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リアクション
二日目
プログラムに参加しているという体裁の下、情報集めのため、学校内を散策するせつなとナナシ。
「そこのお二人さん。よろしいかしら?」
そんな二人に声をかけたのは茅野 茉莉(ちの・まつり)。
「あ、茉莉さん。こんにちは」
「……何者だ」
「別に警戒しなくとも、ナナシ殿の敵ではありませんのでご安心を」
「むしろ不自然にきょろきょろと周りを見ていて逆に怪しいぞ」
警戒するナナシに声をかけるのは茉莉と共にいた、レオナルド・ダヴィンチ(れおなるど・だう゛ぃんち)とダミアン・バスカヴィル(だみあん・ばすかう゛ぃる)。
「ナナシ……そんなにきょろきょろしていたの?」
「小さいものでも今は重要な情報になる。それを見逃すわけにはいかないからな」
「それでは、逆に怪しまれるわよ? もう少し堂々としていなさい。探し物をしているのでしょ? マークされたら見つかるものも見つからなくなるわよ」
「そうよ、ナナシ。行動を制限されたら逆に何も出来なくなっちゃうんだから……」
「そこで、二人に提案よ。あたしの護衛をやらないかしら?」
茉莉の提案に首を傾げる二人。
「護衛、ですか?」
「えぇ。それと、せつな。あなたは風紀委員。天学生が問題を起こした際、それを止めるという風紀委員の役目もやってもらうわ」
「そうすれば、校内を移動していて、不審に思われたとしてもそれを口実として言い逃れできるだろう。学校のほうにはすでに申請の方はしてある。どうだろう、せつな殿にナナシ殿」
『根回し』ですでに各種申請のほうを済ませていたレオナルド。
「……そうね。私は良いと思います」
「俺は情報がつかめればそれで良い」
「なら、決まりね。少し見回りしましょう」
見回りを開始した五人。だが、まだ二日目の朝。しばらく見回りしてみたものの、あまり騒ぎ立てる生徒は少ない。
「いつもこのぐらいなら困らないのだけど……」
「まだ、始まって二日目。そう騒ぐ生徒はいないだろう。お互いがお互いの様子を見ているといったところだろうな」
「あたし達からすれば、見知らぬ場所だから。急にはっちゃける生徒はいないわね」
「いたらいたでそれは問題だろう」
「そうですね」
「……だが、静かだとその分情報が得られない。少しは騒いでいてくれるほうが助かるのだが……」
「……少し休憩しましょう。ちょうど聞きたい話もあるし」
「そうですね」
茉莉の提案に、全員はあてがわれた部屋へと移動を――
「皆さん、こんにちは。良ければその話、僕にも聞かせてもらえませんか?」
しようとしたところで、声をかけてきたのは端守 秋穂(はなもり・あいお)。
「秋穂殿か」
「こんにちは。僕は端守秋穂。皆さんと同じ、天御柱学院の生徒です。少し、そちらの方の行動が気になったもので……」
と、秋穂が指差したのはナナシ。
「……ナナシ」
せつなのジト目がナナシを射抜く。
「……俺は何もしていない」
「茂みの中を漁ってみたり、ゴミ箱を漁ってみたり机の中を漁ってみたりと色々していたようだが?」
ダミアンが不敵に笑いながら言う。
「時々、見てたけどごみを探してたわけじゃなかったのね……」
「何か目的があって何かをしているみたいでしたので少し、様子を見させてもらっていました。ダメでしょうか?」
「……そうね。そこまで見られていたのなら無視するわけにもいかないわ。良いわよ。一緒に行きましょ」
「ありがとうございます」
「待って待ってー!」
慌ててやってきたユメミ・ブラッドストーン(ゆめみ・ぶらっどすとーん)とセレナイト・セージ(せれないと・せーじ)。
「いつの間にか姿が消えていたから驚いたわ」
「あ、ごめんね、二人とも」
「ユメミも話聞きたいー!」
「……というわけで、二人もご一緒で良いですか?」
「まぁ良いのではないか?」
「ナナシも良い?」
「……まぁ、構わない」
こうして。三人を追加して、八人で部屋へと移動することになった。
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