリー来航・２０１０年代に至った後までの米軍及び海上自衛隊のベースとしても名高く、カレーなども有名な、名実ともに海軍の街である。続いて響いてきた海賊映画の主題歌を耳にしながら、終夏が静かに目を開く。
　終夏は、ドイツ人の父と日本人の母を持つヴァイオリン奏者であり、イルミンスール魔法学校で学びながらも、『音楽で世の中は救える』と考えており、その内魔法を手放すつもりでいるのだ。
「さっきの歌、知ってる」
　スウェルが赤い瞳を揺らしながら応えると、終夏が微笑した。
　響いてくる多くの曲は、海軍の街であるから、音楽隊が演奏をしているのかも知れない。
「スーは、マグロを食べた事がないんだよね？」
　終夏の問いに無言で頷いたスウェルは、一人考えていた。
　――料理を作れるように、なれれば、皆に、喜んで貰える？
　スウェルは、いつか紳撰組の者達や友達に、美味しい料理を振る舞えるようになりたいと考えていたのだ。その他には、まず実際に食する事が第一歩である。また幼馴染みと一時の休暇を過ごす事も楽しいはずだ。そうした理由から彼女は、終夏と一緒に、マグロ丼を食べに来たのである。
「良い席空いているかな」
　穏やかに笑って見せた終夏は、きっとスウェルが戻ってきた友人である鬼城　貞継らの事を考えているのだろうと思いながら、穏やかな海を見据えたのだった。

　その後ろを四人組が通っていく。

「何か今年の三崎の鮪はアツいらしいな！　よっしゃ！　マグロ丼食べに行くドン！」
　なんだか語尾がおかしな事になっている日下部　社（くさかべ・やしろ）に肩を叩かれ、白砂　司（しらすな・つかさ）が溜息をつきながら、艶っぽい眼鏡のフレームを押し上げた。
　二人は、社がイルミンスール魔法学校に所属していた時期からの腐れ縁である。
　社は、過剰に気楽な人柄で、過剰に気難しいと自負している司とは相性があまり良くない……はずなのだが、お互いそれなりに意向も汲みあって信頼しあう間柄だった。少なくとも司はそのつもりである。多分。
　――とはいえ、合わせて『鮪ド〜ン！』などとは言ってやらん。
「はぅ〜☆　マグロ丼食べたいですぅ〜☆」
　その時、クマ系のゆる族である望月　寺美（もちづき・てらみ）が巨大ハリセンを手にしながらそう口にすると、サクラコ・カーディ（さくらこ・かーでぃ）が頷いた。
「なんだか、司君はつまんないこと気にしてますが、私は猫ですよ、猫。マグロを食べにきました。猫はマグロを食べるものです。食べて何がおかしいと言うのでしょう！」
　寺美とサクラコのその声に、社が喉で笑う。
「でも猫ちゃんはともかく、寺美には鮭がお似合いやな！　鮭銜えときゃええねん」
　体を折り曲げて、頬をくしゃりと楽しげに歪めて笑う社に対し、寺美が唇を尖らせる。
「って！　社！　誰が鮪より鮭が似合うんですかぁ〜！」
「だって熊やん」
　続いた社の言葉に、寺美が険しい顔をした。
「何度も言っているようにボクは熊じゃないんですぅ〜！　ボ・ク・は世界のマスコット！　『望月寺美』なんですぅ〜☆」
　――キラ〜ン☆
　背後にそんな特殊効果の演出と音が出そうな程の愛らしさで、寺美は返した――☆☆☆
「太るぞ」
　司が言うと、サクラコがふくれてみせる。
「誰ですか、『太るぞ』とか言ったのは！」
「――いい加減にしろ、さっさと行くぞ」
　精悍な面立ちながらも、些か目付きの悪い司のひと睨みで、一同は歩みを再開したのだった。


　早朝の競りが終わり、水揚げされた第一陣が各店舗へと卸されていく頃。
　三浦半島に生家を持つ月美　あゆみ（つきみ・あゆみ）は、パラミタの地で知り合った友人の帰省を見送る為に、そして途中で名産のマグロを食して貰うという意図も持ち、橘　舞（たちばな・まい）達を伴って浦賀湾沖へと訪れていた。
　あゆみの生家である月美家が経営する月美水産は、この界隈では名の知れた水産業者である。新鮮な魚介類を卸す事は勿論、細部まで行き届いた品質管理にも定評があった。
　実家が京都にある舞と、そのパートナーであるブリジット・パウエル（ぶりじっと・ぱうえる）、そして金　仙姫（きむ・そに）は、夏の帰省ついでに、この漁港へと立ち寄ったのである。
「お嬢様、お帰りになったんですか！？」
　あゆみの顔を知っている幾人かが歩み寄る。
　あはは、と、脳天気そうな微笑で両手を広げたあゆみの隣で、彼女のパートナーであるミディア・ミル（みでぃあ・みる）が首を捻った。
　ネコの獣人であるミディアが頬を掻く。
「にゃにゃにゃにゃ」
「なにか不吉な予感が致します」
　もう一人のパートナーであるヒルデガルト・フォンビンゲン（ひるでがるど・ふぉんびんげん）が、透き通るような良い声で静かに述べたのだったが、帰郷を喜ぶ人々は耳を貸さない。
「お嬢様、それにお嬢様のご学友――ぜひ、美味しいマグロを召し上がって下さい」
　漁師の一人のその声に、ふとあゆみは思い立ったように舞を見た。
「そうだ今からあゆみ、マグロを下ろすから、食べていって」
「マグロ？」
　金色の美しい髪を揺らしながら、ブリジットが首を傾げる。
「さぞかし美味なのであろうな」
　仙姫が頬を持ち上げると、穏やかに舞もまた笑った。
「頂戴しますわ」
　こうして月美水産の令嬢による、マグロ解体ショーが始まったのだった。


　それを遠巻きに見ながら、ロア・ドゥーエ（ろあ・どぅーえ）は赤い短髪をかきあげていた。
　ロアは、幼い頃何者かにパラミタに連れて来られた為、地球の事があまり分からないのである。
「マグロかあ。食べたことないんだよな。マグロだけじゃなくて、地球の味自体」
　呟いたロアの隣で、レヴィシュタール・グランマイア（れびしゅたーる・ぐらんまいあ）が腕を組んだ。
　――食い物に関するロアの意欲は異常だ。この暑い時期に何故わざわざ地球くんだりまで行かねばならんのだ。
　レヴィシュタールはそんな事を考えながら、長い黒髪の奧にのぞく赤い瞳を瞬かせた。
　そんな二人の様子を一瞥しながら、氷の性質が強く、暑さで体力低下中のグラキエス・エンドロア（ぐらきえす・えんどろあ）は溜息をついた。端正な面立ちのグラキエスは、ロアから今回『地球で魚人狩りをするから来ないか』というメールを貰った為、この地へ来たのである。
　しかし、今のところ海に異常は見えない。
　――来なければ良かったかも知れない。
　そんな事を思いながらグラキエスは、ゴルガイス・アラバンディット（ごるがいす・あらばんでぃっと）を見た。

「なるほど、ロア殿がまた何か美味そうな食材を狩に行くのだな？」

　しかしこのように言ってついてきたゴルガイスはといえば、魚人狩りが終わったら、久々に海釣りを楽しむのも良いかも知れん――などと考えながら、地球に行くと言い出したグラキエスにつきしたがってきたのだった。

　魚人。

　それは、今のところは未だ、姿を現してはいなかった。
　だがすぐにそれは現実の恐怖へと取って代わる。時間の問題だった。

　そんなことはつゆしらず、吸血鬼であるベルテハイト・ブルートシュタイン（べるてはいと・ぶるーとしゅたいん）は赤い瞳に穏やかな色を浮かべていたのだった。
　――グラキエスはロアの誘いでまたどこかに出かけるようだ。私たち以外とはあまり深く付き合おうとしないからな……ロアが積極的に関わってきてくれるのはありがたい事だ。
　ベルテハイトにしてみれば、体の事を考えるに、夏の海はあまり有難くない場所ではある。だが、体調がいいことも幸いし、かつベルテハイトもゴルガイスも回復手段を持っている為、大丈夫だろうと踏んだのである。
「楽しい夏の一時が訪れればいいのだが」
　青い髪を揺らしながら呟いた彼の声は、潮騒の中へと紛れていった。


　その頃、パラミタで七夕　笹飾りくん（たなばた・ささかざりくん）へ飾られた短冊を目にした、七瀬　歩（ななせ・あゆむ）と桐生　円（きりゅう・まどか）達は、浦賀港へと訪れていた。
　円のパートナーであるオリヴィア・レベンクロン（おりう゛ぃあ・れべんくろん）とミネルバ・ヴァーリイ（みねるば・う゛ぁーりい）が、一歩後ろから、眩しそうに海を眺めている。
　そんな彼女達を目にしながら、伊東　武明（いとう・たけあき）が呟いた。
「ふむ、コウ殿が言うには凶兆とのこと……。あの時代とはまた違う脅威があると考えておいた方が良いかもしれませんね」
　武明のその声に、一同が振り返る。
　彼は、伊東甲子太郎の英霊だ。
　歩が困ったように頬へと手を寄せた。すると武明が続ける。
「波風のあらき世なればいかにせん……さて、どうしましょうか」

　一同が見渡す海には、『らぶりーえんじぇる号』の陰影が、はっきりと見て取れた。

　『らぶりーえんじぇる号』に乗船しているのは、ルカルカ・ルー（るかるか・るー）と朝霧　垂（あさぎり・しづり）、そして彼女達のパートナーだ。
　近づいてきた浦賀湾を見据えて、夜霧　朔（よぎり・さく）と朝霧　栞（あさぎり・しおり）が顔を見合わせる。
　ただ一人、ライゼ・エンブ（らいぜ・えんぶ）だけが楽しそうに、八重歯をのぞかせて笑っていた。
　その後ろには、ダリル・ガイザック（だりる・がいざっく）とカルキノス・シュトロエンデ（かるきのす・しゅとろえんで）、そして夏侯　淵（かこう・えん）の姿がある。この船の船長は、淵だ。彼は、ポニーテールにした赤い髪を揺らしながら、ただ静かに海を見守っている。

　その頃彼女達の後ろを、一隻の別の黒船が通り過ぎていった。

　乗船していたのは、リアトリス・ブルーウォーター（りあとりす・ぶるーうぉーたー）と桜葉　忍（さくらば・しのぶ）らである。
　まだ戦いの起こっていない穏やかな海を見据えながら、織田　信長（おだ・のぶなが）が体を伸ばした。
「昔を思い出すのぅ〜」
　その隣で、森　乱丸（もり・らんまる）がその仕草に視線を向ける。
「このお乱、信長様にどこまでもついてゆきます！」
　そんな二人のやりとりを見守りながら、陽桜　小十郎（ひざくら・こじゅうろう）が腕を組む。
「何もなければ良いのじゃがのう」
　あるいはこの小十郎の言葉もまた、一時の夏の動乱の契機であったのかも知れない。


　それから日は高く昇った。
「え〜！　マグロないの〜？」
　ファル・サラーム（ふぁる・さらーむ）が涙混じりといった風情の声を上げると、共に地球へと訪れた皆が視線を向ける。夢見がちな性格をした赤い瞳のドラゴニュートの言葉に、同じ種族のブルーズ・アッシュワース（ぶるーず・あっしゅわーす）が腕を組む。彼は彼で、鮪が無いという悲報に意気消沈していたのだった。
「せめてものおかずを釣るとしようか」
　ブルーズのその声に、気を取り直すようにファルが頷いた。
「ないものはしょうがないもんね。でもちょっとがっかり――だけど、代わりの魚を調達しにブルーズさんと一緒に釣りに行くよ」
　こうして二人のドラゴニュートが釣りに出かける姿を、それぞれのパートナーは見守っていた。ファルのパートナーである早川　呼雪（はやかわ・こゆき）は、短い黒髪を揺らしながら、襟元へと手を添える。旅先の風景をのんびりと楽しもうと思っていた彼は、ラフな開襟シャツの首筋に手を宛がいながら、ジーンズ姿で海を眺めていた。もう一人のパートナーであるヘル・ラージャ（へる・らーじゃ）はといえば、派手な出で立ちで、夏に良く映える褐色の肌の上、サングラスを持ち上げている。両側に流れる金色の髪が美しい。
「ファル達が釣りから帰ってきた時の為に、カレーの下ごしらえをしておこうぜ」
　ごく一般的な市販のカレールーの箱を手に取りながら呼雪が呟く。すると、バカップルよろしくヘルが呼雪の首元に抱きついた。
「あそこの定食屋さんに、厨房を借りる許可を貰おう」
　冷静な呼雪に反し、カレーに入れる林檎よりも蜂蜜よりも甘美で、魅力的なパートナーの肢体を懸想しながらヘルが微笑む。アロハシャツを纏った彼はさながら、日本に観光で上陸した異国の者のような雰囲気を醸し出していた。
「それよりも僕は、君を――」
　続けようとしたヘルの言葉を、その時電子音が遮った。
『ポッ○は、アジに進化しました』
　鳴り響いたポケモ○ンの進化時に似た音は、黒崎　天音（くろさき・あまね）が、携帯アプリに改造したシューティング（？）ゲームの機能により発せられたものだった。
「……」
　何か言いたげなヘルの眼差しには気付かぬそぶりで、天音は満面の笑みを浮かべる。
「僕はファルとブルーズの所へ行ってくるよ」
「――嗚呼、こっちはあそこの小料理屋で厨房を借りてくる」
　返答した呼雪が見守る前で、天音は海の方へと歩き出したのだった。

　その頃。

　ファル・サラーム（ふぁる・さらーむ）とブルーズ・アッシュワース（ぶるーず・あっしゅわーす）は、釣り上げた魚を見て唖然としていたのだった。
　麦わら帽子にパーカー着用したファルは、赤い瞳を瞬かせながら、釣り上げたマグロ（？）を凝視し、瞬いている。

　ここに至るまでは、二人の間で、実に穏和な会話が交わされていた。
　釣り糸を垂らし獲物を待つ間、ファルはこれまでの事を回想していたものだ。
　海に出っ張った、釣りに良さそうな場所で二人、肩を並べて釣り糸を垂れるものの、ウキはなかなか動かない。
　そんな中で、普段は無口なブルーズがおずおずと口を開いた。
「先日のタシガン式血闘いはなかなか面白かったな」
「凄かったよねぇ！　ボク、ドキドキしちゃった！」
　懐かしむような表情のブルーズに対し、ファルが拳を握る。すると回想するように、ブルーズが肩をすくめた。
「お前を描いたカードの効果」
「えっ、ボクのカード？」
　きょとんとしたファルには構わず、ブルーズがポケットを探る。
　そして愉悦混じりに喉で笑って見せたブルーズは、ふと思い出したように、飴を取り出した。
「そういえば……」
「ん」
　ファルの口へと飴が入る。
　――食いしん坊はそのまんまだったけど、ちょっと恥ずかしいなぁ……。
　そんな風に思いながらも、ファルは、飴を貰ってご機嫌な様子だ。

　まさにその時の事だった。

　二人の正面にあった穏やかな海が、目の前の海面が、泡立った。
　――なんだ？
　ブルーズが思わず覗き込む。
　現れたのは、マグロだった。
　――……ただし手足の映えた鮪だ。
「気持ち悪〜い！」
　ファルは叫んだのとのほぼ同時に、悲鳴を上げた。
「「キャーッ！」」
　二人のドラゴニュートは、思わず抱き合う。
　手足が生えた不気味なマグロの姿。
　それを目にしてしまった彼ら。

　これが、そうこれが、人々と魚人との戦さの始まりだったのである。


「海にすむ魚は、足が生えてるのが基本なのか！？」
　フランツ・シューベルト（ふらんつ・しゅーべると）の問いに、浦賀湾で海を見守っていた大久保　泰輔（おおくぼ・たいすけ）は言葉を失った。そうではあったが、彼はかろうじて、作り笑いを浮かべている。優しそうな目をした泰輔は、どうしたものかと思案しながら、レイチェル・ロートランド（れいちぇる・ろーとらんと）と讃岐院　顕仁（さぬきいん・あきひと）を交互に見た。泰輔自身は、ただただフランツに美味しい鮮魚を食させたいと思ってここへと来たのである。
「この日のために……ではないけれども、バイトの必要があって取得したマグロ解体師の資格を、十二分に今日は活かします」
「いや、解体にいかしている場合じゃないだろうが、どう考えても！」
　普段の丁寧な『です、ます』口調を凌駕してしまう程の同様っぷりを発揮したフランツは、険しい眼差しで、海を見据えた。
「早く何とかしないと」
　その声に、レイチェルが勇敢さの滲む赤い瞳をスッと細める。
「地上の人々のパラミタへの思いを裏切る事は出来ませんね」
　嘗て辛い思いを経験したレイチェルの声には重みがあった。
　一方顕仁はといえば、妖艶な黄色系の瞳を瞬かせているのだった。
「マグロか。近世になってから食卓に上がるようになった魚で、どちらかといえば我の好みではないが、めいん・でぃっしゅがそれになるのであれば、入手に協力せねばな」


「なんだか港が騒がしいな」
　まだ周知されていない港での出来事をいち早く、その勘から察知した戦部　小次郎（いくさべ・こじろう）が海へと視線を向ける。オールバックにした彼の黒髪が、潮風に揺らされていた。
「小次郎さんの後ろは私が護ります！」
　その傍らで、リース・バーロット（りーす・ばーろっと）が静かに呟く。
　もっとも彼女の言葉は、口にしなくとも、しっかりと小次郎の胸へと伝わっただろう。
それだけの絆が、そこにはあった。


　そんな彼らと騒がしい黒船の間を、秋月　葵（あきづき・あおい）とイングリット・ローゼンベルグ（いんぐりっと・ろーぜんべるぐ）乗ったシャイニングスター号、そして周瑜　公瑾（しゅうゆ・こうきん）の乗ったポーハタン号が通り過ぎていく。
　その正面、別の船では、佐々木　弥十郎（ささき・やじゅうろう）と佐々木　八雲（ささき・やくも）が海を見守っていた。
　彼らの界隈には、湯島　茜（ゆしま・あかね）とエミリー・グラフトン（えみりー・ぐらふとん）の黒船の姿もある。