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リアクション
生身同士の勝負用に作られた会場。そこに集まったのは御凪 真人(みなぎ・まこと)、セルファ・オルドリン(せるふぁ・おるどりん)、アイシス・ウォーベック(あいしす・うぉーべっく)、九條院 マリア(沢渡 真言(さわたり・まこと))、ガレス、(沢渡 隆寛(さわたり・りゅうかん))、辿楼院 時雨(辿楼院 刹那(てんろういん・せつな))、ダヴィデ・アマネセル(五百蔵 東雲(いよろい・しののめ))、パトリシアの面々。
ことの発端はマリアの『わたくしと正々堂々勝負してくださいませ!』というパトリシアへの宣戦布告。近くで聞いていたセルファがその話に乗り、同じく時雨も乗り、パトリシアに頼まれ、女の子の頼みならとダヴィデが参戦し、三対三でやることになった。
「交流戦ということで、お互い楽しくやってください。ただ、設備の破壊だけはなるべくしないでくださいね」
「ある程度の怪我なら私達が治療してあげるから、思いっきり楽しみなさい」
二人が隅へと下がる。
「セルファさん、よろしくお願いいたしますわ」
「精一杯やらせていただきますよ」
「こちらこそ、よろしく。あなた達の力、見せてもらうわ」
チームは、セルファ、マリア&ガレス対パトリシア、時雨、ダヴィデ。
「二人ともよろしく!」
「うん! 任せてよ!」
「お任せくださいお嬢さん。頼まれたからには思う存分やらせてもらいますよ」
「それでは、始め!」
真人の合図と共に、動いたのは時雨。小さな身なりでサイスと呼ばれる大鎌を軽々と持ち、一気に間合いを詰める。
「先手必勝!」
「っと、甘いわね」
それに対応したのはセルファ。振り回されたサイスを剣で軽々と受け流す。
「ありゃりゃ、ざんねん」
防がれたと分かるとすぐさま後退し、誰にも気づかれぬ内に次の行動に入る。
「さてと、お手並み拝見と行こうかな」
セルファはヴァルキリーの飛行能力を使い空へ。
「……いきますわよ」
マリアは禁じられた言葉で魔力を引き上げ、歴戦の魔術による強力な無属性の魔法弾をパトリシア向けて放つ。
「そうこなくっちゃね!」
パトリシアも魔導書を開く。
「まずは小手調べと行くわよ!」
サンダーブラストを飛んでくる魔法弾向けて、相殺させる。
「……やりますわね」
「力を上げているわね、マリア!」
「もちろんですわ。あなたに勝つため、日々努力してるのですから!」
「おっと、俺を忘れてもらっては困るな。お嬢さん方!」
魔法が相殺し、消滅したところからダヴィデがマリア向けて、突撃。
「あまり怪我はさせたくはないけれど、模擬戦だからね。手加減なしで行くよ!」
「ガレス!」
「心得ていますよ」
マリアの掛け声と共にマリアの陰からガレスが飛び出す。
「おや、護衛がいたとは」
ダヴィデの振り下ろす大剣を剣で弾き返すガレス。
「お嬢様には指一本触れさせませんよ」
「これは一筋縄ではいかないね」
一旦、距離を置いて様子を見るダヴィデ。
「よし、そのまま援護お願い――」
「させないよ!」
詠唱を始めようとしたパトリシアに対し、空から強襲をかけるセルファ。
「うそ……!?」
前ばかりに気を取られ、空からの奇襲を予測していなかったパトリシア。反応が遅れる。
「任せてよ!」
だが、セルファとパトリシアの間に割って入ったのは、気づかれず行動していた時雨。セルファの攻撃をブロック。
「やるわね」
「このぐらいお手の物だよ! それ、お返しだよ!」
セルファの剣を流し、そのまま、サイスを振るう。セルファは後ろに飛び回避。
「良いわね。その調子よ」
再び、空へ飛ぶセルファ。
「させるか!」
パトリシアが天のいかづちをセルファに放つ。
「この程度、まだまだ!」
稲妻の合間を縫うように回避していく。
「やっぱり当たってくれないか……!」
「こちらがお留守ですわ!」
パトリシアに翻弄されるセルファ。その間に、マリアが魔法弾を乱射する。
「やってくれるじゃない……!」
すぐさま、バニッシュの光弾を乱射。魔法弾同士がぶつかり、小さな爆発がいくつも発生する。
「そこです!」
その爆発によって起きた煙の中を掻い潜り、パトリシアに渾身の突きを繰り出すガレス。
「くっ!」
反射的に反応したダヴィデが刀身にうまく剣先を当て、剣の進行方向をずらしパトリシアへの攻撃を防ぐ。
「まさか、この攻撃に反応できるとは……」
「ギリギリ……だったけどね」
奇襲の失敗した、ガレスは反撃に備え距離をとる。
「待ってたよ」
その距離をとったガレスの後ろには時雨。
「いつの間に……!」
「ガレス!」
サイスを振り上げている時雨、目掛け歴戦の魔術による魔法弾を放つ。
「おっとっと!」
すぐさま時雨は回避、ガレスもバックステップし魔法弾を回避。
「いま!」
「間に合え……!」
「行かせないわよ!」
つかさずダヴィデがガレスと間合いを詰める。それを見ていたセルファが救援に向かうがパトリシアが天のいかづちで進行を妨害。
「まだ……!」
一振り、二振りとガレスは紙一重でダヴィデの剣撃を防ぐ
「これで、終わり!」
三振り目でついに持っている剣を弾き飛ばされる。そして、剣をガレスの喉元へ。
「……これは私の負けですね」
両手をあげ、降参の意を示すガレス。
「お見事でした。お嬢様、申し訳ありません。後は頑張ってください」
「えぇ、分かっていますわ」
すぐさま、ガレスは退場し真人達の元へ移動する。
「二対三……。かなり不利ですわね……」
「まだ、諦めちゃダメよ」
「えぇ、諦めてなんていませんわ……! この程度の逆境、覆してみせますわ!」
「その意気よ。私が前に出る。援護お願いね!」
「心得ましたわ」
セルファが前に出る。
「真正面から……受けて立つよ!」
それに対し、ダヴィデが真正面で受けて立つ。
「甘いですわ!」
空飛ぶ魔法↑↑で空を飛ぶマリアが火術を連続で放つ。
「空から……!?」
空から降り注ぐ火に、セルファから一瞬視線を外すダヴィデ。
「一瞬の油断が命取りよ!」
その一瞬を突き、セルファがダヴィデに向けて剣を振り下ろす。
「まずい……っ!」
「くらえっ!」
そのセルファにパトリシアが雷術を放つ。
「吹き飛びなさい!」
飛んでくる雷に対し、セルファが取った行動はダヴィデを力に任せて吹き飛ばすこと。吹き飛ばした方向にはパトリシアの雷。
「なんと……!」
そして、雷はダヴィデに直撃。
「あばばばばばっ!!」
感電するダヴィデ。
「あっ、ごめん……!」
「ふ、ふふ。お嬢さんの攻撃なら……。本望、さ……」
そのまま、倒れるダヴィデ。
「よっと」
すぐさま、ダヴィデを担ぎ、隅へ避ける真人。
「次!」
セルファはそのままパトリシアの元へ。
「行かせないよ!」
その前に、立ちはだかるのは時雨。
「はっ!」
「よっと、それ!」
セルファの剣撃を紙一重でかわし、その隙を狙いサイスを振るう時雨。それを受け流し、剣を振るうセルファ。お互いに一進一退の攻防を繰り広げる。
「援護を――」
「させると思っていたのかしら?」
時雨に魔法を放とうとするマリア。そこにパトリシアのサンダーブラストがマリアを狙う。
「さぁ、あなたの相手は私よ」
「受けて立ちますわ!」
こちらではマリア、パトリシアによる魔法合戦が開始された。
「はっ!」
空を飛び火術や歴戦の魔術による魔法を連射するマリア。
「この程度!」
その魔法をサンダーブラストやバニッシュで精確に相殺させるパトリシア。
「これで……」
パトリシアが光術でマリアの眼前に光の球を発生させ、眩い閃光を発する。
「終わりよ!」
目潰し状態のマリア向けて、サンダーブラストを放つ。
「きゃあぁぁ!」
避けられるわけもなく、直撃するマリア。
「お嬢様!」
ふらふらと落ちていくマリアを見てすぐ駆けつけ、受け止めるガレス。
未だ、一進一退の攻防をセルファと時雨。
「むむ、厳しいかなぁ……」
少しずつだが時雨が押され始めている。
「ここまで出来るなんて驚いたよ!」
セルファの横凪ぎを避け、一度距離をとる時雨。
「次で決着をつけてあげる!」
そこから転進し、一気に間合いを詰める時雨。
「来なさい!」
迎え撃つセルファ。
「……とう!」
セルファの眼前で、飛んだ時雨。
「えっ!?」
驚くセルファ。時雨はくるくると回ってセルファの後ろへ着地。振り向きざまにサイスを振るう。
「このっ!」
同じように振り向きざまに剣を振るうセルファ。
鈍い音と共に空に舞う二つの武器。
「相打ち……?」
「みたいね……」
「援護……はいらないみたいね」
「どうやら私たちの負け……みたいね」
「いたたた……まだ痺れているみたいだ」
「直撃したんだもの、でも、この程度で済んでよかったわね」
アイシスがダヴィデの治療をする。
「よし、終わり。次はそっちの子ね。体調は平気かしら?」
「えぇ、この程度平気ですわ。さすが、パトリシアさんですわね……」
「いやいや、私一人じゃ勝てなかったわよ。二人の協力があってこそよ。ありがとね」
「お役に立てたようで何より」
「うん。私も楽しかったから!」
「人間なんて、一人で出来ることなんて限られていますからね。今回の模擬戦は良い教訓になったのではないでしょうか」
「そうね。良い教訓になったわ」
「良い試合だったわ。でも、向こうでの危険はこんなものじゃないわ。鍛錬を怠らないようにね」
「そうね。それと、マリア。また勝負してくれないかしら?」
「わたくし……ですか?」
「えぇ。あなたとは良い勝負が出来たもの、お互いに切磋琢磨出来るし。お互いに魔法を使うもの同士だもの、アドバイスし合えるしね。どうかしら?」
「もちろんですわ」
「よし、決まり! これからよろしくね!」
「こちらこそよろしくお願いいたしますわ」
「はい、治療終わり。どうかしら?」
「あ、ありがとうございます。楽になりましたわ」
「それは良かった。それと、せっかくだからあなた達について教えてくれないかしら?」
「もちろん、構わないわよ」
治療を終えた面々は、そのまま。お互いの事について楽しく雑談を始めたのだった。
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