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リアクション
「…………」
一人、きょろきょろしながら校舎内を歩くテレサ。
「こ、ここはどこでしょう……?」
どうやら道に迷ったらしい。
「そこの可愛いお嬢さん」
「ふぇ? わ、わたし、ですか?」
急に声をかけられてビクッと肩をすくめるテレサ。そして、声をかけたのは柚木 桂輔(ゆずき・けいすけ)。
「そうそう、可愛いキミさ」
「可愛いだなんて……、その、ありがとうございます」
顔を赤くしつつ、一礼するテレサ。
「ところで、一人でどうしたんだい?」
「実は、校舎を見てまわっていたのですが、気づいたら迷ってしまっていて……」
「そうだったんだ。良かったら道案内しようか?」
「あ、本当ですか?」
「と、言っても俺もそこまで詳しいわけじゃないからね。知っている場所までということになるけど」
「い、いえ。それでも助かります!」
「よし、じゃあ決まり。俺は柚木桂輔。よろしく!」
「わ、わたしは聖カテリーナアカデミーのテレサと言います。よ、よろしく、お願いします」
「テレサちゃんだね。よろしくね。それじゃ行こうか」
「はい」
桂輔の案内で校内を歩き始める二人。
「(おや、あれは……、アカデミーの生徒。それに桂輔様ですか)」
その二人の姿を見つけた中願寺 綾瀬(ちゅうがんじ・あやせ)。
「(アカデミーの生徒には、興味がありますし、これはお話する良い機会ですわね)」
そう考えた綾瀬は一人頷き、二人の下へ。
「こんにちは、お二方」
「やぁ、綾瀬さん。こんにちは」
「こ、こんにちは……。え、えっと……」
「初めまして、私は中願寺綾瀬。後、私のパートナーに漆黒の ドレス(しっこくの・どれす)ですが、現在、魔鎧として私が身に纏っていますの。よろしくお願いしますね」
「あ、わたしはテレサと言います。よろしく、お願いします」
「あなたは、アカデミーの生徒ですわね。良ければお話などいかがでしょうか?」
「お話、ですか?」
「えぇ。純粋に興味がありますの」
「話せる、範囲で、ですけど……それで良ければ」
「えぇ、構いませんわ。せっかくですからお食事などしながらというのはいかがでしょう?」
「そういえば、もう昼時だね。テレサちゃんはどうかな?」
「はい。お腹も空いてきましたし、わたしも構いません」
「よし、決まりだね。食堂は場所も知っているし、案内するよ」
「えぇ。お願いしますわね。テレサ様、良ければアカデミーについて教えていただけますか?」
「せっかくだから俺にも教えてほしいな」
「あ、はい。えっとですね……」
三人は、雑談をしながら食堂へと向かった。
「通っている契約者の多くがパートナーに守護天使や英霊を連れています」
「へぇ、そうなんだ」
食堂に着いた三人は食事をしながらテレサの話に耳を傾けていた。
「クラスもプリーストやナイトが多いです。上級生の方にはパラディンになるほどのお方もいらっしゃいますね。代わりに魔女や吸血鬼などはほとんどいらっしゃいませんね」
「通っている人数はどのくらいなんですか?」
「三百組ほど、ですね」
「組っていうのは?」
「十五歳以上で契約者でないと入学できないから、ですね」
「なるほどね。だから、人数ではなく組で数えるわけか」
「はい」
「なるほど……、色々教えていただきありがとうございますわ。良ければ、また色々と教えていただけますか?」
「はい、わたしもそちらの事を色々と教えていただければ嬉しいです」
「えぇ、せっかくですしカリキュラムなどもご一緒にいかがでしょう?」
綾瀬の言葉に笑顔で頷くテレサ。
「はい。よろこんで」
「そうだ、テレサちゃん。せっかくだし携帯の番号を……」
「桂輔! ここにいらっしゃいましたか」
言いかけた圭輔の言葉をさえぎるようにやってきたアルマ・ライラック(あるま・らいらっく)。
「げっ……!」
「やっと見つけましたよ。事前に伝えたら確実に嫌がるでしょうからこの『人材発掘プログラム』に申し込んだ事を直前まで黙っていたことは悪かったですが、いきなり逃げ出すとは感心しませんね……」
「こういうプログラムって、あれだろ? 各校のトップクラスのやつらがしのぎを削るようなものだろ? 俺には無理無理」
「……そういうやる気の見えない桂輔のために申し込んだのです。とりあえず、いきますよ」
「え、いや、ちょっと!?」
桂輔の襟首を掴むアルマ。そして、やり取りを見ていた綾瀬とテレサに一礼。
「どうもウチの桂輔がお騒がせいたしました。こんな人ですが、よろしくお願いします」
「あ、は、はい」
「こちらこそですわ」
「それでは行きましょう」
そのまま桂輔を引きずっていくアルマ。
「え、襟首はやめて! 絞まる! 絞まってるからー! っと、お二人さんまた会おうねー!」
引きずられる格好で二人に手を振って消えていった桂輔だった。
「……あ、あはは」
「まぁ、あのようなことは日常茶飯事ですわ」
それを苦笑しながら見るテレサと、優雅にお茶を飲みながら流す綾瀬だった。
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